事業承継は計画的に行うことが重要です。計画的に取り組まないと、親族や取引先などの理解を得ながらの円滑な事業承継ができなくなり、廃業せざるを得なくなるケースもあるからです。この記事では、事業承継計画書の必要性、作成するメリットやタイミングなどを解説します。
事業承継計画書はなぜ必要か?
最初に、事業承継計画書はなぜ必要かについてみてみましょう。
事業承継計画書とは
事業承継計画書とは、会社の経営資源や財産・株主の状況、家族関係、経営の中長期計画などを踏まえたうえで、誰にいつ、どのように会社を承継するかを記載したものです。会社の事業承継についてのすべてが、計画書を見ればわかるようになっています。
誰のために、何のために事業承継計画書を作成するのか
事業承継計画書の作成は、第一に後継者や親族と事業承継について話し合い、認識を一致させるために必要です。また、取引先や金融機関、従業員などの外部関係者からの理解と同意を得るためにも必要です。
事業承継を計画的に取り組まないとどうなる?
事業承継に計画的に取り組まないと、事業承継が結局できずに、廃業せざるを得なくなるリスクが高まります。また、後継者に資産集中がうまくできない、あるいは後継者が会社の強みをしっかり理解していないなどの理由で、事業承継をしても経営が結局うまくいかなくなるリスクもあります。
事業承継計画書を作成するメリット
事業承継計画書を作成するメリットはそのほかに、「事業承継税制(特例)」を利用できるようになることもあげられます。平成30年度税制改革により改正された事業承継税制は、納税猶予の対象が大幅に広がるなど、事業承継に多くのメリットがあります。
いつから事業承継計画に取り組めばよいか
事業承継の計画書作成は、いつから取り組めばよいのでしょうか。
経営者・後継者の年齢を考慮
計画書作成をスタートする時期は、遅くとも経営者が60歳になったときです。60歳を過ぎると、日本人男性の生存率は大幅に低下していくからです。また、後継者の年齢も考慮し、比較的若く経営を精力的に進められるうちに、事業を承継することも重要でしょう。
最適なタイミングはいつか
事業承継計画書作成を開始する最適なタイミングは、決算の直後です。計画書作成には自社の株価の正確な評価が必要だからです。
事業承継計画書の作成に必要な準備とフロー
事業承継計画書の作成に必要な準備とフローを見ていきましょう。
自社の現状を把握する
事業承継計画書を作成するにあたって最初に必要なのは、自社の現状を正確に把握することです。会社の経営資源や経営リスク、経営者および後継者の現状、相続が発生した際のリスクなどをしっかりと押さえます。
承継方法や後継者を決定し、育成
次に、承継方法や後継者の決定を行い、必要であれば後継者を育成します。事業承継の方法は大きく分けて3つあり、親族内承継、従業員などへの承継、M&Aによる承継があります。
経営理念について考える・共有する
経営理念について後継者とともに考え、共有することも重要です。会社の強みを生かしていくためには、経営者が経営理念に立ち戻って考えていくことが欠かせないからです。
中長期的なビジョンを設定
中長期的なビジョンを適切に設定することも、事業承継計画書の作成にあたっては大切です。それとともに、売り上げや利益などの目標を設定し、それらの達成に向けた行動計画を策定することも欠かせません。
計画を作成して事業承継を円滑に行おう
経営者が高齢になったとき、その先も会社を存続させるためには事業承継が必要です。事業承継は計画書を作成し、親族や後継者、外部関係者などの理解を得ながら進めることが重要です。計画書を作成し、事業承継を円滑に進めましょう。(提供:企業オーナーonline)
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