(本記事は、安井将弘氏の著書『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』セルバ出版の中から一部を抜粋・編集しています)

アンティークコインの魅力

アンティークコイン
(画像=Triff/Shutterstock.com)

●魅力その1「簡単に始められる」

アンティークコイン投資最大の魅力といえば、なんと言っても、簡単に始められることにつきるでしょう。実物やカタログ、ネットの商品などから気に入ったコインを買うだけ。後はじっくりと値上がりするのを待ち、売りに出すという至ってシンプルな投資法です。これから投資というものを始めてみようかなという方にも、最適の投資法だと言えるでしょう。

株式投資のように、口座を開設したり、マイナンバーを申請したりといった事前の手続は不要です。ディトレーダーのように逐一、株の値動きに注目する必要もありませんし、また、FXのように為替の知識なども必要ありません。美術品やワインに比べると保管方法もずいぶんと簡単です。このようにアンティークコイン投資は、投資経験の浅い方や、必要以上に投資に時間をとらわれたくないという方にもうってつけです。

●魅力その2「安定的な値上がり」

初心者の方におすすめできるもう1つの大きな理由が安定的に値上がりをしていることです。実はアンティークコインは統計を取り始めて以来、25年間値下がりをしていないという驚きの事実があります。

ただし、誤解のないように記しておきますが、コインによっては、供給過多等により一時的に値下がりをすることは当然あります。投資において、踊り場と表現されるような調整局面を迎えることももちろんあります。

しかし、トータルに見てみますと、一度値下がりをしたコインも時間を経れば、また値上がりに転じますし、ほとんどのコインは値下がりすることなく、右肩上がりのグラフを描いているのです。

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(画像=『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』より)

アンティークコインは、時代を経るごとに希少性が高くなっていくことが第1にその理由として挙げられます。また、第2の理由としては、その逆にコインを求める人が増えていくことも大きな要因となります。

他にもコインの安定的な値上がりを支える要因はたくさんありますが、それはまた後ほど、ご説明するとして、まずは安定的な値上がりが見込める投資だということをご理解いただければよいかと思います。

つまり、買って持っていれば、あとは勝手に値上がりしていくケースがほとんどなのですから、投資経験の浅い方にとっても安心して始められる投資だということに、ほかなりません。投資に対して安全性を求める日本人にとっても、おすすめの投資だとおわかりいただけることでしょう。

●魅力その3「信頼性が保証されている」

とはいえ、もちろんすべてのコインに信頼性が保証されているわけではありません。アンティークコインや美術品、骨董品といった現物資産を購入しようと思った場合、必ずと言っていいほど悩まされるのが、贋作の問題です。

掛け軸や陶器などは、あまた贋作が出回っておりますし、コインだとてその例外ではありません。しかも、近年の贋作たるやディーラーでも見極めが困難なほど、精巧につくられているのです。

しかし、アンティークコイン業界には、こうした偽物から、投資家を守るシステムがあります。それが、独立型の「コイン鑑定専門機関」の存在です。第三者的な立場かつ非営利で、コインの真贋やそのグレードを厳しく鑑定する信頼のおける機関があるのです。

世界的に有名な「PCGS」と「NGC」という2大鑑定機関があり、その鑑定の厳しさと確かさから、アンティークコイン業界では、この2社の鑑定を受けていれば、そのコインは信頼に足りると認識されています。鑑定を受けたコインは、スラブと呼ばれる特殊なプラスチックケースに封入されますから、保管する際もコインの劣化や傷などを防ぐことができ、安心です。

私どもコインパレスは、鑑定基準において定評があるPCGSとNGCという2大鑑定機関に認められた認定ディーラーの資格を得ております。

この認定ディーラーとしての資格を得るためにも、いくつかの厳しい条件をクリアしなければなりませんでした。しかし、認定ディーラーとして認められたことで、お客様により安心して、弊社でコインをお求めいただけるようになりました。私もPCGS認定ディーラーの名に恥じないように、価値あるコインを皆様に提供すべく日々、努力を重ねております。

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(画像=『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』より)

