日本初のコンビニエンスストア・チェーン「セブン-イレブン」を立ち上げ、「小売の神様」と呼ばれたカリスマ経営者・鈴木敏文 氏が、経営に際し掲げ続けた二大スローガン「変化への対応と基本の徹底」。43年間、それを実践するため、繰り返し繰り返し幹部・社員に語った肉声の言葉から、222項を厳選し、簡潔かつ明快な解説を加えた言行録3冊セット『鈴木敏文の経営言行録』(税込14,850円、日本経営合理化協会出版局)は、多くの経営者に“気づき”と“感動”を与えています。

鈴木敏文の経営言行録
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本記事は、同書3巻「仮説と検証の仕事術」のP172-179から、一部を抜粋・編集して掲載しています。

目次

  1. 暗闇でつまずいたら、つまずいたものを取り除くだけでは不十分だ。
  2. 大切なのは自分の人生が一段一段積み上がっていくこと。
  3. AIの時代になっても、「仮説」を立てるのは人間の役割。
  4. 書籍詳細
    1. 鈴木敏文の経営言行録

暗闇でつまずいたら、つまずいたものを取り除くだけでは不十分だ。

明るいところで小石か何かにつまずいたら、その小石を取り除けばすむ。

しかし、暗闇で何かにつまずいたら、つまずいたものを取り除くだけでなく、ほかにも何かつまずくものがないかと、いったん立ち止まり、予断を排して障害物を取り除かなければ、二度三度とつまずいてしまう可能性がある。失敗はそのまま何もしなければ失敗に終わる。

解決策が容易に見えないなかで困難な課題に直面したら、ときに失敗することもある。そのとき必要なのは視点の切り替えだ。目先の対処に追われるだけでなく、この先どのような問題が生じるか、どうすれば解消できるのかを洗い直し、解決策の仮説を立て、実行し、結果を検証していく。

挑戦には失敗もともなうが、これを繰り返していけば、必ず成功へ近づくことができる。最大の失敗は最大のチャンスをつかむきっかけにもなる。

大切なのは自分の人生が一段一段積み上がっていくこと。

人間の生き方には三つのタイプがある。一つめは、「これまでこうだったのだから」と過去の延長線上で生きる生き方だ。二つめは、将来に向けて明確な目標を立て、そこから逆算して一直線に歩んでいく計画的な生き方だ。一般的にはそれが好ましいように思われているかもしれない。そのため、計画性がなく、自分はダメな人間だと自信をなくしてしまう人もいるだろう。