さまざまな金融機関が住宅ローンを取り扱っているが、最近はネット銀行の住宅ローンを利用する人が増えている。ネット銀行6行の住宅ローンを比較しながら、ネット銀行の住宅ローンが選ばれる理由を探っていこう。

1,住宅ローンとは

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(画像=BRAD/stock.adobe.com)

住宅ローンは比較的低金利で借入ができるのが魅力だが、誰でも利用できるわけではない。

住宅ローンの利用目的

住宅ローンの利用目的は、原則として「ローン申込者自身が居住する住宅の取得資金」に限られている。これには新築住宅の建設・購入資金、中古住宅の購入資金とリフォームの費用が含まれる。

住宅金融支援機構が提供する「フラット35」であれば、申込者本人が利用する別荘などのセカンドハウスや、両親や子どもが居住する住宅の取得資金についても、通常と同じ条件で借入ができる。これはあくまで例外であり、銀行などの民間金融機関では、セカンドハウスの取得に自宅を購入する場合と同じ条件の住宅ローンを利用することはできない。セカンドハウスの取得資金として利用できる「セカンドハウスローン」を取り扱う金融機関もあるが、通常の住宅ローンよりも金利は高めに設定されている。

住宅ローンは、人に貸すことを目的とした「賃貸用物件」や「投資用物件」の取得資金に充てることはできない。自身の居住用と偽って投資用物件を購入する住宅ローンの不正利用はニュースにもなった。不正が発覚すれば、ローンを一括返済しなければならない。

住宅ローンが借り入れられる条件

住宅ローンを借り入れる際は、安定収入があるか、年齢や健康状態に問題はないかなど、さまざまな観点で申込者の返済能力が審査される。この審査に通らなければ、住宅ローンを借り入れることはできない。

審査基準は金融機関や住宅ローン商品によって異なるため、ある銀行の審査に通らなった人でも、別の金融機関の審査に通ることがある。

住宅ローンが借り入れられる場所

住宅ローンは、銀行(メガバンク・地銀・ネット銀行)や信用金庫、JA、住宅ローン専門会社などで借り入れることができる。勤務先で財形貯蓄をしていて、一定の条件を満たしていれば、金融機関を通じて「財形住宅融資」を利用することもできる。

2,ネット銀行の住宅ローンを利用する3つのメリット

ネット銀行の住宅ローンには、主に以下のようなメリットがある。

メリット1,金利が低い

ネット銀行の住宅ローン金利は、大手銀行の住宅ローンと比べて低い傾向にある。ネット銀行と大手銀行の変動金利を比較したのが、以下の表だ(2020年9月時点)。

  銀行名 変動金利(※1)
(新規・年率)
総返済額の目安
(※2)
ネット銀行 ジャパンネット銀行 0.380% 3,175万800円
auじぶん銀行 0.410% 3,189万1,796円
住信SBIネット銀行
(住宅ローン
WEB申込コース)
0.320% 3,189万1,796円
ソニー銀行
(変動セレクト
住宅ローン)
0.397% 3,211万3,492円
イオン銀行 0.520% 3,241万2,231円
楽天銀行
(住宅ローン・
金利選択型)
0.527% 3,244万5,555円
大手銀行 三菱UFJ銀行 ネット 0.525% 3,243万6,019円
店頭 0.625% 3,291万4,084円
三井住友銀行 Web申込 0.475% 3,219万8,657円
店頭 0.575% 3,267万4,503円
みずほ銀行 ネット 0.525% 3,243万6,019円
店頭 0.625% 3,291万4,084円
りそな銀行 融資手数料型 0.470% 3,217万4,997円
保証料
一括前払い型
0.525% 3,243万6,019円
※1 最大金利引き下げ時の金利(各行サイトより、2020年9月時点)
※2 借入期間30年、借入金額3,000万円、元利均等返済、ボーナス返済なし、最大金利引き下げ時の金利が適用され、借入期間中の金利変動がないとして総返済額を試算

業界最低水準の年率0.38%のジャパンネット銀行を筆頭に、金利はネット銀行の大手銀行に比べて低いことがわかる。とはいえ大手銀行の金利もそれほど高いわけではなく、特にネット専用の住宅ローンはネット銀行の住宅ローンに引けを取らない。

