2020年後半以降、ESG投資信託に注目する個人投資家が急増しています。それだけに「ESG投信をこれからはじめたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。ここでは、楽天証券の買付ランキングで上位5ファンドの特徴やポートフォリオを紹介します。
コロナ禍でESG投資信託へのマネー流入が約13倍に
コロナ禍以降、ESG投資信託へのマネー流入が止まらない状態です。2020年10月31日付の日本経済新聞によると2020年1~9月までのESG投資信託へのマネー流入(純流出入額)は、前年同期比の約13倍まで膨らんでいます。これまでの流れを振り返ると2019~2020年前半のESG投資信託へのマネー流入は、1,000億円に遠く及ばない状態でした。
しかし2020年7月に4,000億円超を記録しました。その後、同年8月は2,000億円前後、7月は1,000億円台後半と好調に推移。このマネー流入の中心となっているのは、機関投資家と見られますが日本経済新聞では個人投資家の買いも入っていると見ています。これまでESG投資は、日本の個人投資家に広がらない状況が続きましたがコロナ禍をきっかけに大転換が起こっている可能性が高いといえるでしょう。
注目されるESG投資信託で個人投資家から人気のファンドを紹介します。
ESG投資信託 買付ランキング上位5ファンド
人気のあるESG関連の投資信託をチェックしてみましょう。2大ネット証券の一つ楽天証券のスクリーニングツール「投信スーパーサーチ」でESGのキーワードで検索すると13のファンドが表示されます。ここから買付数上位5ファンドを絞り込むと以下の結果になりました。
1位:Smart-i 先進国株式ESGインデックス
2位:ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)
3位:ブラックロックESG世界株式ファンド(限定為替ヘッジあり)
4位:eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス
5位:SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし)
1位:Smart-i 先進国株式ESGインデックス
・基本情報データ
設定日 | 2019年10月 |
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運用会社 | りそなアセットマネジメント |
純資産額 | 3億2,000万円 |
買付手数料 | なし |
NISA口座 | 可 |
信託報酬など管理費用(税込) | 0.286% |
基準価額 | 1万805円 |
トータルリターン(1年) | 5.85% |
・ファンドの概要
「Smart-i 先進国株式ESGインデックス」は、日本を除く先進国の株式を投資主体にしたファンドです。 代表的なESG指数の1つ「MSCI−KOKUSAI ESGリーダーズ指数」に採用されている株式への投資を行います。なお原則、為替ヘッジはありません。
・具体的な投資対象
ポートフォリオで見ると資産の90%以上が株式に投じられ残りは投資証券などに配分されています。投資エリアで見るとアメリカが約65%でトップです。次いでイギリス、カナダ、ドイツ、スイスなどの企業に投じられています。組入上位の銘柄は、以下のように日本人にもなじみ深いESGに取り組むグローバル企業が多い傾向です。
- マイクロソフト:6.6%
- アルファベット(グーグルの親会社):4.3%
- ジョンソン・エンド・ジョンソン:2.0%
- プロクター・アンド・ギャンブル:1.5%
- インテル:1.4%
- マスターカード:1.3%
※基本情報データは、楽天証券11月18日時点のもの
※ポートフォリオや具体的な投資対象は最新の交付目論見書を参照
2位:ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)
3位:ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジあり)
・基本情報データ
設定日 | 2015年9月 |
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運用会社 | ブラックロック |
純資産額 | 為替ヘッジなし15億100万円 限定為替ヘッジあり4億8,100万円 |
買付手数料 | なし |
NISA口座 | 可 |
信託報酬など管理費用(税込) | 0.7608% |
基準価額 | 為替ヘッジなし1万5,255 円/あり1万6,208 円 |
トータルリターン(1年) | 為替ヘッジなし11.29% 限定為替ヘッジあり13.59% |
・ファンドの概要
世界有数の運用資産残高・約824兆円(2020年9月末時点)を誇るブラックロックが運用するESG投資信託です。主要対象は、先進国のESGを推進する企業株式や関連商品などに投資するファンド。特徴的なのは、ブラックロック独自の計量モデルを使って使用対象ファンドを選別している点です。なおこの投資信託には、為替ヘッジなしと限定為替ヘッジありの2種類があります。
買入ランキング2位が「為替ヘッジなし」、3位が 「限定為替ヘッジあり」です。
