(本記事は、丸林 信宏氏の著書『お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか』の中から一部を抜粋・編集しています)

「太陽光発電投資」と「不動産投資」は、収益構造がよく似ている

お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか
(画像=naka/stock.adobe.com)

太陽光発電と不動産投資の「分散投資」が多い理由

優秀な投資家は、一極集中型の投資をせずに、分散投資を実践しています。

分散投資……特性の異なる複数の資産を組み合わせること

それぞれの資産は、常に同じ値動きをするわけではありません。異なる値動きをする資産を組み合わせておけば、特定の資産が値下がりした場合にも、他の資産の値上がりで損失をカバーできるため、全体としての影響を最低限に抑えることができます(投資する地域や、投資する時期・時間を分散させる考え方もあります)。

太陽光発電に投資するお金持ちの中には、不動産投資の経験者も数多くいます。

太陽光発電投資と不動産投資はビジネスモデルが似ていて、

● 土地を有効活用して、収益を得る
● 長期にわたって、「インカムゲイン」が得られる

といった共通点があるからです。

しかし最近では、「不動産投資を減らして、太陽光発電の比率を増やそう」と考えるお金持ちが増えてきた印象です。

太陽光発電投資への関心が高まっているのは、他の投資に比べて、「安全性が高い」ことが一因です。

太陽光発電投資と不動産投資、どちらが安全か

太陽光発電投資と不動産投資は、「土地を活用する」「初期投資が大きい」「売電収入や家賃収入などのインカムゲインを得る」といった点で、とてもよく似た収益構造を持っています。

● 太陽光発電……発電設備から得る売電収入
● 不動産……土地建物から得る賃料収入

太陽光発電投資に注目が集まる理由を、不動産投資と比較しながら、考えてみます。

①収益の安定性

● 不動産投資
……入居者があるかぎり、賃料収入は続きます。売却を視野に入れた運用も可能です。

ただし、空室リスクや、賃料の下落リスクがあります。入居者が長期間借りてくれる場合には安定的に収益を確保できますが、入居者の確保ができないと、収益が安定しません。

太陽光発電に比べて景気の影響を受けやすいので、好景気になると高い収益が期待できますが、景気が冷え込むと収入が減少する危険性があります。

リーマンショックや消費税増税の影響で減少が続いていた東京の地価も、2014年以降は約4%上昇しています。「東京オリンピック」の開催が決定し、中古物件や新築も人気が高まってきています。

しかし、「東京オリンピック後も不動産価格が上昇する材料は見当たらない」とも言われているので、楽観はできません。

● 太陽光投資
……太陽光発電によって生じた電気は、電力会社に「20年間固定」で買い取ってもらえるので、収益が安定します。景気変動の影響を受けにくく、不動産投資の「空室リスク」に相当するものもありせん。

しかし、太陽光発電には、「天候リスク」があります。日照量が減れば発電量が減るため、売電収入が下がることが考えられます。

また、「21年目」以降は当初の売電単価では売電ができないため、収益性が不透明です。

②利回り

● 不動産投資
……都心部だと「6%前後」。立地、物件によって幅が大きくなります。

● 太陽光投資
……「10%前後」で安定的に運用できます。

③資金調達

● 不動産投資
……物件を担保にできるので、比較的、融資を受けやすい状況です。

● 太陽光投資
……銀行は、不動産に比べると融資に慎重な銀行がありますが、政府系金融機関など、再生可能エネルギーに融資する金融機関も増えてきました。

④維持・管理

● 不動産投資
……不動産投資の場合は修繕積立金や管理費、不具合が生じた場合の修理費などが生じます。入居者がいない場合には募集のための広告料などもかかります。

● 太陽光投資
……メンテナンスに必要な費用(点検、修理)が発生します。当社の場合、低圧向けのメンテナンス料金(24時間監視、トラブル発生時のかけつけ対応、除草、保険などのメンテナンスをパッケージ化)は、22万円(年間/1物件あたり)です。

⑤流動性

● 不動産投資
……常に流動性があり、購入時より売却時の価格が高くなることもあります(キャピタルゲイン)。中古市場が整備されているため、新築で建てて、ある程度収益を回収したところで売却して流動化することもできます。

● 太陽光投資
……不動産投資に比べてまだ中古市場が整備されていないため、出口戦略を確保しにくい面があります。

ですが、太陽光発電も中古市場が動きはじめているため、今後は、中古太陽光発電所の売却が積極的に行われると予想されています。

当社のお客様である鈴木良勝さんは、現在、不動産と太陽光発電の2つに投資をしていますが、長期的に考えると、「これからの時代は、不動産投資よりも太陽光発電投資のほうが、優位性がある」と考えています。

「現在もアパート経営をしていますが、アパート経営は需要より供給過多になっていて、東京や隣接地区ではまだしも、全国的に見ると、決して好転はしないと感じています。

また、私の年齢的にも体力的にも、管理や修繕を続けるのはきつくなってきました。

株式も考えましたが、一喜一憂するのも面倒ですし(笑)、金投資も太陽光発電に比べると、安定性がないように思います。

それに比べて、太陽光などの再生可能エネルギーは、メンテナンスさえしっかりやっていれば利回りもよく、継続的に収益が望めますから、10 年先、20年先を考えた場合に、非常にメリットがあると感じています」(鈴木良勝さん)

「不動産投資と太陽光発電投資のリスクの深刻さ」を比較したとき、「太陽光発電のほうが安全性は高く、リスクが低い」と考えている投資家が多くなっています。

お金を増やす人は投資をするときどこを見ているのか
丸林 信宏(まるばやし・のぶひろ)
株式会社アースコム代表取締役社長
1977年、福岡県朝倉市生まれ。専門学校卒業後、完全フルコミッション型の住宅機材の営業を経て、2008年に株式会社アースコムを設立。再生可能エネルギー分野で画期的なビジネスモデルを構築する。
アースコムは、売上41億円、6期連続増収増益。産業用太陽光発電の会社としては全国トップレベルで、本社がある埼玉県に所在する全業種の中で売上高第2位。
また、県の産業労働部より「経営革新計画承認企業」「多様な働き方実践企業」と認定され「超優良企業」として、Yahoo! ニュースをはじめ、さまざまなメディアに取り上げられている。

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