投資対象として再生可能エネルギーが注目されています。再生可能エネルギーの代表的な投資先といえば「太陽光発電投資」ですが「クリーンエネルギーETF」も注目しておきたい選択肢の一つです。再生可能エネルギーに投資する場合、太陽光発電投資とクリーンエネルギーETFのどちらを選んだほうがよいのでしょうか。

クリーンエネルギーETFとは

太陽光
(画像=tsuneomp/stock.adobe.com)

クリーンエネルギーETFとは、米国の株式市場に上場しているテーマ型ETFの一つです。太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギー関連の株価指数に連動する投資成果を目指して運用されています。クリーンエネルギーETFがベンチマークとする指数は、世界の再生可能エネルギー関連銘柄で構成されているのが特徴です。

そのためクリーンエネルギーETFを保有することで実質的に再生可能エネルギー関連企業の株式へ分散投資が行えます。

クリーンエネルギーETFが注目される理由

クリーンエネルギーETFが注目されている理由は、地球温暖化問題の解決が世界共通の課題となっているからです。EU(欧州連合)をはじめ世界各国で温室効果ガスの排出を将来実質ゼロにする目標を掲げています。2020年には、中国や日本も温室効果ガス排出ゼロに取り組むことを表明しました。このような背景からクリーンエネルギーETFに投資家から資金が集まってきているのです。

クリーンエネルギーETFの主な銘柄

クリーンエネルギーETFの主な銘柄は以下の通りです。

iシェアーズ グローバルクリーンエネルギー ETF

「iシェアーズ グローバルクリーンエネルギー ETF」は、米国ナスダック市場に上場しているETFです。「S&Pグローバルクリーンエネルギー指数」と連動する投資成果を目指して運用されています。世界のクリーンエネルギー関連銘柄が組み込まれており再生可能エネルギーの普及に取り組む世界中の企業に分散投資することが可能です。2020年11月17日16時時点のファンド情報は以下のようになっています。

基準価額21.85米ドル
純資産総額19億5,673万米ドル
設定日2008年6月24日
分配金回数年2回
分配金利回り0.62%
経費率(年率)0.46%

インベスコ グローバルクリーンエネルギー ETF

「インベスコ グローバルクリーンエネルギー ETF」は、米国NYSE Arca市場に上場しているETFです。「ワイルダーヒル・新エネルギー・グローバル・イノベーション・インデックス」と連動する投資成果を目指して運用されます。ワイルダーヒル・新エネルギー・グローバル・イノベーション・インデックスも世界のクリーンエネルギー関連銘柄で構成される株価指数の一つです。

2020年11月17日16時10分時点のファンド情報は以下のようになっています。

基準価額27.02米ドル
純資産総額1億2,418万米ドル
設定日2007年6月13日
分配金回数年4回
分配金利回り1.00%
経費率(年率)0.77%

クリーンエネルギーETFのメリット

クリーンエネルギーETFのメリットは以下の通りです。

少額から分散投資できる

クリーンエネルギーETFは1口単位で取引できるため、少額から投資できます。例えば先程紹介した2つのETFは、いずれも基準価額が約20~30米ドルです。1米ドルを105円換算した場合、2,100~3,150円程度から投資をはじめることができます。またクリーンエネルギーETFが連動する株価指数は、複数のクリーンエネルギー関連銘柄で構成されているため、1本購入するだけで指数の構成銘柄に分散投資できる点も魅力です。

流動性が高く換金しやすい

クリーンエネルギーETFは、米国の証券取引所に上場していますが国内のネット証券でも取り扱っています。外国株式の口座開設を別途行ったうえでネット証券のログイン後画面で売買注文を出すだけで簡単に取引可能です。現金が必要になった場合は、売却注文を出せば国内約定と同様に3営業日で現金化できます。流動性が高くて換金しやすいこともクリーンエネルギーETFのメリットです。

キャピタルゲイン(値上がり益)が狙える

クリーンエネルギーETFは、株式と同じように市場が開いている時間帯は基準価額が常に変動しています。購入時より基準価額が上昇したタイミングで売却すればキャピタルゲインを得ることも可能です。再生可能エネルギーの普及は、世界共通の課題のため、投資家の注目も高まっています。また日本を含めた世界各国は、2050~2060年の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指していることから短期的なブームで終わる可能性は低いでしょう。

長期的なキャピタルゲインを狙う場合もクリーンエネルギーETFは有望な投資先の一つになります。

クリーンエネルギーETFのデメリット

一方でクリーンエネルギーETFには、以下のようなデメリットもあります。

レバレッジをかけられない

同じ再生可能エネルギーへの投資でも太陽光発電投資ならレバレッジをかけられます。金融機関の融資を利用して物件を購入し売電収入で借り入れを返済できるため、効率よく資産を増やすことが可能です。一方クリーンエネルギーETFは実物資産ではないため、金融機関の融資は利用できません。基本的には、全額自己資金で投資することになります。

レバレッジをかけて投資効率を高めたい場合は、他の商品を検討しましょう。

分配金利回りが比較的低い

再生可能エネルギーに投資する場合、定期的に配当金や分配金を得たい人もいるのではないでしょうか。クリーンエネルギーETFの分配金利回りは、それほど高くないのが現状です。上述した2つのETFの場合、分配金利回りは1%以下にとどまっています。今後は、分配金利回りが向上する可能性もあるでしょう。しかしインカムゲインを目的に投資するなら他の金融商品を検討したほうがいいかもしれません。

為替相場の影響を受ける

クリーンエネルギーETFは米国ETFのため、米ドル建ての取引になります。一部のネット証券では円のまま購入できますが取引時の為替レートで円換算されるため、為替相場の影響は避けられません。購入時より円高が進めば為替差損が発生します。そのため米ドル建ての基準価額が上昇しても為替差損によってそれほど利益が出ない可能性もある点も押さえておきましょう。

クリーンエネルギーETFに投資するなら為替相場の動向を注視しておくことも大切です。

クリーンエネルギーETFと太陽光発電投資はどっちがおすすめ?

再生可能エネルギーに投資するならクリーンエネルギーETFと太陽光発電投資のどちらがいいのでしょうか。それぞれに特徴が異なるため、どちらがいいかは人によって変わってきます。

クリーンエネルギーETFが向いている人

クリーンエネルギーETFは、少額から再生可能エネルギー関連企業に投資したい人におすすめです。1万円以下で購入できるため、まとまった資金がなくても投資をはじめやすいでしょう。また値動きを見ながらキャピタルゲインを狙いたい人、換金のしやすさを重視する人もクリーンエネルギーETFが向いています。

太陽光発電投資が向いている人

太陽光発電投資は、固定価格買取制度(FIT)により国が20年間固定価格での電気の買取を保証しているのが最大の魅力です。長期にわたって安定した売電収入が期待できるため、インカムゲインを目的に投資したい人に向いています。また太陽光発電投資は、実物資産のため、金融機関の融資を利用して効率的に資産を増やすことも可能です。

融資を利用して投資することに抵抗がない人も太陽光発電投資が向いているでしょう。

まとめ

再生可能エネルギーへの投資を検討しているならクリーンエネルギーETFは選択肢に一つになります。メリット・デメリットや太陽光発電投資との違いを理解したうえで投資するかどうか検討してみましょう。(提供:Renergy Online