親が亡くなったとき、どういった手続きが必要となるのか。肉親の死という、多くの人にとって受け入れがたいその現実を前に心は波立ち、静かな時間を求めるものですが、悲しみに暮れるばかりではいられず、必要となる手続きがたくさんあります。死亡届の提出から、相続税の納入まで、やるべき手続きにはそれぞれ期限があり、落ち着かないわたしたちを待ってはくれないのです。今回は、7日目、14日目、3ヵ月目、10ヵ月目と期限をみながら、いつまでに何をすべきかを確認していきます。

親が亡くなったときの手続きには期限が多い

相続
(画像=a-korn/stock.adobe.com)

親が亡くなると、さまざまな手続きを行わなくてはなりません。ほとんどの手続きに期限があるのでうっかり抜け・漏れ・遅れが出てしまわないように注意が必要です。

亡くなったときから7日以内の手続き

親が亡くなったら、まず、7日以内に以下の手続きを行う必要があります。

死亡診断書・死亡検案書の受取

死亡診断書はその人物の死亡を証明するものです。死亡検案書とは不慮の事故など、病気以外の理由で亡くなったときに交付してもらうものです。いずれも病院で発行してもらいます。

死亡届・火葬許可申請書の提出

死亡届は死亡診断書と一体となっています。用紙の右側が死亡診断書、左側が死亡届です。この用紙と火葬許可申請書を共に市区町村に提出し、火葬許可証をもらいます。この許可証を葬儀社に渡して初めて火葬の申し込みができます。

【参考】法務省 死亡届・死亡診断書 記載要領・記載例(PDF)

健康保険(社会保険)の喪失届

亡くなった親が会社員だった場合、健康保険の喪失届を会社経由で行わなくてはなりません。この期限は死亡日から5日以内となっています。すみやかに故人の勤務先に連絡しましょう。

亡くなったときから10日以内の手続き

親が亡くなったらすぐに行わなければならない手続きは、まだまだ続きます。続いては10日以内に行う必要がある手続きについて、解説します。

葬儀の申し込み

火葬許可証を提示して葬儀の申し込みをします。お通夜・法要はここからスタートです。なお、葬儀費用は相続財産の額から差し引くことができます。その際に必要となるので、領収書は必ず保管しておきましょう。

年金受給停止・未支給年金の受給手続き

親が年金受給者だった場合は、住所地を管轄する年金事務所で受給停止の手続きを行います。厚生年金なら10日以内、国民年金は14日以内がそれぞれの手続き期限です。

亡くなったときから14日以内の手続き

ここまで、親が亡くなってから10日以内にしなければならない手続きを解説しました。葬儀もようやく落ち着くタイミングかもしれません。しかし、まだ手続きは続きます。亡くなってから14日以内に以下の手続きが必要です。

健康保険の諸手続き

親が国民健康保険や介護保険の被保険者だった場合は、資格喪失届を市区町村に提出する必要があります。また、親が75歳以上だった場合、後期高齢者医療資格喪失届も提出します。このとき、健康保険や介護保険の被保険者証を返却します。

世帯主変更の手続き

亡き親が世帯主だった場合には、世帯主変更届を市区町村に提出します。こちらの期限は死亡から14日以内と定められていますが、通常は死亡届と一緒に提出します。

亡くなったときから3か月以内の手続き

親が亡くなって14日以内までにしなければならない手続きは、都合8項目となりました。追われるように進めねばならない手続きはここまでで終了ですが、このあとは、相続関連の手続きをしなければなりません。亡くなって3ヵ月以内に行う必要のある手続きは以下のとおりです。

遺言書の確認

相続では、故人(被相続人)の意思が最優先になります。遺言書があるならそれに従い、なければ遺産分割協議で遺産の分け方を決めます。

遺言書が公正証書遺言なら公証役場で検索できます。故人が自ら遺言書を作成していることもあるので、遺品などを丁寧に確認しましょう。遺言書が見つかった場合はすぐに家庭裁判所で検認してもらいましょう。

相続人の調査

先妻の子や隠し子などが相続人の可能性もあります。このため、故人の出生時から死亡時までの戸籍謄本・除籍謄本で相続人をきちんと確認します。

相続財産の調査

相続する場合は、故人の財産全部を把握する必要があります。故人の郵便物や通帳、ファイルなどすべて確認しましょう。オンラインの証券や銀行にも注意が必要です。

遺産分割協議の開始

遺言書の有無の確認、相続人・相続財産の調査が完了したら相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めます。

相続放棄・限定承認の手続き

相続放棄や限定承認は家庭裁判所への申述が必要です。相続があったことを知った日から3か月以内が期限です。これを過ぎると借金も含めたすべての財産を、否応なしに相続しなくてはならなくなります。

亡くなったときから4か月以内の手続き

「亡き親が個人事業主だった」などの場合は、所得税の準確定申告が必要です。通常の確定申告は翌年2月16日から3月15日の間に行いますが、準確定申告は通常の確定申告とは異なり、死亡後4か月以内に行わなくてはなりません。

亡くなったときから10か月以内の手続き

相続の実際の手続きを行うためには、さまざまな調査と書類が必要です。しかし、すべての相続手続きは10ヵ月以内に終えなければなりません。以下の手続きについて、確認しましょう。

遺産分割協議書の作成

遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成します。誰がどの財産を取得するのかを明記しましょう。なお、相続人全員の署名押印が必要です。印鑑は実印を押します。

この遺産分割協議書は各種相続手続きに必要になります。全員分を作成し、1人1通保管しましょう。

相続税の申告

相続税の申告は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割協議の内容に従って相続税を計算します。完了していない場合は「法定相続分で相続した」と仮定して計算します。

なお、納税は現金一括納付です。難しいなら税務署に延納を相談しましょう。

名義変更に期限はないが放置に注意

遺産の分け方が決まったら、その財産の名義変更が必要です。名義変更に期限はありませんが、放っておくのはおすすめできません。

預金は10年放置すると「休眠預金」となり、最後は預金保険機構に移管されます。また、不動産の登記を放置すると後々のトラブルの元になります。期限がなくても速やかに名義変更をしましょう。(提供:相続MEMO


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