会社を維持・発展させるために経営を後継者に引き継ぐ事業承継は、経営者にとって大きなテーマとなり得る問題です。事業承継は少なからず資金を必要とするため、事業承継したくても資金が足りないという状況に陥ることは避けなければならないでしょう。

事業承継に必要な資金の調達方法にはさまざまなものがあり、中でも日本政策金融公庫が実施している融資制度は、利用しやすいためおすすめです。具体的な制度の内容を理解し、返済の必要がない国の補助金制度もチェックしておきましょう。

事業承継に必要となりがちな資金の種類

事業承継
(画像=Robert Kneschke/stock.adobe.com)

事業承継の際に必要な資金は、親族間で承継する場合と、M&Aなど親族以外との間で承継する場合に分けて考える必要があるでしょう。

親族間での承継では

親族間で承継を行う際に必要となる代表的な資金は、贈与税や相続税といった税金です。中小企業が事業承継を行う際に、資金のうち大きな割合を占めます。ただし、非上場株式の贈与又は相続について、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)により、一定の要件に該当する場合、相続税は80%、贈与税は全額について、5年間の納税猶予が受けられます。また後継者が死亡又は次の後継者に贈与した場合には、100%免除されることとなります。
知事の認定を受けた場合、新税制(特例措置)が適用することができ、相続税についても100%納税猶予を受けることができます。

親族以外との承継では

親族以外との間で承継する場合は、株式を買い取る際に資金が必要です。さらに、事業取得における資金も必要となり、総額で数百万~数千万円の資金を要することも珍しくありません。なお、親族間承継の場合も、自社株が分散している状況なら、それらの買い取りが必要となるでしょう。

日本政策金融公庫の中小企業向け融資制度

日本政策金融公庫は、国が運営する事業承継支援機関の一つです。日本政策金融公庫が実施している資金制度の中に、「事業承継・集約・活性化支援資金」という融資制度があり、事業承継向けの融資として「国民生活事業」と「中小企業事業」の二つがあります。国民生活事業が主に事業承継にかかる資金を対象としているのに対し、中小企業事業は長期的な運転資金も併せて対象としていることが特徴です。

国民生活事業

国民生活事業は、小規模事業者や起業したばかりの企業に向き、経営相談や教育ローンなども利用できます。無担保・低利子で融資できる場合が多く、資金繰りが困難な事業者でも利用しやすいことがメリットです。

融資限度額:7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
返済期間:原則として設備資金20年、運転資金7年

中小企業事業

中小企業事業は、中規模以上の事業者を対象とし、資金融資や信用保証業務などを実施しています。さまざまな業種に対応しており、多額の資金を長期的に必要とする際に役立つことがメリットです。

融資限度額:直接貸付7億2,000万円
返済期間:原則として設備資金20年、運転資金7年

返済の必要がない補助金制度も検討を

事業承継補助金は、承継後の新しいチャレンジを応援するために運営されている、国の補助金制度です。2017年4月1日から2020年12月31日までに事業承継した事業者を対象に行われています。

Ⅰ型とⅡ型で対象が異なる

申請類型がⅠ型とⅡ型に分かれており、Ⅰ型は親族内外に関係なく経営者が交代した承継、Ⅱ型はM&Aなど事業再編や事業統合による承継が対象です。それぞれ、承継後に新しい取り組みを行った場合に補助されます。

Ⅱ型はⅠ型に比べ融資額が大きい反面、審査が厳しい傾向にあります。また、どちらも審査時に新事業の内容を問われるため、魅力的な事業承継計画をしっかりと立案できるかもポイントとなるでしょう。

有利な条件で融資できる国の制度を使おう

日本政策金融公庫の事業承継向け融資制度は、低金利で使い勝手のよい制度です。資金調達が困難になりがちな、小規模事業者や起業直後の事業者にも向きます。

国の支援機関であるため、安心して利用できる点もメリットです。他の補助金制度などと併せて、事業継承の資金繰りに活用することを検討してみましょう。(提供:企業オーナーonline


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