◉国家破産のダメージは資産運用で補える範囲のものなのか?
ただそもそも論になってしまうのですが、一つ重大な懸念があります。
橘さんの言う「最終ステージ」が現実化し、本当に日本国債に端を発した金融危機が起きた場合、資産運用で多少上手く立ち振る舞えばどうにかなるような問題を超える可能性も高いのではないかということです。金融以外で日本社会がどう変わってしまうのか、仕事がどうなるか、生活がどうなるかというリスクと向き合う必要があります。
人によってはその答えを海外移住などに求めるのかもしれません。
参考:
海外移住って、実際どうなの?〜シンガポール移住の注意点〜
インフレ率や国債金利が10%とか20%になったら大事です。
まず国債を大量に抱えている邦銀は全滅か、それに近い状態になるでしょう。またそうすると多くの日本企業が倒産し、失業者が溢れることになります。またシナリオの実現が急激か段階的かによっても異なるでしょうが、日本経済、ひいては世界経済も想像がつかないくらいに悪化する可能性があります。
リーマン・ブラザーズというたかが大手の一角に過ぎない一金融機関が破綻しただけで、世界経済は一時的にパニックとなり、大きく落ち込みました。また経済的には小国であるギリシャの財政懸念でユーロ全体が揺れに揺れています。
JGB(日本国債=Japanese Government Bond)危機に端を発する世界金融危機が起き、日本という世界3位の経済規模を持つ国家とその国の金融機関や企業がこぞって破綻した場合、世界は一体どうなってしまうのでしょうか。
絶妙なタイミングで大きくレバレッジを掛け大儲けが出来る投資家も、プロ・アマ問わずごく一部にはいるでしょう。しかし、大多数の一般人には難しいと思われます。
大多数の一般人は、多少金融市場で儲けが出た、あるいは財産を保つことが可能だったとしても、仕事や社会、政治を含めた日常生活のあらゆる面が悪い方向に働き良いことは無さそうです。
参考:「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」マイケル・ルイス/著 東江一紀/訳
◉個人的な処方箋〜流動性の確保と心構え〜
ただそれでも、自分の生活と金融資産を守るため、最低限のリスクヘッジは考えておきたいところです。
また「破滅シナリオ」が現実化しなくても、現実味を帯びてきた段階で、金融市場は橘玲さんの想定する「破滅シナリオ」に近い状況になる可能性があります。
私が個人的に思うことは、将来的な危機への懸念の可能性を考慮するならば、中長期的な観点ではなるべく流動性のある資産を持っておくのが良いということです。個人のバランスシートの左側(資産)は固定しない、右側(負債)は金利を固定しておくことが大切です。
私事ですが、私はたまたまリーマン・ショック発生時の1年位前から金融資産のかなり多くの部分を預金にしていました。そのためリーマン・ショックのダメージをある程度回避でき、その後のバーゲンセールで買う側に回ることが出来ました。
日本の国家財政の問題は、日本国民としてはナイーブで難しい問題です。
たた、ハードランディングかソフトランディングになるか分かりませんが、向こう10年以内に現実化する可能性が無視出来ない程度にまではリスクが高まっているのではないかと私も思っています。
結局、本書で紹介されているような対処法については事前に良く理解しておき、いざという時にはすぐに動ける準備をしておくことが大切です。そして自分なりの心の準備を持っておき、世の中の扇動に惑わされないようにというのが、現段階で必要な心構えなのかもしれません。
以上、日本の国家財政が破綻するといった破滅シナリオを迎えた時の処方箋についてまとめさせて頂きました。
ただ1番難しいのは、破滅シナリオが起きた時の対応策よりも、破滅シナリオが起きる兆候をどう読み、動くタイミングをどう判断するとなります。
しかし「その時」までまだしばらくの時間はありそうですし、日本の危機の可能性に情報面で有利なのは日本人です。破滅シナリオが実現しないことを祈りつつ、実際に起きてしまったら、なるようになるしかありません。
やはり個人はまず自分のことは自分で何とかするぞという気概を持つことが一番大事なのかもしれません。
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ブログ著者の同意のもと、下記のブログ記事を参考に一部修正の上、掲載しています。
参照Blog記事
[感想と書評]日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル 橘玲/著
より
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dierk schaefer
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