太陽光発電投資の失敗パターンは「契約金を入金してから業者と連絡がとれない」「思ったより収入が少ない」「台風で部品が壊れ大きな損害になった」など多岐にわたります。ネットで検索をすれば個人の投資ブログなどで事例を確認することも可能です。太陽光発電で失敗する理由は主に3つに分けられますが、適切な対策を行うことでよくある失敗を防ぐことができます。
太陽光発電投資は、安定した売電収入が得られることがメリットです。不動産投資のように空室により収入が大きく変動するリスクは低いといえます。しかし投資である以上、デメリットが全くないということはありません。「こんなはずじゃなかった」という事態に陥らないためにも、よくある失敗例から対処法を学びましょう。
太陽光発電投資で失敗してしまう理由3つ
太陽光発電投資で失敗する理由は、主に以下の3つに分けられます。
- 業者の選定ミス
- 事業として運営に失敗
- 自然災害や盗難などのリスクへの対策ミス
業者の選定を誤ると「詐欺にあう」「業者が倒産してしまう」といった事態に陥る可能性も高くなります。太陽光発電投資では、発電量をどれだけ上げるかが重要になってきます。業者が提示してくる日照時間のシミュレーションや利回り計算が甘かった場合、経営が苦しくなり事業を続けられなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
また太陽光発電の設備は定期的なメンテナンスが必要です。「想定より修繕費がかかる」「故障が多い」などのトラブルで経費がかさんでしまうケースもあります。さらに、台風や地震などの自然災害が影響を及ぼすことも少なくありません。
業者からリスクについて説明を受けていなかったり、知識がない状態で太陽光発電投資を始めてしまうとこのようなリスクに対応できず思わぬ損失で失敗してしまうことがあります。具体的によくある失敗例を4つ見ていきましょう。
太陽光発電投資でよくある失敗例4つ
1.業者が悪徳業者だった、業者が倒産した
悪徳業者に依頼すると、太陽光発電投資の詐欺にあったり施工会社が倒産したりしてしまう可能性が高くなり運営を行うことが困難になりかねません。例えば以下のようなケースもあります。
- 業者と契約した後契約金を支払っても音沙汰がなく連絡したら実は架空の会社だった
- 実は契約した時点で倒産直前の状態でその後倒産、契約金を持ち逃げされた
太陽光発電は長期にわたる事業となるため、開始後しばらくしてからメンテナンスや修理を依頼する機会が必ず発生します。しかし施工会社が倒産してしまった場合は、点検・修理を誰に頼めばいいのか分からなくなってしまうでしょう。また「パネルを傷つける」「土台がぐらついている」といったずさんな工事をするいい加減な業者も一部存在します。
2.現地を直接確認せず、想定より発電量が少なかった
土地が遠方にあったり忙しかったりするなどの理由で現地を確認せず失敗してしまうパターンです。図面で見ると良い条件でも現地に足を運んでみると「将来大きな影になりそうな樹木があった」「近隣の住民が反対していてのぼりを立てていた」など不安要素が見つかるケースがあります。樹木が大きくなり太陽光パネルが日陰になってしまうと発電量が大きく下がってしまいかねません。
他にも地元住民の反発があると施工前にトラブルや訴訟になってしまう可能性があります。
3.利回りの計算が甘い
業者が提示した利回りが甘めに設定されていると「思ったより売電収入が少ない」「経費が多くあまり利益が出ない」といった結果を招いてしまう可能性があります。業者が資料として見せる利回りは、多くの場合は表面利回りです。表面利回りは「売電収入÷物件価格×100」で計算しますが、できれば「実質利回り」でシミュレーションを行っておきましょう。
実質利回りは「売電収入÷物件価格-経費-税金×100」で計算します。経費は、修繕費やメンテナンス費用、損害保険の保険料といった運営にかかった費用を指し所得税・住民税などの税金も含みます。表面利回りのみで判断した結果「収益が少ない」という事態に陥ってしまうケースはよくあるため、必ず実質利回りで計算してみましょう。
4.台風で太陽光パネルが破損
中小企業庁が公表している「2019年度版中小企業白書」によると、2018年度における自然災害の発生件数は台風が57.1%と最も多く、被害額の大きさは地震が82.8%と突出して大きくなっています。
台風で太陽光パネルが破損したり大雨で配管の一部が流されたりするなどの自然災害による被害により、修理費がかさんでしまう可能性があります。火災保険や地震保険といった損害保険に加入していない場合、多額の修理費を自費で賄う必要がでてきます。
太陽光発電投資で失敗しないための対策
業者を口コミなどで確認する
業者を選定する場合は「インターネットでIR情報や口コミを見る」「実績や評判などを確認しておく」といった対策を取りましょう。以下のような情報がホームページで確認できる企業だと経営が健全な可能性が高いです。
- IR情報で営業利益・純利益が多く決算短信が黒字
- 経営方針が時代に沿っており的確
施工会社は長期的に信頼できる企業を選び、倒産してしまった場合は代わりの業者を早めに探しましょう。また業者が提示した収支シミュレーションの発電量の根拠となる「日照時間が間違っていないか」「利回りの計算が甘くないか」といったデータの根拠を業者に確認しましょう。
収支シミュレーションは正確に自らで行う
自身でも想定できる実質利回りを計算したり、直接現地に足を運び日照時間を確認したりするなどの方法で精度の高い収支シミュレーションを行うことができます。太陽光発電にかかるコストは、導入時は工事費、パネルなどの機器代、手続き費用などを含めた諸経費です。維持費となるランニングコストは、メンテナンス・修理費用、パワーコンディショナーの電気代、清掃費用などになります。
年間のランニングコストや保証期間などを業者にしっかりと確認しましょう。経済産業省の資料によると2018年度に設置された10kW以上のシステム費用の中央値は1kWあたり約27万4,000円です。また2017年7月~2018年9月に収集したデータによると、10kW以上全体における運転維持費の中央値は1kWあたり4,600円が見積もられています。
税金は、土地を取得した場合に発生する不動産取得税・固定資産税・都市計画税、売電収入を得た場合は所得税・住民税の納付額が上がるため試算しておきましょう。
損害保険に加入する
自然災害のリスクを軽減するために火災保険や地震保険に加入することも対策の一つです。ただし損害保険料も年々上昇傾向のため、費用を抑えたい人は自治体が公表しているハザードマップで所在地の自然災害リスクを確認し台風が多い地域は火災保険の風災保証、地震が起きそうな場合は火災保険に地震保険を付帯するなど地域に合わせた方法で保険を契約しましょう。
対処法を学び、失敗・リスクの少ない太陽光発電運営を
太陽光発電投資を成功させるには、失敗してしまう理由やよくある失敗例と対処法について事前にしっかりと把握しておくことが重要です。投資・事業経営にリスクや失敗はつきものですが、できるかぎりの対策を行い少しでも失敗の可能性を減らしていくようにしましょう。(提供:Renergy Online)