ロールモデルなき職場の魅力の作り方
今の時代、「いい人材」の定義は変わってきている。彼らを活かすことができるのはどんな職場なのか。また、逆に人材を流出させる職場の問題点とはどこにあり、どう改善すればいいのか。様々な職場のムダ業務削減を実践してきた人事コンサルタントの各務晶久氏にうかがった。(取材・構成 福井壽久里)
そもそも、どんな人材が「いい人材」なのか?
そもそも会社に求められる「いい人材」とは、どんな人材なのでしょうか。この「いい人材」の定義は時代とともに変化しており、それを語るうえで欠かせないのは少子化、つまり労働人口の減少です。
生産性とは、アウトプット÷インプットで算出されますので、これを高めるにはアウトプットを多くするか、インプットを小さくする必要があります。
これまで日本の多くの職場では、生産性を上げるためにはコストカット、つまりインプットを下げる方策が有効とされてきました。価格を下げ、「早く」「安く」サービスを提供することを強みとする方法です。したがって、求められてきたいい人材とは、コストカットのような管理業務を担うための事務処理能力や対人処理能力に優れる「アドミニストレーター人材」でした。
しかし、コストカットにはいずれ限界が来ます。さらに言えば、コストカットは実は誰にでもできる最も簡単なアプローチです。アドミニストレーター人材にもはや希少価値はないと言えます。
コストカットに限界が訪れた今、低価格や過剰サービスではなく、高付加価値のアウトプットをより多く生み出す必要があります。それには、既成概念にとらわれずに創造性を発揮する「イノベーター人材」が不可欠です。これこそが、今求められる「いい人材」像です。
イノベーター人材はしきたりに無頓着!?
イノベーター人材とは、破天荒と思われながらも、これまでにないアイデアで周囲の人間を引っ張っていき、文字通りイノベーションを起こすことができる人たちです。有名人でわかりやすい例を出すと、スティーブ・ジョブズや堀江貴文さんなどをイメージしてください。
イノベーター人材は、旧態依然としたシステムやルールや、管理思考が強い場を好みません。会社にしがみつこうという気もなく、人によってはマナーやしきたりに無頓着と周囲から思われる場合もあります。彼らにアウトプットを出してもらうためには、そうした面に寛容であることと、彼らを自由にさせ、居心地のいい環境を整える必要があります。