メリット2,保証料がかからない

大手銀行や地銀の住宅ローンを契約する際は基本的に保証料がかかるのが、ネット銀行の住宅ローンでは保証料がかからない。

メリット3,郵送・オンラインで銀行とのやりとりが完結

ネット銀行の住宅ローンは、仮審査の申込から契約まで、銀行とのやりとりは原則郵送とオンライン上で完結する。契約(決済)や登記申請などのために司法書士と面談する必要はあるが、何度も銀行に出向く必要がなく、都合の良い時間に手続きができるのはメリットと言える。利用できる金融機関が少ない地域に住んでいる人でも、利用しやすいはずだ。

3,ネット銀行の住宅ローンを利用する4つのデメリット

ネット銀行の住宅ローンには以下のようなデメリットがあるので、利用する際は注意してほしい。

デメリット1,審査のハードルが高い

いくら条件が良い住宅ローンがあっても、審査に通らなければ利用できない。住宅ローンの審査基準は公表されていないが、金利が低く、審査で融通がきかないと言われているネット銀行の住宅ローンは、申込条件や審査のハードルが高い傾向がある。

住宅ローンの申込条件の一つに年収基準があるが、ネット銀行6行ではそれぞれ下表のようになっている。

銀行名 年収(所得)基準
楽天銀行 400万円以上
ソニー銀行 400万円以上
ジャパンネット銀行 200万円以上
auじぶん銀行 200万円以上
イオン銀行 100万円以上
住信SBIネット銀行 公表なし
※各行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)

ネット銀行の中でも、年収基準には差があることがわかる。楽天銀行やソニー銀行の「400万円以上」というのは、以下の年収基準を参考にしてもなかなかハードルが高いことがわかる。

(参考)年収基準ごとの住宅ローン取扱金融機関数

回答数 年収基準
  100万円以上 150万円以上 200万円以上 250万円以上 その他
1,139 259 625 85 14 175
出典:国土交通省住宅局「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」

デメリット2,対面での相談が難しい

ネット銀行の住宅ローンには、郵送やオンラインで手続きができるというメリットがあるが、対面での相談が難しいというデメリットがある。しかし、イオン銀行や住信SBIネット銀行、ソニー銀行などでは住宅ローンの相談窓口を設けている。電話やチャットによるサポート体制もあるので、相談窓口のないネット銀行でも個別相談ができる。

デメリット3,融資事務手数料が割高

ネット銀行の住宅ローンは、保証料がかからない代わりに、融資事務手数料が割高に設定されていることが多い。よって、保証料と融資事務手数料を併せて比較する必要がある。

繰上返済によって返済期間が短縮された場合、保証料は短縮された期間に応じて一部が戻ってくるが、融資事務手数料は戻ってこない。繰上返済や借り換えを行う場合、融資手数料型の住宅ローンは利用者側が不利になることを覚えておこう。

デメリット4,審査に時間がかかる・書類を自身で作成するため不備に気付きにくい

審査で郵送によるやりとりが必要な場合、郵送にかかる時間も含めて審査に時間がかかる。また自身で書類を作成するため、不備があっても気づきにくい。不備に気づかずに書類を送ってしまうと再提出しなければならないので、さらに時間がかかってしまう。

ネット銀行の中には、書面による契約書の記入が不要で、必要書類をアップロードすることで提出できる銀行もある。このような銀行であれば、郵送の手間がかからず不備も出にくいため、比較的手続きはスムーズだ。

4,ネット銀行6行の住宅ローンの特徴を比較

ネット銀行の住宅ローンは、それぞれに特徴がある。ここでは、ネット銀行6行が取り扱う住宅ローンの特徴を比較しながら見ていこう。

1 楽天銀行・住宅ローン(金利選択型)……融資手数料が一律、がん50%団信無料付帯、つなぎ融資利用可

楽天銀行の「住宅ローン金利選択型」は、融資手数料が一律33万円(税込)に設定されている。融資手数料は融資額の2.2%(税込)が相場であり、借入額が1,500万円を超える場合は相場よりも有利になる。

