YouTuberという生き方を可能にする

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(画像=株式会社ZUU)

――今はYouTubeを中心にやられていますが、元々起業した当初のときからこの分野をターゲットにしていたのですか?

2014年に起業した当初は、本当に何も決めていませんでした。それで「どうしようかな?」と思ったときに、元々動画を見るのも撮るのも作るのも好きだったので、動画に関するメディアを作ったんです。でも初めは全然伸びませんでした。

それで「ピボットが必要だな」と思ったときに、たまたまそのメディアにコンテンツを提供してくれているYouTuberの友達と企業様をマッチングする機会があったんです。そのときに初めてYouTuberの存在を知り、今後それが会社設立の目的である新しい産業や文化を生み出すものになり得ると思って、ピボットしたという感じですね。

私たちがこのような事業を始める前、インフルエンサーは副業や学生の趣味程度で、専業の仕事としてできるっていう人はいなかったんですよ。

それで「職業としてまず成立させよう」っていうところからスタートして、今やアマチュアみたいな人でも、僕らが仕事を提供した事によって、それが新しい働き方や生き方となり、生活していけるようになってきたんです。そういう新しい生き方の選択肢を提供できるということには、社会的な意義も感じています。

急成長のなかの組織づくり

――昨年は60名だった社員が今は120名と、時代の流れに乗ってまさに今急成長されていますが、それゆえの苦労などはありますか?

組織の運営においては、1年半前ぐらいでしょうか、50名以上を超えたタイミングで暗黙知がだんだん効かなくなり、矢継ぎ早に課題として噴出しはじめたと思います。ルールや仕組みがまだ整っていないままで人が一気に増えたので、幹部層が手薄になったんですね。

なので、組織の幹部層に関しては、ちゃんと引き上げていくという事をやりはじめました。急な部分もあるので、ある程度ポテンシャルを見込んだうえで、リスクをとって上げていく事もやっています。あとは、生え抜きだけではやっぱり時間軸として育成が追いつかない部分が当然あるので、採用も含めて両面で対応をしてきています。

社内のルールや仕組みづくりについては、本当にもう日々改善しかないですね。先手を打つこともありますし、表出するその課題や社員からの「こういうのをやった方がいいのでは?」という意見をもとに一つ一つ解決していくことも両方あります。特に、50人超えたときは課題の方が多かったので、問題が表面化して解決していくのがほとんどですね。

本当に会社の課題はいろんな方面から出てくるんですよね。従業員だけではなく、クライアント、インフルエンサー、事業サイドからもあります。組織サイドでも労務管理だとか、あと法務的なものだとか。

証券会社さんや監査法人さんから指摘される事項もあるので、多方面からご意見をいただきながら、いろんな形で仕組みを作って、内部統制していくっていうところを、ただひたすらに進めていき、強い組織体制になってきたかと思います。

日々改善と言ってもどこの会社もそうだと思うのですが、結局これをどれだけスピーディーにやるか、人としっかり向き合えるか、周囲にアドバイスをもらえる環境にあるかなどで、組織崩壊するかしないか、良い組織を作れるかどうかが大きく変わってくると思っています。

効率的な会議と1on1を各レイヤーに組み込む

――組織に仕組み化を構築させるために、具体的にどういったプロセスをとりましたか?

まず第一にミッション、ビジョン(BitStarだとタグライン)、バリューが大事で、BitStarが何を目指していて、何を行動指針として是とするのか、朝会、月例会、デザイン周りで伝え続けるというのを大前提やっています。最近だとより浸透しやすいものにするためにリブランディングを実施しました。

また、私たちもまだまだだと思いますが、事業計画、目標設定、日々の行動への落とし込み、会議体、1on1、評価の設計まで連動させることが非常に重要だと考えています。

会議体でいえば、大前提、目標やKPIと連動するものを定点観測する必要があり、それに基づき、事前にアジェンダを用意し、進捗報告、そこからどう挽回していくのか、あるいは、さらに上げていくための施策はどういったものかなどを、しっかり出してもらいます。そしてそれをちゃんと推進できているかどうかを、数値で可視化するというのが大事な点ですね。

上記のようなことを役職間の会議体で、みんなでフィードバックしあいます。それで「じゃあ翌週には改善します」となれば、また次に出てきたアウトプットを見て、また意見交換する。

1on1に関しては、役職間で必要に応じて週次で設けたり、あるいは、評価に関しては、評価者が必ず月一で1on1をやったりしています。僕自身も管掌役員との1on1を毎週やっているので、そこで事業の推移を定点で見るという事はやっています。

このように、情報の流通が上から下へ、下から上へというのを、ちゃんとフィードバックが発生するサイクルを組織の仕組みとして作ることが大切です。いわゆる人間でいう血流みたいなものですね。もしガンみたいなものがあって血流が止まると病気になるように、自分の意見が上へ伝わらなければ、あるいは下に伝わらなければ、だんだん下も何も言わなくってしまって、それが辞める原因になったりしますので。

また上から情報が下りてこないとか、逆に上からまとまって来たりして、現場の負担となることも組織の課題として出てきます。それを防ぐためには、しっかりと定例化、仕組み化することを、従業員が数十人の前半ぐらいになった頃からやる事が大事だと思いました。

会社のゴールを明白にする

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(画像=株式会社ZUU)

――これだけ人数が多くなってくると、組織を一つのベクトルに向かわせることも大変になってくると思いますが、どのような工夫をされていますか?

最終的な会社としてのゴールのところから現場のところまでは、全部つながっていると思いますので、OKRでしっかり共有するということはやっていますね。OKRから逆算して、「この時期までに業界ナンバー1になるなら、今マイルストーンを引くと、この時までにどうなってないといけないのか」というのを年間に落として、さらに半年に落とし、さらにグループに落としていく、というようなことですね。まだ完璧にできているわけではないですが、心がけとしては持っています。

例えばですが、広報という分野で自分たちの会社が第二位だったとする。その場合、その分野の1位とベンチマーク比較したときのメディア露出量を可視化すれば、そこに追いつくためにはどのぐらいの量が必要なのかが出てきます。つまりWEBメディア、それこそテレビや新聞に取り上げられている量ですよね。そこのアクションに満たない場合は、「じゃあ、どうしたらその量に追いつくための施策ができるの?」という事が課題になってくるかたちです。まずは可視化して、現状を把握することが大切です。