●魅力その4「美術品としての価値」

アンティークコインの美術品としての価値については、私があれこれ書き綴る以前に世界で最も美しいコインと称される「ウナ&ライオン」の写真をご覧いただければ、それで十分かもしれません。私の著書や弊社のネット広告でもこのコインの写真が頻繁に登場いたしますので、どこかでご覧になったという方もいらっしゃることでしょう。

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(画像=『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』より)

ウナ&ライオンをつくったのは、ウィリアム・ワイオンという彫刻家ですが、長い歴史を持つイギリスの王立造幣局の中でも、ひときわ輝きを放つデザイナーです。彼のデザインしたコインは、他のデザイナーの作品とは一線を画する美しさがあります。

中でもウナ&ライオンは最高傑作の呼声も高く、構図やモチーフ、彫刻の造形、すべてが美しく完璧な調和を奏でています。約180年前につくられたコインですが、未だこのコインを超えるデザインはないと断言してもいいと個人的には思っています。

アンティークコインを投資目的で始められたにもかかわらず、いつの間にかコインそのもの魅力の虜になっておられる方々も少なくありません。コインを集めていくほどに、そのデザインの美しさやレリーフ(浮彫細工)の見事さに惹かれ、次々にコインをお買い求めになるのです。

集めているうちに、コインを見る審美眼も鍛えられてきますし、そのコインにまつわる話などにも詳しくなり、そうなるとまた次のコインにという気持ちになるのは、当然のことです。かくいう私も、コインの美しさに魅せられている1人です。

●イギリスコインの存在感は格別

中でもイギリスコインの存在感は、格別だと思います。その理由は、コインにイングランド歴代の王の肖像が刻まれているからにほかありません。大英帝国が栄華を誇った時代に王座に君臨したヴィクトリア女王、多くの愛妾を囲いメリー・モナーク(陽気な王様)とあだ名されたチャールズ2世、そして最長の王位を誇る現女王エリザベス2世など、いずれも歴史に名を残す王や女王たちばかり。

王や女王と呼ばれた人たちの面影には、どこかしら、覇権のオーラのようなものが感じられますし、またその当時の一流の彫刻家が手がけた肖像レリーフですから、優れた造形であるのは当然のことなのです。

いっぽう裏面は、イギリスの象徴である女神ブリタニアや、聖ジョージの竜退治など神話をモチーフにしたデザイン、さらには王家の紋章を刻んだデザインなど、精巧に掘られたレリーフの数々、いずれ劣らぬ素晴らしさです。

現にチャールズ2世のプルーフコインは、現存するものは、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されています。美術品としての価値が高く、値段は付けられませんが、ディーラー間ではその価値は1億円以上とも言われています。アンティークコインが美術品としての価値を持っていることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

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(画像=『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』より)

アンティークコインだけではありません。最近では、イギリスのモダンコインでも、デザインによっては、人気が高く入手困難な物が見受けられます。モダンコインであれば、アンティークコインに比べて、まだまだリーズナブルです。まず最初は、モダンコインに投資されるお客様も、もちろん多くいらっしゃいます。

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(画像=『これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資』より)

アンティークコイン投資にあたって注意すべきポイント

さて「簡単に始められて」しかも「安心・安全」な投資で、収集そのものを「楽しむ」こともできるアンティークコイン投資ですが、もちろん投資である以上、いくつかの注意点がございます。ここでは、アンティークコイン投資をする前に、ぜひお読みいただきたいポイントをご説明いたしましょう。

●注意ポイントその1「余剰資金で購入すべし」

アンティークコイン投資に関していえば、これまで25年間、ずっと右肩上がりでコインの価格は上昇してきております。とはいえ、これまでがそうだったからと言って、これからも値上がりが続く保証はどこにもありません。

一方で、コインが大量に発見されるなどして、市場に多くのコインが出回った場合は、一時的に価格が下がることは、これまでもございました。また、一般的に言って、株やFXのデイトレードのように、時間単位で売り買いをするような性質の投資でもありません。

