20カ国・地域(G20)が、デジタル通貨など現金に変わる決済手段を事実上容認する方向で調整が入ったことがわかった。11日、共同通信が報じた。
報道によると、今年10月にもマネーロンダリング防止などの規制議論を本格化する見通しで、複数のG20関係者が明らかにしたという。
米Facebook社が計画する独自暗号資産「Libra」の影響力を懸念し、民間の動きを牽制してきたG20だが、各国中央銀行がデジタル通貨の導入計画を加速させてきたことから方針を転換するようだ。
G20はこれまで、ステーブルコインによってもたらされる恩恵があるとしつつも、深刻な政策・規制リスクを持つ恐れがあることから、資金洗浄・違法資金・投資家保護など多方面のリスクについて検証する必要があるとのスタンスを維持していた。金融活動作業部会(FATF)も7日にG20へ公開したレポートで同様の見解を示し、全ての国・地域がFATFの基準に則ったトラベル・ルール(送金者および付近者の情報を暗号資産交換業者が交換する取り決め)の策定を進めるよう求めている。
一方で、G20が方針転換したのは特に中国が計画しているデジタル人民元(CBDC)の影響が大きいとの意見もあり、慎重姿勢だった米国やG20も対応を迫られた格好だという。
中国においては、すでに複数の都市でデジタル人民元の実証実験が行われており、メガバンクだけでなく大企業もプロジェクトに参画している。また2022年に開催予定の冬季北京オリンピックでCBDCが試験導入されるなどの報道も出てきており、諸外国が規制を理由に踏みとどまっている間に大きく開発を前進させている。
2020年のG20は、10月15日に米ワシントンで「G20財務大臣・中央銀行総裁会議」、11月20日にサウジアラビアのリヤドで「財務大臣会合・G20サミット」が開催される予定だ。
各国の中央銀行や大手企業が注力している分野の1つであることから、今後もより激しい議論が交わされるものとみられる。(提供:月刊暗号資産)