5月相場が終了しました。日経平均株価は4月に6.7%上昇した後、5月も8.3%と上昇率が加速する展開になりました。テクニカル的には、過熱感を示唆する指標も増えており、全体的には上昇ピッチが鈍る可能性も出てきそうです。少なくとも、物色動向には選別色が強まってきても不思議ではないと思います。

そうした中「日本株投資戦略」では、決算発表がおおむね一巡した3月決算銘柄を対象にスクリーニングを行い、株式市場から最高益を更新すると予想されている企業を抽出してみました。我が国は何とか、新型コロナウイルスによる死者を低水準に抑え込むことができましたが、緊急事態宣言による全国民的な自粛の影響で、経済は大きな打撃を受けています。しかし、そうした厳しい局面でも、最高益をあげることに成功しそうな企業は存在しており、株式市場でも高い評価を得ることが期待されます。

更なる株価上昇に期待したい最高益予想企業はコチラ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

5月相場が終了しました。新型コロナウイルスの感染拡大は世界的に続いているものの、多くの先進国では感染拡大ペースが鈍化しており、金融政策や財政政策の発動、経済活動の再開を模索する動き等により、株価が上昇する国も増えています。特に我が国は、新型コロナウイルスによる死者を低水準に抑え込むことに今のところ成功しており、海外からの評価も前向きなものに変わってきています。日経平均株価は4月に6.7%上昇した後、5月も8.3%と上昇率が加速する展開になりました。

今後の展開はどうなるのでしょうか。テクニカル的には、過熱感を示唆する指標も増えており、全体的には上昇ピッチが鈍る可能性も出てきそうです。少なくとも、物色動向には選別色が強まってきても不思議ではないと思います。今後、どのような銘柄が選別され、更なる株価上昇が期待できる存在になるのでしょうか。

そうした中「日本株投資戦略」では、決算発表がおおむね一巡した3月決算銘柄を対象にスクリーニングを行い、株式市場が最高益更新を予想している企業を抽出してみました。冒頭でご説明したように、我が国は何とか、新型コロナウイルスによる死者を低水準に抑え込むことができましたが、緊急事態宣言による全国民的な自粛の影響で、経済は大きな打撃を受けています。しかし、そうした厳しい局面でも、最高益をあげることに成功しそうな企業は存在しており、株式市場でも高い評価を得ることが期待されます。

それではさっそく、スクリーニングを行ってみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)広義の金融を除く業種に属している銘柄であること。
(3)時価総額1千億円以上の銘柄であること。
(4)業績予想を公表しているアナリストが3人以上フォローしている銘柄であること。
(5)3月決算企業で、2020年3月期の決算発表が終了している銘柄であること。
(6)2020年3月期が営業増益(前期比)の銘柄であること。
(7)2021年3月期、2022年3月期の市場予想営業利益が前期比増益の銘柄であること。
(8)2021年3月期、または2022年3月期に市場が最高益(純利益ベース)を予想している銘柄であること。

上記のすべての条件を満たす銘柄を、今期(2021年3月期)市場予想営業増益率が高い順に並べたものが表1となります。これらの最高益更新予想銘柄は、株式市場で高い評価を得ることができると「日本株投資戦略」では期待しています。

最高益予想企業
(画像=SBI証券)

表1 最高益予想銘柄の予想営業増益率(市場予想ベース)
コード / 銘柄 / 株価(5/29) / 20/3期 / 21/3予 / 22/3予
<4516> / 日本新薬 / 9,280 / 5.0% / 31.1% / 24.8%
<8279> / ヤオコー / 7,050 / 11.1% / 15.8% / 1.2%
<9697> / カプコン / 3,805 / 25.8% / 15.8% / 9.7%
<4528> / 小野薬品工業 / 3,077 / 25.0% / 10.6% / 13.9%
<4921> / ファンケル / 3,060 / 14.0% / 8.9% / 19.8%
<9551> / メタウォーター / 4,805 / 8.1% / 8.2% / 5.6%
<2331> / 綜合警備保障 / 5,300 / 14.0% / 6.0% / 8.1%
<2412> / ベネフィット・ワン / 2,354 / 9.9% / 5.8% / 20.3%
<4555> / 沢井製薬 / 5,940 / 3.9% / 5.7% / 1.5%
<9436 / 沖縄セルラー電話 / 4,150 / 7.9% / 4.2% / 1.5%

※各社公表データ等およびBloombergデータをもとにSBI証券が作成。2020/3期は営業増益率(実績)で、2021/3期および2022/3期は、市場予想(Bloomberg集計の市場コンセンサス)ベースの営業増益率。

掲載銘柄とその投資ポイント

ここでは、表1でご紹介した銘柄のいくつかについて、投資ポイントをご説明したいと思います。

日本新薬(4516)は売上高の87%が医薬品、13%が機能食品になっています。それぞれの分野で注力領域を明確にし、経営資源を重点的に投入するという明確な戦略を有していることが強みといえます。医薬分野では泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患、婦人科という4つの領域に注力しています。2020年3月期は主力の医薬分野において、CD20陽性の濾胞性リンパ腫治療剤「ガザイバ」、骨髄異形成症候群治療剤「ビダーザ」、肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤「ザルティア」等が伸長しました。 市場では2021年3月期に3割程度、2022年3月期に2割超の営業増益と最高益の更新を予想しています。5/14(木)には新型コロナウイルス治療薬の開発開始も発表し、それ以降の株価はおおむね上昇傾向となっています。

なお、医薬品企業は、薬価引き下げという継続的な逆風が想定される分野ですが、感染症の流行で世界経済が同時にストップするという大変動の時代には、他の業種の銘柄に比べ、収益の安定性が評価の対象になりやすいとみられます。表1には医薬品株が3銘柄も紹介されており、足元は他の業種と比べても業績が好調という印象があります。小野薬品工業(4528・図1)も2021年3月期および2022年3月期は連続増益と最高益の更新が予想されていますが、肺がん治療薬の「オプジーボ」が米国で「第1選択薬」の承認を受けたことも追い風になっています。

ヤオコー(8279・図2)は埼玉地盤の食品スーパーとなっています。もともと、利益率の高さが強みの企業ですが、この業態自体が、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とする外食の抑制傾向の中で追い風を受けています。株価的には2018年秋に付けた高値を更新してきたところで過熱感もありますが、日足でみると保ち合い放れのようにも見えます。なお、消費の変化という意味では、カプコン(9697)に代表されるゲームソフト企業も「巣ごもり消費」の追い風を受けています。

ファンケル(4921)はインバウンド関連というイメージを持たれる投資家が多いと思われますが、多くのインバウンド関連企業が収益低迷に苦しむ中で、業績は好調です。危機的状況を企業成長の機会と捉え、様々な施策を講じ、それが奏功しているとの評価があります。事実、店舗販売の売上高が減る中で、越境EC等通信販売の売上高が増えており、インバウンド需要の減退を補っているようです。多くの企業が業績予想を見送る中、同社も4~6月期は減益の可能性が大きいようですが、通期では増益予想を会社見通しとして提示できたことも評価の対象になっています。

図1 小野薬品工業(4528)・週足

図1 小野薬品工業(4528)・週足
(画像=当社チャートツールをもとにSBI証券が作成)

図2 ヤオコー(8279)・週足

図2 ヤオコー(8279)・週足
(画像=当社チャートツールをもとにSBI証券が作成)

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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