アンティークコイン投資は、コインを買ってからしばらくはお手元に留め置いていただき、じっくりと値上がりを待って売却するのが、私は最も成功しやすい方法だと考えています。短いサイクルでコインを売り買いされるお客様やそういった方法をおすすめしている業者もあるようですが、私自身は、少なくとも5年、10年とお持ちいただき、その間に値上がりを待つ方法をおすすめしております。

なぜなら結果的に長い期間保有したほうが、リターンが多いケースがほとんどだからです。もしも余裕のある方でしたら、お子様やお孫様へと世代を渡って受け継がれる資産として、ご検討いただける類のものです。

そのためにも、アンティークコイン投資に関しましては、予算を無理に捻出するのではなく、余剰資金を使っていただくのが一番です。

ですから、この投資は短期的な値上がりを期待するのではなく、じっくりと時間をかけて資産を守り育てたい方に向いていると言えるでしょう。価格変動に一喜一憂されない性格の方におすすめです。また仕事が忙しくて、投資に時間が取れないお医者様や企業経営者の方にも向いている投資法です。

近頃は銀行に預金を預けておいても、ほとんど利息がつくことはありません。そのような状態で銀行にお金を眠らせておくのは、非常にもったない話です。そのお金をアンティークコインに移行してお持ちいただければ、将来、驚くような金額になって返ってくることでしょう。

●注意ポイントその2「偽物に注意」

アンティークコインを購入する際に最も注意したいのが、贋作をつかまされてしまうことです。正直に告白いたしますと、私自身もまだこの会社を興す前、ネットオークションで個人で取引していた頃は、何度か偽物をつかまされてしまったことがありました。そのときの自身の手痛い経験から、お客様に対しては絶対に本物であると確信を持って、おすすめできる品しか販売しないことを旨としております。

とはいえ、最近は精巧な偽物も市場に多く出回っており、しかもネットで簡単に売買ができてしまう玉石混淆の世の中です。先日も、お客様がこれまでご自身で集めてこられたコインの鑑定をご依頼いただき、鑑定機関に出してみたところ、18枚のうち3枚が偽物という残念な結果となってしまいました。

最近の偽物の精巧ぶりは、ディーラーでも見破るのが難しいほどですから、販売した業者も偽物と気づかずに売った可能性も否定できません。

しかし、偽物となれば、そのコインの価値はほとんどなくなってしまいます。高いお金を出して買っても、ただのがらくたということになってしまえば目も当てられません。偽物をつかまされないよう、くれぐれもご注意いただきたいと思います。自信のない方は当店へお問い合わせください。

●注意ポイントその3「適正価格かどうか」

アンティークコイン投資に二の足を踏まれる方が理由としてよく挙げられるのが、「このコインが価値に見合った値段かどうかがわかりにくい」という点があります。その点に関しては、お客様のおっしゃるとおりです。というのも、同じデザイン、同じ発行年であっても、コインの状態によって価格が全く異なるからなのです。

同じコインでも、状態のよいものと普通の状態のものでは、価格に雲泥の差が出ます。

鑑定済のコインにはその状態によってグレードというものが付けられています。これは第三者の鑑定機関が細かく査定を行った上でつけたものですが、PCGSやNGCの場合、そのグレードの最高値が70となっております。このグレードが1下がっただけで、なんとコインの価格は2分の1あるいは3分の1にまで下がってしまう場合があります。

コインの価格を確認する際は、ぜひコインのグレードにもご注目いただきたいと思います。

また、当然のことながら、店舗によってもコインの価格はまちまちです。最近では、相場より高い値段をつけて売ろうとするような悪徳業者は減ってきました。

しかし少数ながら悪徳な業者もあり、期間限定の特別価格などと言って、その場で即決させようとしますから、高価なコインほど、じっくり他店との価格を比較していただいた上で、ご検討いただければ安心かと思います。コインを買う前には、ぜひそのコインが適正価格かどうかをご確認いただいてからご決断をお願いいたします。

もう1つ、ぜひ気をつけていただきたいのが、オークションで購入される際です。どうしても欲しいコインがオークションに出品された場合、競りに夢中になり、つい相場からかけ離れた高値を付けてしまうというケースがあります。