団信には、死亡・高度障害状態の保障に加え、就業不能保障とがん50%保障が無料で付帯する。就業不能保障の保障内容は、所定の就業不能状態が毎月27日時点で15日以上続いた場合にその月の返済が免除され、その状態が1年を超えて続いた場合は住宅ローン残高が全額免除されるというもの。がん50%保障は、がんと診断された場合に住宅ローン残高の50%相当額が免除される。金利を上乗せすれば、保障を手厚くすることもできる。

楽天銀行の住宅ローンは、ネット銀行では珍しく「つなぎ融資」にも対応している。つなぎ融資とは、住宅引き渡し前に実行される融資のことで、注文住宅を購入する際の土地の購入代金や中間金など、住宅の引き渡し前に必要になる資金を借り入れることができる。

楽天銀行の住宅ローン(金利選択型)の概要は、以下の表のとおりだ。

楽天銀行・住宅ローン(金利選択型)の概要

借入金利
(年率)
※新規
変動金利 0.527〜1.177%
固定金利 3年 0.806〜1.456%
5年 0.830〜1.480%
10年 0.944〜1.594%
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 一律33万円(税込)
団体生命保険料 ・一般団信(特約なし)、
全疾病特約付団信、
50%保障がん団信
(全疾病保障特約付):
金利上乗せなし
・100%保障がん団信:金利+年0.2%
・夫婦連生型団信:金利+年0.2%
・失業保障・入院保障特約:
借入金額100万円あたり年間800円
申込手続き 借入までの流れ 1,Webから事前審査(仮審査)申込
2,申込書類の記入・返送(書面・郵送)
3,口座振替依頼書など必要書類の提出(郵送)
4,契約書類の記入・返送(書面・郵送)
5,契約手続き
6,司法書士面談
7,融資実行
仮審査日数 最短翌営業日
本審査日数 必要書類がすべて揃ってから最短5営業日後
借入条件 申込資格 ●    借入時65歳6ヵ月未満、完済時満80歳未満
●    日本国籍または、
永住許可などを受けている外国人
(日本国内に居住し、ローン契約時に国内にいること)
●    前年年収(申告所得)が400万円以上
(申込人と連帯債務者合算)
●    年間返済割合(※1)30〜35%以下
(申込内容に応じて楽天銀行が決定)
借入金額 500万円以上1億円以内
※楽天銀行所定の担保評価に
基づく金額を上限とする
※諸費用を含めることもできる
資金使途 ・申込者本人の居住用新築住宅の
建設資金または購入資金、
中古住宅の購入資金、諸費用
・住宅ローンの借り換え資金、
借り換えと合わせた増改築資金、諸費用
担保 融資対象物件(建物・敷地)に
楽天銀行が第一順位の抵当権を設定
保証人 不要
団体信用生命保険 必須
・一般団信(特約なし)
・全疾病特約付団信
【加入時満50歳未満の人のみ加入可】
・50%保障がん団信(全疾病保障特約付)
・100%保障がん団信(全疾病保障特約付)
火災保険 借入期間中、借入対象の住宅に
火災保険加入が必要
※借地などで敷地に抵当権を
設定できない場合には、
火災保険の保険金請求権に
楽天銀行が質権を設定
返済 返済方法 ・元利均等毎月返済
・元金均等毎月返済
※融資金額の40%以内で
6ヵ月毎のボーナス払いも併用できる
繰上返済 繰上返済手数料(一部・全額):0円
※1万円以上1万円単位で繰上返済ができる
遅延損害金 年14.5%
※楽天銀行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)
※1年間返済額の年収に占める割合

楽天銀行の住宅ローンには、住宅ローン(金利選択型)のほか、「フラット35」、フラット35と変動金利を組み合わせた「固定と変動」がある。

2,auじぶん銀行・住宅ローン……変動金利は「auじぶんでんき」とセット契約で業界最低水準、がん50%・全疾病保障付団信無料付帯

auじぶん銀行の住宅ローンは通常でも変動金利が低いが、「auじぶんでんき」とセットで契約することで金利がさらに年0.03%下がり、業界最低水準になる(2020年9月時点)。例えば30年ローンで3,000万円を借り入れた場合、毎月の返済額は約400円安くなる。大きな差ではないが、普段の生活は何も変えずに電気代も安くなるのであれば、メリットはあるだろう。

