上野動物園で2017年6月に生まれたメスのジャイアントパンダ「シャンシャン(香香)」。このシャンシャンの中国への返還期限が2020年12月31日に迫っている。そもそも、なぜパンダは中国に返還されるのだろうか。今回は中国から日本にやって来たパンダにまつわる話をしていこう。

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(画像=PIXTA,ZUU online)

日本に中国生まれのパンダがやってきたワケ

パンダは、日本と中国の国交の象徴とも言える存在だ。1972年の「日中国交正常化」の際、友好のシンボルとして中国から日本にパンダが贈られた。それ以後、多くのパンダが日本で暮らしてきた。

最初に日本にやって来たパンダは、オスの「カンカン(康康)」とメスの「ランラン(蘭蘭)」だ。当時の内閣官房長官がこの2頭のパンダを羽田空港まで迎えにいき、上野動物園で一般公開されてからは日本中で一大パンダフィーバーが巻き起こった。

その後、日本に多くのパンダが訪れ、上野動物園以外でも中国生まれのパンダが来園者の目を楽しませた。パンダは日本人にとって中国をより身近なものとし、確実に日中友好に貢献したと言える。

そんな中国から来たパンダたちだが、中国に返還されるというニュースをたびたび聞いたことがあるはずだ。今回のシャンシャンの返還もこうした類いのニュースだ。ここで本題に戻るが、なぜ中国から来たパンダたちは中国に返還されることになるのだろうか。

パンダが中国に返還される理由は「協定」にある

その理由については、上野動物園が更新した公式ブログがヒントになる。注目したいのがこの一文だ。「シャンシャンは東京都と中国野生動物保護協会間の協定において、所有権は中国にあり、満24か月齢時に中国に返還することが定められています」

つまりシャンシャンについては、すでに中国に返還されることが協定で決まっており、むしろこの協定から考えれば、2017年6月に生まれたシャンシャンの返還期限は本来、2019年6月で、延長されていることになる。

シャンシャンの返還に関しては、中国と東京都の間で交渉が行われてきた経緯があり、その結果、2020年12月31日まで期限が延長された形となった。東京都の小池百合子知事は延長合意について説明した当時の定例会見で、「これからも会う機会が確保できた」と喜びのコメントをしている。

ちなみにシャンシャンの親であるメスの「シンシン(真真)」とオスの「リーリー(力力)」についても協定で返還期限が2021年2月と設けられている。このシンシンとリーリーについても協定の延長に向けて東京都と中国側で現在交渉が行われているという。

なぜそのような「協定」が定められているのだろうか

パンダを返還する理由は、協定に根拠があることを説明してきた。ではなぜこうした協定があるのだろうか。それは、繁殖の推進やパンダの保全のためだとされている。

上野動物園にやってきたカンカンやランラン、2017年6月に生まれたシャンシャン、そしてシャンシャンの親であるシンシンやリーリーも、すべて「ジャイアントパンダ」だ。このジャイアントパンダは世界の絶滅危惧種リストで「絶滅危惧2」に分類されている。

絶滅が危惧されているジャイアントパンダについては、いかに繁殖を成功させるかが重要となる。そこで、繁殖期を迎える前に日本で生まれたパンダを中国に返還し、同世代のパンダが多い環境で生育させるわけだ。近親交配を避ける理由もあるが、要は「婚活」のために返還されるということになる。

中国投資の世界でも「パンダ」という言葉が登場する

この記事では、中国生まれのパンダが日本にやってきた理由や、協定で返還が定められていること、このような協定が結ばれている理由について、説明してきた。

こうしたパンダをめぐる日中交渉は「パンダ外交」とも呼ばれ、メディアでもその動向がたびたび報じられるほどの注目度を維持している。「中国といえばパンダ」という印象を持っている人も日本人では多いはずだ。

少し話題が変わるが、中国投資の世界でも「パンダ」という言葉がある。株価指数などへの連動を目指すETF(上場投資信託)である「上場インデックスファンド中国A株」は、「パンダ」という愛称で呼ばれて取引されている。

この愛称は運用会社が付けたもので、中国を象徴する名称として「パンダ」というニックネームを付け、世界中のより多くの投資家から関心を集めることを狙ったものと考えられる。パンダのレンタルは日本だけではなく世界のほかの国とも行われており、「中国といえばパンダ」というイメージは日本以外でも確立されている。

投資の世界にも登場するパンダ。ジャイアントパンダであるシャンシャンの返還期限が近づいているこの機会に、中国と日本とのかかわりについて改めて考え、中国投資にも一度目を向けてみてはいかがだろうか。

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