わずか5年でインフルエンサービジネスで頭角を現したBitStar。急成長の秘密や、急拡大する組織をどのように仕組み化していったのか、そして将来のビジョンをうかがった。(インタビュワー ZUU 雨谷)

インフルエンサービジネスの将来性にいち早く着目

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(画像=株式会社ZUU)

――御社の事業内容についてお聞かせください。

BitStarは創業から5年半ほどになります。 もともとはインフルエンサーマーケティング事業からスタートした会社ですが、現在ではエンタメ、ゲーム実況、メイク、大食いなど多種多様なジャンルのクリエイターが在籍するプロダクションや、YouTube番組制作/運営をおこなうコンテンツスタジオ、VTuber事業を含めた4事業を行っています。

私自身のキャリアは、元々学生時代に事業をやっていまして、そこからスタートアップに入社して社内新規事業を3年ほど経験したのちに独立し、BitStarを立ち上げました。現在120名ほどのメンバーでやっていますが、学生時代に一緒に事業をやっていたメンバーがバンドの再結成のようにジョインしてきたり、他にも人柄も素晴らしく、優秀なメンバーがたくさん集まってきています。そして累計資金調達額は30億弱となっており、株主としても今では約30社ほどに仲間になっていただいています。

私がなぜBitStarを立ち上げたかというと、生まれてから死ぬまでに、新しい産業や文化など、「後世に残るもの」を作りたいと思ってBitStarを立ち上げたのですが、このコンテンツ産業には大きな可能性が秘められていると思っています。

たとえば歴史的に新しいメディアが出てくると、そこには大きなビジネスが生まれます。テレビも一つのメディアですが、映画にはないニュースやスポーツのコンテンツが生まれて、そこにスターが生まれてきたという流れがあります。

それと同じように、今はSNSで人気のある方がインフルエンサーとなり、あとはそこから独自のコンテンツが生まれてきています。さらに、SNSで活躍する方たちは、これまでの芸能人と違って、タレントでもありメディアでもありコンテンツの作り手でもあるので、彼らが従来のコンテンツ産業の構造を大きく変えていくと考えています。

さらに、今後5Gや4K8Kの世界がくるとこれらの流れはより一層加速してくるため、新しい産業や文化を担うインフルエンサーという存在が活躍できるようなインフラを作ろう、という事で(現在は「その輝きを、加速させる。」というタグラインでやっています)BitStarではプロダクション、コンテンツ制作、広告における垂直統合のビジネスを展開しております。

同業他社にはプロダクションが強い会社もありますが、僕らは真にクリエイターやコンテンツが成長していくような仕組みを作るためには垂直統合でビジネス作りをしていくという事を大事にしていて、そのためにテクノロジーや仕組みがとても重要なんですね。たとえばこの業界は人やコンテンツを商材にすることもあり、属人的に売上を作ることが多いですし、炎上などのトラブルもすごく起きやすいという特徴もあります。私たちは徹底的に仕組みやテクノロジーを活用することで多くのクリエイターやコンテンツの成長に寄与し、ネガティブ面についても未然に防ぎ、事業と組織を上手くスケールさせてきたというところです。

動画配信に関するあらゆるデータの集積

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(画像=株式会社ZUU)

――テクノロジーの部分は御社の事業にどう活用されているのですか?

インフルエンサーマーケティング事業でいえば、日本最大のインフルエンサーデータベース(IPR)をリリースしています。このプロダクトは、いろんなSNSで活躍する方たちの動画再生回数や、投稿本数、フォロワー属性などのデータを集積していて、最適なキャスティングや分析を支援するサービスです。現在では、1500社に導入いただいていますね。

動画配信に関するデータがあれば、高評価の割合やタイアップ1本あたりの金額もわかりますし、このインフルエンサーは本当に伸びているかどうか、という分析も可能です。また、フォロワーの増加数が一気に上がっていたりするとフォロワーを購入している可能性もあるので、動画やそのインフルエンサーについて正確な評価をすることができます。

データを使うということはビジネス上において非常に武器になると思っています。 動画コンテンツのデータも全て集積しているので、企業様とのタイアップ動画(提供案件)や、逆に企業様がインフルエンサーキャスティングにどれだけ予算を使っているかなどのデータや、どの企業がいつプロモーションをやって、誰を何人ぐらい起用しているかなども蓄積していますね。

プロダクション事業においては、対象者がどのぐらいの成長率なのかを算出し、誰をスカウトしていくか、また、コンテンツを分析して、どういう育成をしていくべきか、というところでもデータ活用しています。

また業務効率化を進めていることもあり、インフルエンサーさんのサポートに関しては、請求書から支払いまでの仕組み化や、ファンの方からのプレゼントを住所非公開で直接受け取れる配送サービスも、宅配会社さんのAPIを活用するなど、細かいところまでアプリケーション化しています。

コンテンツ制作においてはコンテンツの成長のための分析レポーティングだけでなく、動画編集の自動化にも取り組んでいます。

これらの全てをテクノロジー化している会社は世界を見渡してもBitStarぐらいではないかと思いますね。

動画作成も仕組み化

――仕組みで言うと、コンテンツ作りの面はいかがでしょうか。

コンテンツ作りもニーズが高く、弊社では個人のチャンネルから芸能人チャンネルまで幅広く対応しており、メディア様や企業様とYouTubeの番組を作ったりもしています。

仕組み化でいうと、チャンネル分析のレポート自動化の他にも動画編集の自動化などにも着手しています。これは映像内で話している事を文字化し、自動でテロップ入れをするもので、動画の編集者からするととても効率的になります。

そしてアニメも1枚1枚描くのではなく、キャラクターを動かせばアニメになる、従来とは違った作り方や技術を考えたりもしています。また、バーチャルのところでは、VR空間上で1対1で話せる権利を売買したり、キャラクターと直接触れあっているようなチェキをとれる、AR技術の活用も積極的におこない、とても売れていますね。

このように、テクノロジーを駆使して、スターやIPコンテンツの創出を支援し、新しいコンテンツ産業を担うメガベンチャーを目指しています。従来の広告会社、プロダクションや制作会社とは違ったアプローチで、この業界を変えていこうというのを私たちはやろうとしています。