コロナウイルスの影響で、世界的に経済が停滞している。日経平均も一時ピークより3割程度落ち込むなど、コロナウイルスは株式市場にも大きな影響を与えた。一方で、コロナウイルスが追い風となった業界があるのも確かだ。その業界の1つがゲーム業界だろう。コロナウイルスはゲーム業界にどのような影響を与えたのか、解説する。

コロナウイルスで追い風が吹くゲーム業界

ゲーム業界
(画像=Barone Firenze / Shutterstock.com)

コロナウイルスによって、各業界明暗が分かれている。ホテル業界や航空業界が苦戦する一方で、好調なのがゲーム業界だ。コロナウイルスによるロックダウンにより、「巣ごもり」消費が伸びている中、ゲーム業界も同様に恩恵を受けていると言えるだろう。

ゲーム業界の好調を裏付けるデータもある。実際、2020年1~3月期における、アメリカでのゲームの売上高は、前年比+9%と過去最高の実績となったそうだ。日本においても、ゲームをしながら通話ができるアプリである、「Discord」のDL数が3月に急上昇したり、また、いくつかのゲームアプリのDL数が3月以降急増したりしているのだ。

コロナウイルスで追い風となったゲーム会社は?

では、コロナウイルスでどういったゲーム会社の業績が上がったか、見てみよう。

まず代表的なのが、<7974>任天堂だ。2020年3月期の売上高は前年比+9%とプラスに着地している。主力のニンテンドースイッチの売上が好調で、特に1~3月期には売上が全世界で上昇したのだ。また、3月に発売された、「あつまれ どうぶつの森」が、販売開始から6週間の販売本数は1,300万本を上回るなど、ソフトの売上も収益に貢献した。株価も、一時年始からは下げていたものの、3月以降急速に回復しており、一時4月には年初来高値を更新している。

また、ここに来て回復を見せているのが、<2121>ミクシィだ。ミクシィは、主力であるゲームアプリのモンスターストライクのユーザー数が伸びず、売上も下落傾向にあった。しかし、1~3月期は、人気キャラクターとのコラボもあり、3月後半には上方修正を出すなど、1~3月期全体では業績はプラスに転じた。こちらの株価も3月後半から回復基調が続いており、現在は年初来高値をうかがえる位置にある。

海外で注目なのは、中国のテンセントだろう。こちらも2020年1~3月期の売上が前年比+26%と好調に推移している。テンセントの主力事業であるゲーム事業が好調で、業績を牽引したことに加え、テンセントの通信アプリが、健康状態を報告する「ヘルスコード」に使われたのも、同社の好調の一助になっているようだ。株価も一時下落したものの、現在は年初来を更新している。

このように、一見好調に見えるゲーム業界だが、すべてのゲーム会社が好調なわけではない。位置情報を使うなど、移動が必要なゲームは、3月以降ユーザー数を減少させている。どのようなゲームが伸びるか、見極めが重要になりそうだ。

ゲーム業界だけでない?ゲームの恩恵を受ける会社とは?

巣ごもりによりゲームの需要が伸びたことで、ゲーム会社には追い風になっている。しかし、この恩恵を受けるのはゲーム会社だけではない。ゲーム需要の恩恵を受ける企業をピックアップしてみよう。

まず初めに考えられるのは、「サーバ」だ。スマホゲームは多くの情報処理を行い、また、多くのユーザーがアプリにアクセスするため、その裏側では大量のデータ通信が行われている。現在、自社でサーバを持つケースは少なく、多くの企業がクラウドサーバを利用している。

ゲームのプレイ時間、ユーザーが増えることで、サーバの使用量も増え、このようなネットワークサービスを提供する会社が、恩恵を受けることが予想できる。代表的なのが、Azureを持つマイクロソフトと、AWSを持つAmazonだろう。株価も、アマゾンは年初来高値を更新、マイクロソフトも年初来高値に近い位置まで回復している。

また、アプリを販売するプラットフォームも、こういったゲームの需要を受けて、進化することが予想される。その代表的なものが、iPhoneでアプリを販売するAppleだ。実際、アップルの1~3月期の決算をみると、プロダクトは前年比マイナスで着地するも、サービス部門は過去最高の売上高になるなど、サービス部門が全体を牽引した。上記のクラウドビジネスもそうだが、プラットフォーマーは、このような状況でも引き続き成長が期待できるだろう。

ゲーム業界が期待できるのはこれから?

現在、ゲーム会社の多くが1~3月の決算を終わった段階だ。その中でもいくつかの企業が予想以上の売上を出していた。しかし、期待できるのは、これからかもしれない。

日本ではコロナウイルスが収束傾向にあるものの、欧米をはじめとする諸外国ではまだまだ予断を許さない状況だ。外出制限も引き続き取られている国、エリアが多く、本格的に外出できるようになるのは、まだ先の話だろう。

そのため、これからもゲームのプレイ時間やユーザーが増えることが予想される。コロナの影響が本格化される4~6月期の決算は、もしかするとさらに期待できるかもしれない。

ゲーム業界の今後に引き続き注目したい

国内外問わず、コロナウイルスによる巣ごもり需要が注目されている。代表的なものとして、ゲームが挙げられるだろう。実際、任天堂やテンセントなど、国内外の多くのゲーム企業の1~3月期の売上は好調に推移している。

日本では収束傾向にあるコロナウイルスだが、海外ではまだ猛威を振るっている。もしこのコロナウイルスの収束が長引くのであれば、ゲームの需要はさらに伸びるかもしれない。そういった意味でも、ゲーム業界は、今後引き続き注目していきたいセクターの1つだろう。(提供:THE OWNER

文・THE OWNER編集部