急成長を遂げるカンボジアの不動産市場にいち早く目をつけ、起業したアンナアドバイザーズのCEO荒木 杏奈さん。自分にあったペースで会社を成長させていこうとしている荒木さんに、今後のビジョンをうかがった。(インタビュワー ZUU 佐藤)

カンボジアの不動産を日本に紹介

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(画像=株式会社ZUU)

―― 事業内容を教えてください。

カンボジアの不動産投資事業を展開しています。2013年にカンボジアで起業して、日本での会社の設立は2015年です。日本人の投資家さんに、1500万円から2500万円ぐらいの、現地の高級案件、現地の人向けというよりは、外国人の駐在員や外資系企業の社員が住むようなコンドミニアムなどの案件に特化してご案内しています。

コンドミニアムを買っていただく方は日本人が多いですね。物件が完成して、賃貸管理や、出口である転売のほうもお手伝いしていますが、それは現地の日本人スタッフとカンボジア人が担当していて、お客さまは外国人です。たとえば香港の人やシンガポール、マレーシア、カンボジア人もいますよ。

―― その事業に取り組んだきっかけは?

元々は全然違う分野出身で、最初はネット広告代理店のセプテーニという会社に長くいました。そこでは金融業界のお客さまを担当していて、マーケティングをやっていたのですが、SBIという金融グループからお声掛けいただいて転職をしました。

SBI時代は、銀行や証券などのお客さまのマーケティング業務に携わっていたのですが、暑時、たまたま兼務で、海外の投資環境の調査を担当することになりました。カンボジアやベトナム、香港・シンガポールなど、そういった国々の投資環境を調べることが仕事だったのですが、現地調査をしてみて一番自分のイメージとのギャップがあったのが、2011年に行ったカンボジアでした。

―― カンボジアで感じた「ギャップ」というのは?

私自身も、「海外との仕事をやりたい」と漠然と考えたことはあったのですが、どちらかといえば、ロサンゼルスやニューヨークといったいわゆる先進国を想像していて、カンボジアは実は行きたくなかった国でした。「ゴミの山」だとか、「まだ地雷があって危ない」、「汚い」というような、そういうイメージが、自分の中ではまだ強かったんですね。

でも、行ってみたら、思っていたイメージと全然違った。生活環境も投資環境も非常に良いところで、一気に現地に惚れ込みました。そして、会社を辞めて、カンボジアで働くことになったのが2012年になります。

カンボジアで一から起業

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(画像=株式会社ZUU)

―― カンボジアに渡ってからどのように事業をスタートさせたのですか?

そこから1年間はカンボジアと日本の合弁会社の金融グループで、ジャパンデスクとして働いていました。日本人のお住まいを探される方や、証券会社の口座開設をされたい方を日本語でサポートする仕事です。

その頃に、現地の不動産に投資してみないか?という話をいただきました。 私が購入した物件はリーマンショックの影響で建築が止まっていた物件だったのですが、現地の銀行の副頭取に「ウチの銀行が救済に入るからアンナ買った方がいいぞ」と言われたのがきっかけです。カンボジアにはこの建築中の物件の他には1棟しかコンドミニアムがなく、希少性の高い建物で、価値が上がると考え、迷わず購入しました。それが、私の海外不動産投資の始まりです。

物件は日本でいうと青山・表参道に値するようなおしゃれな高級エリアにあって、価格は一部屋75平米で1250万円。もちろん現地では結構高い金額ですが、当時、私は株などで少し貯めた貯金があったので、投資を決めました。そしたら、どんどん価値が上がって、半年で約2倍の2000万円の価値になったんです。

カンボジアでは2010年から外国人が不動産を買えるようになったので、12、13年頃は、まだ外国人の投資家はほとんどいなかったんですよね。それどころか「コンドミニアムって何?」とか、「そんな危ない投資大丈夫?」というようなイメージしかありませんでした。しかし、自分の成功体験もありますし、急成長をしていく国においては金融不動産は絶対必要なセクターなので最初に伸びることは、過去の経験からもわかっていました。それで「あっ、これは不動産投資をやるべきだな」と思ってスタートしたのが弊社になります。

日本にカンボジアの不動産を紹介する

―― 日本の方からすると、馴染みがないマーケットということもあって不安な部分もありますよね。そこをどういう風に開拓されていったんですか?

もちろん、お金のシミュレーションの話もしますが、日本の30年40年前の時代が今カンボジアにあるということをお伝えしてイメージしていただきやすい工夫をしていますね。

というのは、日本人もみんな昔は「一軒家を建てて住みたい」というふうに思っていましたけど、だんだん土地の価格が上がって、金額が高くなってきたので無理になって、マンションに住むようになってきました。そういった状況が、今まさにカンボジアで起きているということを伝えていくんですよね。そうすると、その時代を知っている方々は自分の経験で「大丈夫だ」と判断していただけることが多く、物件購入につながっていきました。そこからは、お客さまづてに新しいお客様を紹介していただくという形で、事業が軌道に乗っていきました。特にFPなどコンサルティングをしている方が弊社をご紹介してくださったので、だんだん広がって。それでメディアにも少し出られるようになってというので、少しずつ増やしていったという感じです。

あとは、本当に良い物件しか扱わない、ということも大切にしています。 現地で物件の販売実績があると、「これも売ってくれ」「あれも売ってくれ」と、いろんな物件の購入を依頼されることがあるんですが、見境なく販売していくと、物件状態の見極めが不十分になり、よくない物件を扱うことも多く、管理の負担も大きくなります。 そのため、私たちは、大体3つぐらいの開発会社と密に連携を取りあって、開発会社との関係性も非常に良くしていき、状態としていい物件を優先的に扱えるように注力をしていきます。それが結果として、弊社の管理負担も小さく、お客さまにも喜んでいただいているものにつながっていると思いますね。