・具体的な投資対象
投資候補は、先進25ヵ国を中心にした約3,700銘柄などです。第1段階で各銘柄に関する大量のデータを取得、第2段階でこのデータと独自の評価基準に基づきESG効果と投資収益を算出して取捨選択が行われます。そのうえでリスクやコスト考慮しつつ、適切なポートフォリオを設定。組入上位の銘柄は、以下の通りです。
- マイクロソフト:3.7%
- アップル:3.4%
- アマゾン:2.3%
- アルファベット:2.0%
- ネスレ:1.3%
※主要投資ファンドの組入上位5銘柄
4位:eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス
・基本情報データ
設定日 | 2019年10月 |
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運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産額 | 5億6,300万円 |
買付手数料 | なし |
NISA口座 | 可 |
信託報酬など管理費用(税込) | 0.44% |
基準価額 | 11,242円 |
トータルリターン(1年) | 4.94% |
・ファンドの概要
eMAXIS(イーマクシス)シリーズは、三菱UFJ国際投信が展開する信託報酬低めの人気シリーズです。その中のESGファンドが「eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス」になります。ESGの代表的な指数「MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に採用されている国内株式に投資を行う方針です。
1位のSmart-i ESGもMSCIの指数と関連するファンドでしたが、あちらは日本を除く先進国指数、こちらは国内の指数という点に違いがあります。
・具体的な投資対象
ポートフォリオは、ほぼ国内の株式です。組入銘柄の業種は電気機器が約20%で最も割合が高く残りは医薬品、化学、輸送用機器、情報通信など幅広い業種が選択されています。組入銘柄の上位は、以下のようにESGに力を入れている国際的な競争力の高い大企業が中心です。
- トヨタ自動車:6.1%
- ソニー:4.7%
- キーエンス:3.9%
- 第一三共:2.5%
- KDDI:2.5%
※主要投資ファンドの組入上位5銘柄
5位 SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし)
・基本情報データ
設定日 | 2019年10月 |
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運用会社 | SBI |
純資産額 | 7億600万円 |
買付手数料 | なし |
NISA口座 | 可 |
信託報酬など管理費用(税込) | 1.637% |
基準価額 | 1万640円 |
トータルリターン(1年) | 0.75% |
・ファンドの概要
「SBIグローバルESGバランス・ファンド」は、世界中のESG関連の株式と債券などに投資を行います。投資割合は、株式と債券50%ずつで経済変化などに合わせてその割合を調整していくのが基本です。(調整幅±10%)なおこのファンドには為替ヘッジありとなしの2種類があり楽天証券の買付ランキング5位に入ったのは「為替ヘッジなし」のほうでした 。
・具体的な投資対象
株式については、MSCIワールドインデックスに採用されている銘柄の中からESGとCARの基準で絞り込みを行い250銘柄程度がポートフォリオに組み込まれます。CARとはC(意識)・A(行動)・R(結果)のことです。債券については、各発行体の活動がどれだけESGに効果をもたらしているかを検証・選別し信用リスクや債務履行力などを審査したうえで50~100銘柄程度が組み入れられます。
主な投資対象例以下の通りです。
【株式】
- アップル:4.4%
- マイクロソフト:4.1%
- ターゲット:1.8%
- ポルトガル電力公社:1.7%
- ドイツ証券取引所:1.5%
【債券】
- ノルウェー地方金融公社:4.7%
- オランダ水道整備金融公庫:4.5%
- カナダ・オンタリオ州:3.1%
- アジア開発銀行:2.9%
- ドイツ復興金融公庫:2.5%
※どちらも主要投資ファンドの組入上位5銘柄
ファンド名にESGが付かないESG関連の投資信託もある
ここでは、わかりやすくファンド名に「ESG」のキーワードが付けられている投資信託を紹介しました。ESGが付かないファンドでも広義ではESG投資信託に位置づけられているものも数多くあります。例えばESGという概念が広がる以前の1999年から運用されている老舗ファンド「損保ジャパン・グリーン・オープン」「日興エコファンド」などです。
また直販系のファンドでは鎌倉投信が運用する「結い2101」も純資産額が多い人気ファンドの一つです。実際にESG投資信託に投資をするときは、こういったファンドも候補に入れながら精査するのがよいでしょう。
※本稿は、紹介した投資信託を推奨するものではありません。投資は自己判断・責任でお願いいたします。(提供:Renergy Online)