投資でお金を増やすには、リスクをとって運用する必要があります。しかし、保有資産の一部は「元本保証で安全に運用したい」と考えるのではないでしょうか。その場合は、個人向け国債が選択肢のひとつになります。低リスクの運用手段である、個人向け国債の特徴やメリット・デメリット、買い方について知っておきましょう。

個人向け国債とは

資産運用
(画像=rostislav-sedlacek/stock.adobe.com)

個人向け国債とは、個人でも購入できる国債のことです。企業や団体がお金を借りるときに発行する借用証書の一種を債券といいますが、国債は国が発行する債券になります。つまり、国債を買うことは、国にお金を貸すことと同じです。

国債発行によって調達した資金は、国の事業などに使われます。個人向け国債を購入すると、定期的に利子(利息)を受け取ることができ、満期を迎えると元本が返済されます。個人向け国債には最低金利保証があり、一般的な銀行の普通預金に比べて金利は高めに設定されています。

個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証していることから安全な投資先といえます。発行から1年経過すれば、購入金額の一部または全部の中途換金も可能です。

個人向け国債は全部で3種類

個人向け国債は「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、それぞれ満期と金利タイプが異なります。

変動10年

変動10年は、半年ごとに適用利率が変わる変動金利タイプの個人向け国債です。満期は10年で、3種類の中では期間が最も長く設定されています。

実勢金利の動きに応じて適用利率が変動するため、受取利子の金額も増減します。たとえば、3年後の実勢金利の水準が現在より上昇した場合、3年後の受取利子は現在よりも増えます。

変動10年は金利上昇に強いので、現在のような低金利の状況でも長期保有しやすいでしょう。また、実勢金利が上昇しなくても、年率0.05%(税引前)の最低金利保証があります。

固定5年

固定5年は、発行時の適用利率が5年間変わらない固定金利タイプの個人向け国債です。実勢金利にかかわらず5年間同じ利率が適用されるため、最終的な投資結果がわかりやすく、投資計画をたてやすいのが特徴です。

たとえば、発行時の利率が0.05%であれば、5年間0.05%の利子(税引前)を受け取れます。ただし、実勢金利が上昇した場合は、半年ごとに適用利率が見直される変動10年のほうが有利です。現在は低金利が続いているため、固定5年を購入するメリットは小さいかもしれません。

固定3年

固定3年は、発行時の適用利率が3年間変わらない固定金利タイプの個人向け国債です。特徴は固定5年とほぼ同じですが、3種類の中で満期までの期間が最も短く設定されています。

個人向け国債は、中途換金すると中途解約調整額を差し引かれてしまいます。固定金利を希望するが、実勢金利の上昇が心配な場合は、満期までの期間が短い固定3年を選ぶといいでしょう。

個人向け国債のメリット

個人向け国債のメリットは以下の通りです。

国が元本と利子の支払いを保証している

個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証しており、安全性が高いのがメリットです。銀行預金にも預金保険制度があり、銀行が破綻しても、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円とその利息までは保護されます。しかし、その金額を超える部分は保護されません。

個人向け国債は、元本保証の金融商品としては銀行預金よりも安全性が高いといえます。

1万円から購入できる

個人向け国債は1万円から購入可能です。まとまったお金を用意しなくてもいいので、気軽に始めやすい特徴があります。まずは少額から始めてみて、問題なければまとまった金額を購入するといいでしょう。

年率0.05%の最低金利保証がある

個人向け国債には、年率0.05%(税引前)の最低金利保証があるため、一般的な銀行の普通預金よりも高い利子を受け取れます。変動金利タイプの変動10年なら、半年ごとに適用利率が変わるので、金利上昇に追従できるのも強みです。元本保証の金融商品の中では、比較的有利な運用が可能です。

個人向け国債のデメリット

個人向け国債は先程紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

発行から1年経過しないと中途換金できない

個人向け国債は、発行から1年経過しないと中途換金できないため、1年以内に使う予定があるお金の預け先には向きません。当初は使う予定がなくても、急にまとまったお金が必要になる可能性もあります。

1年経過しないと中途換金できないことが心配な場合は、銀行の普通預金や定期預金を活用するといいでしょう。ただし、口座名義人が亡くなった場合や大規模な自然災害により被害を受けた場合は、中途換金が可能となります。

中途換金すると中途解約調整額が差し引かれる

個人向け国債は、満期を迎える前に中途換金すると、中途解約調整額が差し引かれます。中途解約調整額は、「直近2回分の各利子相当額(税引前)×0.79685」で計算されます。元本割れするわけではありませんが、中途換金すると満期まで保有するより受取利子が減ってしまうので注意が必要です。

個人向け国債の買い方

個人向け国債は、証券会社や都市銀行、地方銀行、信用金庫など、さまざまな金融機関で取り扱っています。金融機関の口座開設には、本人確認書類やマイナンバー、印鑑などが必要です。

ネット証券でも取り扱っているので、金融機関の窓口に訪問せず、インターネットを利用して自宅から購入することも可能です。個人向け国債は毎月発行されており、購入する場合は毎回の募集期間内に申し込みを行います。

個人向け国債はどのような場面で活用できるのか

個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証しているため、安全性が高いのが最大のメリットです。お金を増やすよりも、お金を減らさない低リスク運用に向いています。具体的には、以下のような場面で活用できます。

1,000万円超のお金を元本保証で運用したい場合

銀行預金の場合、銀行が破綻したときに保護されるのは、預金者1人につき1,000万円とその利息までです。1,000万円超のお金を1つの銀行に預けていると、預金の一部が戻ってこないリスクがあります。

たとえば、不動産の売却資金やまとまった退職金を受け取って、そのまま銀行に預けておくようなケースが考えられます。

銀行が破綻する事態はイメージできないかもしれませんが、将来何が起こるかは誰にも予測できません。1,000万円超のお金を銀行に預けている場合は、万一に備えて、個人向け国債にしておくのがおすすめです。

資産運用のリスクを下げたい場合

資産運用では、株式や債券、不動産といった資産をバランスよく保有して分散投資を行うのがセオリーです。値動きが比較的小さい債券の比率を高めることで、資産運用のリスクを下げられます。

債券への投資は、国内債券の投資信託(インデックスファンド)を利用する方法もありますが、信託報酬がかかります。また、一般的には、金利が上がると債券価格は下落します。

現在のような低金利の状況で債券に投資すると、金利が上昇したときに債券価格が下落して損失が発生するリスクがあります。しかし、個人向け国債は元本保証なので、価格が下落するリスクはありません。

また、変動10年なら実勢金利が上昇すると適用利率も上昇し、受取利子の額が増えるメリットもあります。

個人向け国債の特徴を理解しておこう

個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証している安全性が高い金融商品です。資産の一部を個人向け国債で保有することで、資産運用のリスクを下げられます。個人向け国債の特徴を理解して、資産運用にうまく活用しましょう。(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
賃貸管理上でのトラブル対応術とは?