団信には、死亡・高度障害状態の保障に加え、就業不能保障とがん50%保障が無料で付帯する。就業不能保障の保障内容は、入院が31日以上続いた場合にその月の返済が免除され、入院が180日を超えた場合は住宅ローン残高が全額免除されるというもの。精神障害を除く、すべての病気・ケガが対象になる。がんと診断された場合は、住宅ローン残高の50%相当額が免除される。金利を上乗せすれば、保障を手厚くすることもできる。

auじぶん銀行の住宅ローンの概要は、以下の表のとおりだ。

auじぶん銀行・住宅ローンの概要

借入金利
(年率)
新規 全期間引き
下げプラン
当初期間引き
下げプラン
変動金利 0.410% 0.440%
固定金利 3年 1.520% 0.570%
5年 1.500% 0.590%
10年 1.500% 0.550%
「auじぶんでんき」をセットで契約した場合、上記より年0.03%引き下げ
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 融資金額の2.2%(税込)
団体生命保険料 ・一般団信:金利上乗せなし
・ワイド団信:金利+年0.3%
・50%保障がん団信:金利上乗せなし
・100%保障がん団信:金利+年0.2%
・11疾病保障団信:金利+年0.3%
申込手続き 借入までの流れ 1,マイページ登録
2,仮審査申込(Web)
3,本審査・団信申込(Web)
4,契約手続き
5,司法書士面談
6,融資実行
仮審査日数 最短即日
本審査日数 最短2〜3営業日
借入条件 申込資格 ・auじぶん銀行に円普通預金口座を保有
・借入時満18歳以上満65歳以下、完済時満80歳の誕生日まで
・前年度年収(申告所得)が200万円以上
・auじぶん銀行指定の団信に加入できる
・借入対象物件に第一順位の抵当権設定可能
・日本国籍の人、または永住許可を受けている外国人
・auじぶん銀行が定める借入条件に該当
借入金額 500万円以上2億円以内
※諸費用は「売買契約書の金額×10%」(新規)、
「借り換えに伴う諸費用金額」(借り換え)の範囲内
資金使途 ・申込者本人または家族(配偶者・その他扶養家族
・本人および配偶者の両親)の居住する住宅の新築資金、購入資金、諸費用
・住宅ローンの借り換え、借り換えと合わせた増改築資金、諸費用
担保 融資対象物件(建物・敷地)にauじぶん銀行が第一順位の抵当権を設定
保証人 原則不要
(ペアローン・収入合算を利用する場合には連帯保証人が必要)
団体信用生命保険 必須
・一般団信
・ワイド団信
【加入時満50歳未満の人のみ加入可】
・50%保障がん団信
・100%保障がん団信
・11疾病保障団信(生活習慣病団信)
火災保険 借入対象となる建物に火災保険加入が必要
※保険請求権に対してauじぶん銀行を質権者とする
質権設定が必要になる場合あり
返済 返済方法 ・元利均等毎月返済
・元金均等毎月返済
※融資金額の50%以内で6ヵ月毎のボーナス払いの併用もできる
繰上返済 ・一部繰上返済手数料:0円
※1円以上1円単位で繰上返済ができる
・全額繰上返済手数料:固定金利特約期間中のみ
3万3,000円(税込)、変動金利期間中0円
遅延損害金 年14.0%
※auじぶん銀行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)

固定金利期間選択型は、当初期間引き下げプランを選べば比較的低い金利になるが、固定金利期間終了後には適用金利が約1%上がる(固定金利期間による差もあり)。繰上返済などを予定しているならいいが、固定金利期間終了後も長期間返済を続けるとなれば、負担が大きくなるので注意したい。

3,住信SBIネット銀行・住宅ローンWEB申込コース……低水準の金利・全疾病保障付団信が無料付帯、同条件の商品を店舗でも相談・手続きができる

住信SBIネット銀行の住宅ローンWEB申込コースは、変動金利の低さでは常にトップを争う商品だ。住宅ローンの借り換えの場合は、金利が優遇される。

団信については、死亡・高度障害状態の保障に加え、全疾病の就業不能保障が無料で付帯する。就業不能保障の保障内容は、返済日に就業不能状態であった場合にその月の返済が免除され、就業不能状態が1年続いた場合は住宅ローン残高が全額免除されるというもの。

