コロナウイルスによって、これまでの暮らし方、働き方が大きく変わってしまった、という人も多いだろう。実際、緊急事態宣言解除後も、コロナウイルスを完全に排除することは難しく、我々はこれまでの生き方をある程度変えていかなればならない。そういった中で、新しい時代の中核技術として再度注目されているのが5Gだ。5Gはコロナ後の世界にどうインパクトを与えるのかを解説する。
そもそも5Gとは何か?
まず、5Gによってどう世界が変わるかについて考える前に、そもそも5Gとは何か、これまでとはどう違うのかをきちんと理解しておこう。
5GのGは「Generation」を表している。つまり5Gというのは、第5世代の通信技術ということだ。これまで、通信の世界では、80年代に開発された1Gに始まり、約10年スパンで新しい通信技術が開発されてきた。今使われている主要な通信技術が4Gで、5Gはその次の世代の通信技術にあたり、2020年から本格的な運用が行われようとしている。
これまでも、通信の世代が変わるたびに通信速度の高速化がなされてきた。5Gでもこの高速化というのは引き続き行われており、現在の4Gに比べ100倍程度早いブロードバンドサービスが提供できるようになっている。それに加え5Gは、タイムラグを意識することがないような「超低遅延」だったり、あらゆるものがインターネットと接続できる「多数同時接続」などを可能にする通信技術になっている。いわば「人」だけの通信技術から、「人とあらゆるIoTのための」通信技術へと変わったのが5Gだといえるだろう。
アフターコロナで5Gはどう活用される?
では実際、アフターコロナの世界で5Gはどのように活用されるのだろうか。具体的な事例を用いて説明しよう。
オンライン会議やオンラインイベントでの活用
まず1つ目に挙げられるのは、オンライン会議やオンラインイベントの場での活用だ。
緊急事態宣言が解除されても、コロナウイルスの拡散防止のために、密集した空間や密接した距離でのイベントは難しくなるだろう。会社員であれば密室での会議は避けるように努めなければいけないし、例えばライブイベントなどでの集客も難しくなるかもしれない。
そういったときに、オンラインでの代替を可能にするのが5Gだ。例えば、100人規模の会議であっても、5Gであればインタラクティブなやり取りやタイムラグがないシームレスなやりとりが可能になるだろう。リモートワークもより自在になるため、出勤の概念も変わってくるかもしれない。また、大人数が1つの場所にとどまる学校教育等も、5Gによってあり方が変わってくることが考えられる。
ロボティクスへの応用
もう1つ5Gに期待されるのは、ロボティクスの発達により人と人との接触機会が減少できることだ。
5Gになればよりリアルタイムで、そして多くの機器との通信が可能になる。そのため、遠隔操作やロボットなどの技術がより発達すると言われている。これまで人がやっていた作業がロボットに置き換えられる可能性もある。
最も顕著なのが、宅配便などの物流サービスだろう。現状としては人を通じて物を運んでいるが、5Gになれば運転は自動運転になり、最終拠点から消費者まではドローンが飛ぶことで、人と接触することなく生産者から消費者への物流が可能になるかもしれないのだ。
そのほかにも、工場での作業などが人からロボットに置き換えられるケースは増えてくるだろう。そうしたことから人と人とが接触する機会が減っていくことが、今後の社会ではあり得るのではないだろうか。
5Gのある暮らしとは?
では、アフターコロナの「5Gのある暮らし」とは、一体どのようなものになるのだろうか。大きくわけて、2つの変化が予想される。
1つは、密接する空間が危険だとみなされることだ。大人数の会議や、もしかすると満員電車も危険だとみなされるかもしれない。そうなると、5Gの技術は危険を回避するためにさらに発達していくだろう。リモートワークやテレワークが当たり前になり、我々の働き方はより自由になる可能性が考えられる。
もう1つは、人と会うことにより一層価値が生まれるということだ。5Gの発達により、人同士がより簡単にオンライン上で繋がるようになるにつれて、オフラインで実際に人と会う機会は減るだろう。そのため、人と人が会って話すこと自体が価値を持つようになるかもしれない。ライブイベントなどがより貴重なものとなり、これによってまた新しいビジネスが生まれることもあるだろう。
コロナと5Gで社会の在り方が変わる
5Gが生まれることで、より我々の暮らしは便利になるだろう。しかし、それはあくまで今までの暮らしの延長上に5Gがあったに過ぎない。アフターコロナの世界では、5Gが「これからの新しい社会を支える」技術になることに間違いないだろう。これから5Gで社会がどのように変わっていくのか、しばらくは目が離せない。(提供:THE OWNER)
文・THE OWNER編集部