銀行口座を開設すると通帳とカードが発行されるのが、ネット銀行では通帳は発行されない。このことが原因で、ネット銀行の利用をためらう人もいるのではないだろうか。実際には通帳がなくても口座の利用にまったく問題はない。今回はネット銀行で通帳がなくても便利に利用できる理由や具体的な活用方法について解説する。

目次
1.ネット銀行では通帳を発行しない
2.インターネットバンキングとは
3.通帳がないことによる2つのメリット
4.通帳なしのネット銀行の3つの注意点
5.ネット銀行で入出金や振込を証明する方法
6.ネット銀行は利用するメリットが大きい

1.ネット銀行では通帳を発行しない

ネット銀行,通帳
(画像=PIXTA)

楽天銀行や住信SBIネット銀行といったネット専用の銀行では、通帳を発行していない。その理由を考えてみよう。

ネット銀行に通帳がない理由

銀行では以前、印鑑のデータが店舗間で共有されていなかったので、口座に登録されている印鑑を確認するときに通帳が必要だった。現在はインターネットやIT技術が発達し、データはサーバーで管理されている。印鑑のデータも支店間で共有できるので、通帳を介しての確認は不要になった。

また紙の通帳を発行すると、印刷費・印紙税などのコストが発生する。磁気不良の場合は修正事務なども求められ、これらのコストが銀行の収益を圧迫する。このためペーパーレスの動きが加速したのだ。

銀行の利用者側もインターネットを通じて取引状況を管理できるようになり、通帳がなくても履歴を確認できるインフラが整った。これがインターネットバンキングだ。

このような背景から、通常ネット銀行では通帳が発行されず、Web通帳を利用するのが一般的だ。またメガバンクや地銀などでも、紙の通帳に代わってWeb通帳が利用できるようになっている。

2.ネット銀行が利用しているインターネットバンキングとは

ネット銀行は原則として店頭でのサービスがないため、基本的にインターネットバンキングのサービスを活用している。

オンラインで振込などができる

インターネットバンキングとは店頭に出向くことなく、サイトにログインすることで銀行の手続きが利用できるサービスだ。

振込もオンラインででき、同じ銀行の口座宛てなら振込手数料が無料になることもある。

現金の入出金に関しては提携のATMで操作する必要があるが、コンビニなど身近な場所のATMを利用できるケースが多い。

入出金などの明細確認も可能

インターネットバンキングにログインすれば、口座の状況を随時確認できる。クレジットカードや家賃の引き落とし、口座への振込など、店舗に行くことなく取引内容を把握できる。

口座の残高不足で引き落しに失敗したのではないかと心配な場合も、ログインすれば状況がすぐに分かる。

基本的に24時間いつでも利用できる

インターネットバンキングは原則として利用時間の制限はない。一般的に銀行の店頭では9:00~15:00の受付となっているケースが多いので、ネット銀行のほうが利便性は高い。

ただしサイトのメンテナンスなどの都合で、一時的に利用できない時間帯が発生することもある。各銀行からのお知らせには注意しておこう。

3.ネット銀行で通帳がないことによる2つのメリット

通帳がないネット銀行のメリットはなんだろうか。

⑴ペーパーレスで口座管理ができる

ネット銀行では使い終わった通帳の保管場所や廃棄に困ることはない。紙の書類をできるだけ持たず、ペーパーレスで管理したい人に向いている。

通帳を管理しなくてもよいので、盗難・紛失を気にする必要がないのもメリットだろう。

⑵通帳に記帳する時間をゼロにできる

従来型の銀行でインターネットバンキングを利用しない場合、銀行の口座状況を確認するには通帳記入をしなくてはならない。通帳記入をするには店舗やATMに出向く必要があり、忙しい人にとっては時間の浪費だと感じることもあるだろう。

ネット銀行なら通帳記入をする時間がゼロになる。パソコンやスマホでネットの管理画面にアクセスすれば、取引状況を簡単に確認できるため外に出る必要はない。

また通常の通帳には「合計記帳」という制度がある。一定期間記帳しないと、取引をまとめて記帳される仕組みであり、それぞれの内容が分からなくなることがある。

一方のネット銀行であれば、初めからインターネットバンキングを利用するので、合計記帳自体がなく取引をまとめられてしまうこともない。

4.通帳なしのネット銀行を利用するときの3つの注意点

ネット銀行は便利だが、通帳がないため次の点には注意しておきたい。

⑴IDやパスワードの管理を厳重に

ネット銀行ではオンライン上でお金のやり取りをしたり、取引明細を確認したりすることが多くなるため、IDやパスワードといった情報は細心の注意を持って管理しておきたい。特にパスワードはほかのサイトで利用しているものを使いまわすことは避けておこう。

⑵取引履歴の閲覧期間に制限があることも

ネット銀行では、履歴の閲覧期間に制限が設けられていることがある。例えば楽天銀行の場合、通常閲覧できるのはダウンロードする日の24ヵ月前まで(最大3,000件)だ。

ただ対象期間以前のデータがまったく見られなくなるわけではない。ネット銀行のカスタマーセンターなどに連絡したりインターネットバンキングで手続きしたりすることで、過去の取引履歴明細証明書などを発行してもらえる。

⑶定期的に残高をチェックする

ネット銀行は通帳記入の手間がないのは便利だが、残高や取引履歴をまったく見ないで放置するのは適切ではない。万が一IDやパスワードが漏れて、第三者が不正に振込をしても口座の状態を把握していないと気付かないことがある。

定期的にインターネットバンキングにログインして、入出金や引き落としなどの取引履歴を必ず確認しよう。また銀行から送られる通知メールなどのアドレスに不備がないかも確認しよう。

5.ネット銀行で入出金や振り込みを証明する方法

行政手続きなどで、口座の残高や振込といった情報の証明が必要なこともある。ネット銀行でそのような情報の証明をする方法について解説する。

ネット銀行の画面を保存する

通常は通帳をコピーして提示すれば良いが、ネット銀行ではできない。ただしネット銀行のオンライン取引情報の画面を保存することで代用できる。

方法はネット銀行のインターネットバンキングにログインし、取引履歴を表示させる。画面キャプチャーを取ってパソコンやスマホに保存する。紙で提出が必要な場合は画面をプリントアウトして提示しよう。

画面については、以下の点が確認できるページが望ましい。

・銀行名
・支店名
・口座名義人
・口座番号
・取引の日時、金額

なおWEBサイトで残高証明書や取引証明書を書面で請求することもできる。銀行による正式な書面が必要な場合は利用しよう。

分からない場合はサポートサービスを利用する

どの画面をキャプチャーすればいいか分からない、どのページから証明書を請求したらいいか分からないといったときは、各ネット銀行が用意しているサポートサービスを利用しよう。

ネット銀行のサポートサービスはフリーダイヤル、チャットなどで受付している。詳しいオペレーターに相談すれば、想定していたよりもっと簡単な方法で解決できることもある。

6.ネット銀行は利用するメリットが大きい

オンライン化の推進によってネット銀行では通帳を発行していないが、24時間いつでも利用できたり、記帳する手間が省けたりするなど、利用するメリットのほうが多いだろう。ただし、履歴の閲覧期間に制限が設けられていることがあることには注意したい。

執筆・安藤真一郎(ファイナンシャルプランナー)
主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説することを心掛けています。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。

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