毎月コツコツとお金を積み立てて投資していく「つみたてNISA」。いざ始めようと思ったとき「積立額はいくらに設定すればいいの?」と迷う方もいるのではないでしょうか。

ほかの人がどうしているのか、そして自分に合った金額をどうやって見つければいいのかを解説します。

みんなはいくら?積立金額ベスト3 「一番多いのは3万円超」

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(画像=PIXTA)

つみたてNISAの投資上限は1ヶ月あたり3万3,333円

つみたてNISAは、月100円でもスタートできます。ただし上限は年間40万円と決まっているので、毎月同額で投資するなら1ヵ月あたり3万3,333円までということになりますね。

つまり3万3,333円までは自由に積立金額を設定できるのですが、一体いくらで設定するのがいいのでしょう?

積立金額を決める前に、ほかの人がどのくらいの金額を設定しているのか確認してみましょう。

非課税枠ギリギリで投資している人が多い

例えば、楽天証券では以下のような数字を発表しています。

この結果を見ると、「3万円超=つみたてNISAの非課税枠ギリギリ」で投資をしている方が約半数にのぼることがわかります。

一方、少額から取り組めるのがつみたてNISAの良いところ。そのため月1万円以下といった回答も多く見られました。

金融機関によって最低投資金額が100円以上1円単位のところもあれば、1,000円以上1,000円単位のところもあります。上限ギリギリにしたくても数百円程度使い切れずに残ってしまうところもありますので、自分が選択しようとしている金融機関はどのような設定が可能なのか、確認しておくとよいでしょう。

つみたてNISA「毎月の積立額」の決め方 目標額から決めてもOK

つみたてNISAの積立額はあとで変更することもできます。ただ、適当に決めてしまって普段の家計が圧迫されたり何度も変更することになって手間がかかったりすると困りますので、自分に合った積立額を見極めたいところです。

積立額はどうやって決めたらいいのでしょう?ここでは、つみたてNISAの積立額の決め方を3つ紹介します。

「お試し」できる金額にする

今まで投資をしたことがない人がいきなり月3万円ずつ投入していくというのは勇気がいるかもしれません。

先述のとおり、つみたてNISAは月100円でもスタートできます。

「もしなくなってしまっても生活に支障がなく」、「気にならないくらいの金額」から“お試し”感覚で始めてみるのはいかがでしょうか。

家計の状況を見て決める

毎月3万円貯金できている家計なら、「貯金2万円+つみたてNISAを1万円」に変更するといったように、自分が今無理なく用意できるお金の一部を投資に回すようにするのも1つです。

緊急時に困らないだけの貯金(目安として月収の6ヵ月分程度)がある方は、もっと投資の割合を増やしてもいいですね。

もちろん、家計に余裕がある方は非課税メリットを最大限活用できる上限まで設定するとよいでしょう。

目標額から毎月の積立金額を決める

いつまでにいくら貯めたいのか、その目標から逆算して1ヵ月あたりの金額を考えることもできます。

例えば「20年後に向けて老後資金を準備したい。老後を豊かに過ごすためにはつみたてNISAで500万円は用意しておきたい」と考えたら、「毎月2万円を年1%で運用」もしくは「毎月1.5万円を年3.2%で運用」すればほぼ達成できると逆算できます。

つみたてNISA 「毎月の積立額5,000円」の場合、20年後はいくら?

毎月の金額を設定したら、それがどれくらいの年数や利回りでどこまで増えるのか、一度シミュレーションしてみましょう。

今の設定金額やリスクの取り方で目標金額に届くのか、目安になります。

例1. 毎月5,000円ずつ運用した場合

毎月5,000円の積み立てを運用せずに20年間続けると、120万円になります。それを1%で運用すれば約133万円、3%なら164万円まで増えます。

ちなみに、大手銀行の普通預金の金利水準は0.001%ですが、その場合20年後は120万120円、20年かけても120円しか増えません(※これらの数字は手数料や税金は考慮していません)。

例2. 平均運用利回り1%で運用した場合

毎月3万円ずつ20年間積み立てた場合は、運用ゼロだと720万円ですが、平均して年1%で運用できれば約797万円、つまり77万円増える計算です(※手数料は考慮していません)。

投資に回す元手資金が多いほど、運用利回りが高いほど、投資できる期間が長いほど、お金は増えやすくなっていきます。

つみたてNISAを始める前に知っておきたい注意点3つ

つみたてNISAをこれから始めようと思っている人は、次の点について知っておきましょう。

NISAと併用できない

つみたてNISAと一般のNISAは併用できないので、取り組むならどちらかを選ぶ必要があります。

・つみたてNISA
初心者でも取り組みやすく「長期・分散・積み立て投資」を実践しやすい

・NISA
投資信託だけでなく株なども対象になり、年間の非課税投資額が大きい

他にも下記の表のような違いがありますので、自分が取り組みたい投資に合った制度を選びましょう。

  NISA つみたてNISA
税制優遇 運用益が非課税  運用益が非課税
非課税金額 年間120万円 年間40万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間
投資できる銘柄 株式投資信託、国内外の上場株式・
ETF・REIT(不動産投資信託)、
ETN(上場投資証券)、
新株予約権付社債(ワラント債)
金融庁が「長期・積み立て・
分散投資」に適していると
認めた投資信託
お金の引き出し いつでも可能 いつでも可能

投資対象が限られている

投資にはさまざまな種類がありますが、つみたてNISAでできるのは「投資信託」への投資に限定されています。

さらに、数ある投資信託の中でも「販売手数料が無料」など金融庁が定めた条件をクリアした一部の投資信託だけが対象です。

そのため、株式投資がしたい方やさまざまな投資信託から自由に選びたい方には、つみたてNISAは合わないかもしれません。

ただ、厳選された投資信託だけであることは必ずしもデメリットというわけではなく、投資に挑戦したいけど銘柄選びに自信がないという方には選びやすいというメリットにもなります。

元本割れの可能性もある

つみたてNISAは「金融庁が厳選した銘柄だけに投資できる」、「リスクを抑えた長期・分散・積み立て投資を実践できる」、「長い期間取り組むほどお金を増やしやすくなる」、というのはここまでご紹介したとおりです。

ただ、だからといって普通預金のような「元本保証」はありません。

選んだ投資先やその運用成果によっては、投資したお金が減ってしまう可能性もゼロではないと覚えておきましょう。

つみたてNISAは早いうちに始めるのが吉!無理のない金額を設定してスタートしよう

つみたてNISAに取り組んでいる人は、制度の上限ギリギリの月3万円以上で設定している方も多くいます。できるだけ多くの金額を投資に回せばお金は増えやすくなります。ただ、自分の家計の状況やリスクを取れる範囲などを見極めて、無理のない金額で設定することが大切です。

つみたてNISAの毎回の積立額はかんたんに変更できます。まずは少額から始めて慣れてきたら増やす、子どもにお金のかかる時期は減らす、など柔軟に対応できるでしょう。

あとでいくらでも調整可能なので積立額で悩みすぎず、まずは始めて様子を見て、投資期間を長く取れるようにするのがおすすめです。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行にて金融商品の窓口営業に従事。その後、保険代理店や不動産会社での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。保有資格:AFP、証券外務員一種など。

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