精神障害を除くすべての病気・ケガが対象だが、8疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)以外が原因の場合、入院していることが条件となる。そのほか最初の1ヵ月は保障されないなど、条件はやや厳しい。

住信SBIネット銀行・住宅ローンWEB申込コースの概要は、以下の表のとおりだ。

住信SBIネット銀行・住宅ローンWEB申込コースの概要

借入金利
(年率)
新規 通期引き
下げプラン
当初引き
下げプラン
変動金利 0.41〜0.51%
借換:0.398〜0.498%
0.975〜1.075%
固定金利 3年 1.30〜1.40% 0.62〜0.72%
5年 1.37〜1.47% 0.66〜0.76%
10年 1.16〜1.26% 0.76〜0.86%
「auじぶんでんき」をセットで契約した場合、上記より年0.03%引き下げ
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 ●    全疾病保障付団信:金利上乗せなし
団体生命保険料 ・一般団信:金利上乗せなし
・ワイド団信:金利+年0.3%
・50%保障がん団信:金利上乗せなし
・100%保障がん団信:金利+年0.2%
・11疾病保障団信:金利+年0.3%
申込手続き 借入までの流れ 1,仮審査申込(Web)
2,本審査(正式審査)申込書類記入
・返送(書面・郵送)、団信申込(Web)
3,契約手続き(Webまたは書面)
4,司法書士面談
5,融資実行
仮審査日数 通常数時間から数日
本審査日数 すべての必要書類が到着後通常7〜10日程度
借入条件 申込資格 ・仮審査申込時満18歳以上、
借入時満65歳以下、完済時満80歳未満
・安定かつ継続した収入がある
・住信SBIネット銀行指定の団信に加入できる
・日本国内に居住
借入金額 500万円以上2億円以下
※「借入金額」欄に記載がございます。
資金使途 ・申込者本人または家族の居住用住宅に
かかる新築・購入資金、諸費用
・申込者本人または家族の居住用住宅にかかる
住宅ローンの借り換え資金、借り換えと
同時に行う増改築資金、諸費用
担保 融資対象物件(建物および敷地)に
住信SBIネット銀行の抵当権を設定
保証人 原則不要
(収入合算者は連帯保証人、担保提供者は物上保証人となる)
団体信用生命保険 必須
・全疾病保障付団信
火災保険 借入期間中、借入対象の住宅に火災保険加入が必要
※保険請求権に対して三井住友信託銀行を
質権者とする質権設定が必要になる場合あり
返済 返済方法 ・元利均等毎月返済
・元金均等毎月返済
※融資金額の50%以内で6ヵ月毎のボーナス払いの併用もできる
繰上返済 ・一部繰上返済手数料:0円
※1円以上1円単位で繰上返済ができる
・全額繰上返済手数料:固定金利特約期間中のみ
3万3,000円(税込)、変動金利期間中0円
遅延損害金 年14.0%
※住信SBIネット銀行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)

ネットのほか、住宅ローン店舗の「ローンプラザ」やSBIグループの総合相談窓口の「SBIマネープラザ」において、対面での相談や手続きに対応している。都市が中心であり利用できる人は限られるが、ネット専用商品と同じ条件で契約できる。Web上で電子契約をすれば印紙税はかからないが、書面契約の場合はかかるので注意したい。

4,ソニー銀行……低水準の金利、50%保障がん団信が無料付帯

ソニー銀行の住宅ローン商品には、「変動セレクト住宅ローン」「固定セレクト住宅ローン」「住宅ローン」がある。「変動セレクト住宅ローン」「固定セレクト住宅ローン」は金利が低く設定され、「住宅ローン」は金利は高いが融資事務手数料が一律44,000円(税込)と安くなっている。

団信は、死亡・高度障害状態の保障に加え、がんと診断された場合に住宅ローン残高の50%が免除される「がん団信50」が無料で付帯する。金利を年0.1%上乗せすると、がんと診断された場合に住宅ローン残高が全額免除されるほか、一時金100万円(上皮内がん・皮膚がんは50万円)とがん先進医療を受けた場合の治療費が保障される「がん団信100」が付帯する。

