ご無沙汰しています。以前、 グローバル化する税 の記事を書かせて頂いたRYUです。
今回は、世界一の大富豪といわれるカルロス・スリム・ヘルの伝記をお届けしたいと思います。

3月4日に、米Forbesの世界億万長者ランキングが発表されました。1位の座は昨年に引き続きメキシコの実業家カルロス・スリム・ヘル氏が手にし、2010年から4年連続で1位を獲得し続けています。
果たして、世界一の大富豪、カルロス・スリム・ヘル氏とは一体何者なのでしょうか。彼の総資産額は690億ドルと言われており、メキシコのGDP(世界14位)の7%にも相当します。しかし、カルロス氏は事業の主体が中南米であり日本との関わりが薄いため、世界一の大富豪であるにも関わらず日本での認知度は低いと言えます。せいぜい「中南米の通信王」として簡単に紹介がされる程度ではないでしょうか。

Forbesで良く知られるビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏と異なり、以前より上位に名を連ねていたにも関わらずあまり知られていないカルロス氏の生い立ちや事業、そして今後の展望についてお伝えします。

【参考:その他の億万長者ランキング】



◉カルロス・スリム氏の生い立ちから青年期

カルロス氏は1940年1月28日に、メキシコシティの実業家の三男として生まれました。
彼の両親は共にレバノンからの移民で、父親はオスマントルコの支配下の兵役から逃れるため、兄弟が待ち受けるメキシコに14歳の若さで渡った人物です(ちなみに日産のカルロス・ゴーン氏もレバノン系の移民です)。その後兄弟達と共に干し物屋から一代で莫大な財産を築きました。
また母親はチリからメキシコに移住してきたのち、カルロス氏の父親と結婚しています。

実業家の家に生まれたカルロス氏とその兄弟達は、小さい頃から運用に関する英才教育を受けて育ちます。
兄弟にはみな独自の出納帳が渡され、毎週の小遣いの管理と出納の確認を課題とされていました。これがカルロス氏の資産運用に関わる第一歩だったのかもしれません。その後カルロス氏は12歳にして株取引を始めます。

やがて大学生となったカルロス氏は、ラテンアメリカのトップ大学とも言われる名門校、メキシコ国立自治大学に進学します。そこで教師として数学を教える傍ら、土木工学を専攻していました。教師でありながら、学生でもあるという何とも興味深い時期を過ごします。
ちなみに同校からは、歴代のメキシコ大統領や3人のノーベル賞受賞者も輩出しています。