日本初のコンビニエンスストア・チェーン「セブン-イレブン」を立ち上げ、「小売の神様」と呼ばれたカリスマ経営者・鈴木敏文 氏が、経営に際し掲げ続けた二大スローガン「変化への対応と基本の徹底」。43年間、それを実践するため、繰り返し繰り返し幹部・社員に語った肉声の言葉から、222項を厳選し、簡潔かつ明快な解説を加えた言行録3冊セット『鈴木敏文の経営言行録』(税込14,850円、日本経営合理化協会出版局)は、多くの経営者に“気づき”と“感動”を与えています。
本記事は、同書2巻「マネジメント」のP152-161から、一部を抜粋・編集して掲載しています。
目次
すべてについて、自分の頭で何をすべきかを考えさせ、実行させる。
チャンスは誰にも平等にある。そのチャンスを活かせるかどうかの違いは、才能ではなく、ものの見方であり、仕事の取り組み方だ。その基本は、自分の頭で考え、実行していくことだ。
自分で考えるのは、ある意味、苦痛だが、仕事というものは、苦痛がともなうものだ。ただ、「やれ」と命じられてやるのではなく、自分で考えた仕事であれば、苦痛も苦労とは感じなくなって、試行錯誤ができるようになる。
経営者が心がけるべきは、社員たちに自分で考える練習を重ねさせることだ。書道でも、一歩も二歩も踏み込んで練習を重ね、上達していく。
仕事でも、「こんな商品が売れるのではないか」「こうすればよりよくなるのではないか」と、日ごろから自分で考えることが練習となり、考える力がついていく。経営者は、そんな練習の機会を社員に与え続けることだ。
マニュアルよりもフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション。
セブン-イレブンの場合、OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=店舗経営相談員)は、自分が担当する7〜8店の店舗を回りながら、オーナーだけでなく、パートやアルバイトの人たちともミーティングを開き、店舗運営をどう改善していくか、いろいろな問題解決のアドバイスを行なう。
マニュアルに頼らず、フェイス・トゥ・フェイスのダイレクト・コミュニケーションを徹底するからこそ、現場の強みが生まれるのだ。