がんに加え、急性心筋梗塞や脳卒中で所定の状態となった場合に、住宅ローン残高が全額免除される「3大疾病団信」や、重度の生活習慣病により入院が180日以上続いた場合に住宅ローン残高が全額免除される「生活習慣病団信」を利用することもできる。「生活習慣病団信」には、生活習慣病以外の病気やケガによる入院に対する保障も含まれている。

ソニー銀行・住宅ローンの概要は、以下の表のとおりだ。

ソニー銀行・住宅ローンの概要

借入金利
(年率)
新規 変動セレクト
住宅ローン
固定セレクト
住宅ローン
住宅ローン
変動金利 0.397% - 0.757%
固定金利 3年 0.770% - 0.670%
5年 0.856% - 0.756%
10年 0.950%   0.850%
※借り換え、新規購入で自己資金10%未満の場合、上記+年0.05%
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 ・変動セレクト/固定セレクト住宅ローン:
融資金額の2.2%(税込)
・住宅ローン:一律4万4,000円(税込)
団体生命保険料 ・一般団信:金利上乗せなし
・ワイド団信:金利+年0.2%
【加入時満50歳未満の人のみ加入可】
・がん団信100:金利+年0.1%
・がん団信50:金利上乗せなし
・3大疾病団信:金利+年0.2%
・生活習慣病団信:金利+年0.2%
申込手続き 借入までの流れ 1,仮審査申込(Web)
2,本審査申込(書面・郵送)・団信申込(Web)
3,契約手続き(Webまたは書面)
・必要書類提出(Webまたは郵送)
4,司法書士面談
5,融資実行
仮審査日数 1〜3日程度(最短60分)
本審査日数 5〜10日程度
借入条件 申込資格 ・ソニー銀行に円普通預金口座を保有
・借入時満18歳以上満65歳以下、
完済時満85歳未満(ワイド団信利用時は満81歳未満)
・前年度年収(申告所得)が400万円以上
・ソニー銀行指定の団信に加入できる
・日本国籍または永住権を持つ人
・対象物件にソニー銀行第一順位の抵当権を設定できる
借入金額 500万円以上2億円以下
※物件購入価格+300万円を上限に諸費用も借入可能
・増改築資にかかる諸費用は不可
資金使途 申込者本人の居住用住宅の購入資金
(新築物件・中古物件)、住宅新築資金、
増改築資金、借り換え資金
担保 融資対象物件(建物および敷地)に
ソニー銀行が第一順位の抵当権を設定
保証人 原則不要
(ペアローン利用時や審査の結果により
連帯保証人が必要になる場合あり、
対象物件の共有者は担保提供者(物上保証人)となる)
団体信用生命保険 必須
・一般団信
・ワイド団信
【加入時満50歳未満の人のみ加入可】
・がん団信100
・がん団信50
・3大疾病団信
・生活習慣病団信
火災保険 借入期間中、借入対象の住宅に火災保険加入が必要
※保険請求権に対してソニー銀行を質権者とする
質権設定が必要になる場合あり
返済 返済方法 元利均等毎月返済
※融資金額の50%以内で6ヵ月毎の
ボーナス払いの併用もできる
繰上返済 繰上返済手数料(一部・全額):0円
※1万円以上1円単位で繰上返済ができる
遅延損害金 年14.6%
※ソニー銀行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)

ソニー銀行の住宅ローンは、自己資金(頭金)が10%以上あるかどうかで適用金利が変わる。頭金なしのフルローンなど、自己資金10%未満で購入を検討している人は注意が必要だ。

5,イオン銀行……店舗でも相談や手続きができ、200万円以上のリフォーム費用の借入にも利用できる

イオン銀行の住宅ローンはネットのほか、イオンモールなどにある店舗でも相談や手続きできる。金利水準も比較的低く、住宅ローンの借換えの場合はさらに優遇される。

金利を上乗せすると、団信にがん保障や8疾病保障などを追加できる。8疾病保障では、がんと診断された場合や、脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上続いた場合、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性すい炎で就業不能状態が12ヵ月を超えて継続した場合に、住宅ローン残高が全額免除される。

