8月28日、ソフトバンクグループ(以下、SBG) <9984> は、グループで保有する通信子会社のソフトバンク <9434> 株の売り出しを発表した。約9億2749万株の売り出しで、さらに投資家の需要が強ければ最大1億57万株のオーバーアロットメント(追加枠)の売り出しも行う。オーバーアロットメントまでを含めると最大約10億2800万株(発行済株式の21.7%)の売り出しで、政府保有株の民営化の案件を除くと過去最大級となる。

最近のソフトバンク関連の話題といえば上記の大型売り出しに加え、自社株買い、日経平均採用、そしてSBG傘下の英半導体設計大手アームの売却、株式非公開化の協議再開の観測報道などがある。今回は株式売り出しの話題を中心に、同社の投資環境をチェックしてみよう。

財務体質の改善に向けた「4.5兆円プログラム」

ソフトバンク,株価
(画像=YNS / pixta, ZUU online)

SBGによると、今回の株式売り出し価格は9月14日〜16日の間に決定(値決め日)し、受け渡し(払込日)は9月23〜25日のいずれかになる見通しである。売り出し価格は値決め日のソフトバンク株の引値に対し、0〜10%のディスカウントで決定する。

そもそも今回のソフトバンク株の売り出しは、SBGが今年3月23日に公表した「4.5兆円プログラム」の一環と見られる。SBGは2020年3月期に新型コロナ危機による世界同時株安で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資先の減損が膨らみ、最終損益が9615億円の赤字となった。そうした状況下で、財務体質の改善に向けて保有資産の売却等を掲げたのが「4.5兆円プログラム」だった。