7月20日、筆者の住むニューヨーク州は経済活動再開の第4段階を迎えた。ここで本来であれば全面解禁となるはずであったが、屋内での活動は引き続き制限されたままだ。無観客でのプロスポーツ試合、動物園や自由の女神などが再開する一方で、美術館や映画館は休館を継続、レストランも屋内での飲食は引き続き制限されている。とはいえ、そんな状況でもニューヨークは他の州に比べたら、まだマシなほうかも知れない。

7月に新型コロナウイルスの新規感染者数が最多を記録した州は32州に上り、そのうち15州は死者数の増加でも最多を更新している。ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、全米の新規感染者数は7月23日に400万人を突破、1日当たり5万~7万人のペースで増え続けている。中でも深刻なのがカリフォルニア州とフロリダ州だ。カリフォルニア州の感染者の累計は7月22日に41万4000人超とニューヨーク州の41万2800人を抜いて全米で最多となった。フロリダ州も累計で38万人を突破、1日当たり1万人超えが続いており、こちらも「ニューヨーク超え」は時間の問題と見られている。

V字回復期待が後退、雇用回復に頭打ち感

米国経済見通し,コロナ
(画像=まちゃー / pixta, ZUU online)

ウォール街では、新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることでV字回復期待が後退している。たとえば雇用統計については、当初はナイキのロゴマークに見立てた「スウッシュ型」の回復を見込む声も聞かれていたが、5月から6月にかけての急回復を受けて「V字型」回復への期待が広がった。ところが、その後の展開は元の水準に回復することなく、途中で頭打ちとなっている。ウォール街の市場関係者や一部メディアからは平方根の左右が逆になった形状になぞられて「逆平方根型」と揶揄する声も聞かれる。

ちなみに、米雇用者数は3月と4月に計2200万人減少した後、5月と6月に750万人増加しているが、それでもまだ「3分の1」を回復したに過ぎない。

7月11日終了週の新規失業保険申請件数は130万件で、前週の131万件からわずか1万件の減少にとどまった。季節調整前では150万件と前週から10万件超増加し、4月初旬以降で初めて増加に転じている。バンク・オブ・アメリカによると、現在22州で「経済活動の再開」が後退もしくは停止しており、雇用悪化が再燃しかねない情勢となっている。

米銀大手が貸倒引当金を積み増し

ところで、米国では2020年4~6月期の企業決算が本格化しているが、先陣を切った米銀大手4行はいずれも大幅減益で、新型コロナ危機の痛手をあらためて浮き彫りにしている。