また、勤務先の倒産やリストラなどで失業し、失業状態が1ヵ月以上続いた場合は、最長6ヵ月間住宅ローンの返済が免除される。

イオン銀行・住宅ローンの概要は、以下の表のとおりだ。

イオン銀行・住宅ローンの概要

借入金利
(年率)
変動金利 0.52%(借換:0.47%)
固定金利 3年 0.43%
5年 0.55%
10年 0.62%(借換:0.57%)
※手数料定額型の場合、上記+年0.2%
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 いずれかを選択
・定額型:一律11万円(税込)
・定率型:融資金額の2.2%(税込)
※最低22万円(税込)
団体生命保険料 ・一般団信:金利上乗せなし
・8疾病保障特約付団信:金利+年0.3%
・ガン保障特約付団信:金利+年0.1%
・居住不能信用費用保険:金利+年0.05%
申込手続き 借入までの流れ 【Web申込の場合】
1,事前審査申込(Web)
2,正式審査(本審査)申込
3,契約手続き(書面・郵送)
4,司法書士面談
5,融資実行
※店舗での手続きもできる
仮審査日数 通常3〜7日
本審査日数 すべての必要書類が到着後1〜2週間程度
借入条件 申込資格 ・借入時満18歳以上満71歳未満、
完済時満80歳未満
(8疾病、ガン保障付住宅ローン選択時は、借入時満50歳未満)
・イオン銀行指定の団信に加入できる
・安定かつ継続した収入が見込める
給与所得者:6ヵ月以上の勤務
会社経営者、個人事業主:事業開始後3年以上
前年度年収(所得)が100万円以上
・日本国籍または永住許可を受けている人
借入金額 200万円以上1億円以内
資金使途 申込者本人が居住する住宅の新築・購入資金、
増改築・改装資金、住宅ローンの借り換え資金、
それらの諸費用
担保 融資対象物件(建物および敷地)に
イオン銀行が第一順位の抵当権を設定
保証人 原則不要
(収入合算者は連帯保証人となるほか、
審査の結果次第で連帯保証人が必要になる場合あり)
団体信用生命保険 必須
・一般団信
・8疾病保障特約付団信
・ガン保障特約付団信
火災保険 借入期間中、借入対象の住宅に火災保険加入が必要
返済 返済方法 元利均等毎月返済
※融資金額の50%以内で6ヵ月毎のボーナス払いの併用もできる
繰上返済 一部繰上返済手数料:0円
※1万円以上1円単位で繰上返済ができる
全額繰上返済手数料:5万5,000円(税込)
遅延損害金 年14.0%
※イオン銀行公式サイトより筆者作成(2020年9月時点)

イオン銀行の住宅ローンは、200万円以上から借入ができ、増改築(リフォーム)費用の借入にも向いている。

6,ジャパンネット銀行……金利は業界最低水準、団信にがん一時金や先進医療保障が無料付帯

ジャパンネット銀行の住宅ローンの特徴は、業界最低水準の金利だ。

団信には、死亡・高度障害状態の保障に加え、がんと診断されたときの一時金(100万円)や、がん先進医療の治療費の保障が無料で付帯する。金利を上乗せすれば、さらに保障を手厚くすることもできる。