売り買いの差額が儲けということになりますから、あまりにも高値で買ってしまうと、次に売却する際に困ります。値上がりを待ち続け、予想以上に長い年月がかかってしまったなどということにもなりかねません。

投資目的であれば、購入時は冷静に、どの価格までなら適正かということを押さえた上でオークションをお楽しみいただくべきでしょう。

また、少々不愉快な情報かもしれませんが、オークションにはさくらが紛れ込んでいる場合もあると言われております。さくらが積極的に競りをしかけ、目的のコインの金額をつり上げるという手口です。こうした被害を防ぐためにも、あらかじめコインの適正価格を知っておくことが大切だと思います。

●注意ポイント4「趣味の収集とはきっちり分ける」

さて、アンティークコイン投資の楽しみの1つに、気に入ったコインを買い揃えるというやり方があります。同じ王の肖像が描かれたコインを集めたり、動物が刻まれているコインをシリーズで揃えたりする楽しみ方をされているお客様も少なくありません。1つひとつ、お気に入りの物をコレクションに加えていく楽しみは、収集家にとって至福の喜びであるとも言えるでしょう。

しかし、実はここが注意していただきたいポイントでもあります。

コインを集めているうちに、あれもこれもと目移りしてしまい、手当たり次第に購入してしまうお客様がいらっしゃいます。もちろん、投資目的でなく、純粋なコレクションとして楽しむのであれば、全く問題はないのです。

しかし、投資目的ではじめたはずなのに、そのことを失念してしまうと、コレクションを完成させることに夢中になりすぎて、「ご自身の投資予算をオーバー」してしまったり、あるいは全く値上がりが見込めないコインを大量に集めてしまったりといったことにもなりかねません。

特に「これは投資だから」と自らに暗示をかけるようにして、買い漁るお客様もおられますが、それは危険な行為です。

そのときは夢中になって集めていても、いざ冷静になったときに問題があらわになります。それがどういう問題か、1つの具体例でご説明いたしましょう。

私どもに、コイン売却のご相談をされるお客様がいらっしゃいますが、ある時期、なぜか同じ国の同じカテゴリーのコイン売却のご相談ばかり重なったことがありました(その具体的な国名などについては、ここに記載することは差し控えたいと思いますが、もしもお知りになりたい場合は、ぜひ直接お問い合わせください)。

残念ながら、そのコインについては、いつまで持っていても値上がりが見込めなくて、売却のご相談となったわけですが、売りたい人が他にもたくさんいるわけですから、今後も値上がりは見込めないと言わざるを得ないでしょう。

これは私の予想にすぎませんが、値上がりしづらいコインを格安で大量に仕入れた業者が、一度に大量に市場に出したことが原因ではないかとみています。

もしこのようなお客様が、値上がりが見込める国やカテゴリーのコインを購入しておられたなら、投資予算が枯渇することもなく、さらにコインの広がりを楽しむことも可能だったかもしれません。

アンティークコインをコレクションすることは、本当に楽しいことです。だからこそ、末永くコインを愛でて奥深さを楽しんでいただくためにも、購入の際は、投資対象として適正な品かどうかを考える冷静な視点を忘れずにいていただきたいと思っております。

これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資
安井将弘(やすい・まさひろ)
株式会社コインパレス代表取締役社長。近畿大学付属高校卒、帝塚山大学卒、奈良県出身。日本におけるアンティークコイン投資の第一人者。2008 年まで勤務した神戸の商社を退職後、家業のサン薬局チェーンのプロパーとして勤務、沖縄(宮古島)での建築見習い、その後有料老人ホームへの勤務を経て退職する。恩師より頂戴した1枚のコインを機に独立。ヤフオクの「アンティークコイン部門」で月間売上No.1 を達成する。自らコインショップの株式会社コインパレスを設立し代表取締役に就任。神戸に日本初の本格アンティークコインのショールーム兼ラウンジを開設。アンティークコインのコンシェルジュとして日夜研鑽に励む。

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これが最後の投資になる! はじめてのアンティークコイン投資
  1. アンティークコイン投資はもはや定石に
  2. アンティークコイン投資の魅力
  3. アンティークコイン投資のプロセス
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