ジャパンネット銀行・住宅ローンの概要は、以下の表のとおり。

ジャパンネット銀行・住宅ローンの概要

借入金利
(年率)
変動金利 0.380%
固定金利 3年 0.450%
5年 0.510%
10年 0.545%
諸費用 保証料 0円
保証会社手数料 0円
融資事務手数料 融資金額の2.2%(税込)
団体生命保険料 ・一般団信:上乗せ金利なし
・ワイド団信:金利+年0.3%
・一般団信プラス(がん先進付):上乗せ金利なし
・がん50%保障団信:金利+年0.1%
・がん100%保障団信:金利+年0.2%
・11疾病保障団信:金利+年0.3%
申込手続き 借入までの流れ 1,住宅ローン申込ナビ登録・事前審査申込(Web)
2,本審査申込(Web)・団信申込(Web)
・必要書類提出(Webまたは郵送)
3,契約手続き(Web)
4,司法書士面談
5,融資実行
仮審査日数 即日〜5営業日
本審査日数 3〜10営業日
借入条件 申込資格 1,ジャパンネット銀行の普通預金口座を保有
2,申込時20歳以上65歳未満、完済時80歳未満
3,前年度年収が200万円以上
4,日本国籍または永住許可を受けている外国人
5,ジャパンネット銀行指定の団信に加入できる
※個人事業主、自身または家族が経営する
会社に勤める人は原則利用不可
借入金額 500万円以上2億円以下
※借入金額に含めることができる諸費用は
「売買契約金額の10%(新規借入時)」
「借り換えに伴う諸費用金額(借換時)」の範囲内
資金使途 申込者本人が居住する住宅の購入資金、新築資金、
住宅ローンの借り換え、
借り換えと同時に行うリフォーム資金、
これらに伴う諸費用
担保 融資対象物件(建物および敷地)にジャパンネット銀行が第一順位の抵当権を設定
保証人 原則不要
(ペアローン・収入合算の利用時は
連帯保証人が必要になる。対象物件の共有者は
担保提供者(物上保証人)となる)
団体信用生命保険 必須
・一般団信
・ワイド団信
【加入時満51歳未満の人のみ加入可】
・一般団信プラス(がん先進付)
・がん50%保障団信
・がん100%保障団信
・11疾病保障団信
火災保険 借入期間中、借入対象の住宅に火災保険加入が必要
返済 返済方法 元利均等毎月返済
※融資金額の50%以内で6ヵ月毎のボーナス払いの併用もできる
繰上返済 一部繰上返済手数料:(Web手続き)0円、
(電話手続き)5,500円(税込)
※1万円以上1円単位で繰上返済ができる
全額繰上返済手数料:3万3,000円(税込)
遅延損害金 年14.0%
※ジャパンネット銀行HPより筆者作成(2020年9月時点)

個人事業主や、自身または家族が経営する会社に勤める人は、原則的に利用できない。個人事業主などは、収入が不安定なので住宅ローンの審査で不利と言われているが、明記されているケースは少ない。例外があるとしても、ジャパンネット銀行の審査に通るのは難しいと思われる。

5,ネット銀行の住宅ローンが向いている人は

ネット銀行の住宅ローンが向いているのは、以下のような人だ。

とにかく金利を重視したい人

大手銀行などでも比較的低金利の住宅ローンを取り扱っているが、金利ではやはりネット銀行のほうが優位だ。少しでも低い金利の住宅ローンを利用したい人は、ネット銀行が向いている。

公務員や医師といった安定収入のある属性が高い人

いくら金利が低くても、審査に通らなければ「絵に描いた餅」だ。上場企業の正社員や公務員、医師といった比較的収入の安定した人や、借入額に対して十分な収入のある人など、属性の高い人であれば、厳しいと言われているネット銀行の審査にも通る可能性が高い。

自分で情報を集め、自分のペースで手続きを進めたい人

ネット銀行の住宅ローンでは、ほとんどの手続きをパソコンやスマホを使ってWeb上で行うことになる。対面での相談はできないところが多いが、自分で情報を集めて、自分のペースで手続きを進めたい人には向いているだろう。不明点がある場合は、電話やチャットでのサポートを上手く活用したい。

スケジュールに余裕がある人

ネット銀行の住宅ローンは、申込から契約、融資実行まで1ヵ月程度、場合によってはそれ以上かかることもあり、対面で手続きを行う場合に比べて時間がかかることを想定しておかなければならない。その意味で、スケジュールに余裕のない人には向かない。

住宅ローンを借り換えたい人

住宅ローンの借り換えは、新規購入に比べて手続きがシンプルであり、スケジュールにも比較的余裕がある。借り換えの場合に金利が優遇される銀行もあるため、住宅ローンの借り換えを検討しているなら、金利の低いネット銀行の住宅ローンはおすすめだ。

6,それぞれの商品の特徴をしっかり理解して選ぶことが大切

住宅ローンは借入額が大きいため、条件が少し違うだけで負担が大きく変わる。万が一に備える団信の保障内容も重要だ。住宅ローンが免除される条件や、団信にかかるコストはよく確認してほしい。大手銀行や地銀、信用金庫など、ネット銀行以外の金融機関も含め、それぞれの特徴を理解した上で比較し、自身にあった住宅ローンを選んでほしい。

執筆・竹国弘城
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎

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