NISA口座を活用して米国株投資を始めたいと考える人もいるだろう。中長期投資に向いており、安定的な成長が見込める米国株は、NISAとの相性がよいとも考えられる。

この記事では、NISAで米国株を購入するメリットや購入の流れ、おすすめの証券会社、おすすめの銘柄を紹介する。また、一般NISAの制度改正についても解説するので、NISAで米国株投資を始めたいと考えている人はぜひ参考にしてほしい。

NISAで米国株を購入する3つのメリットとは?

NISA,米国株
(画像=PIXTA)

NISAには一般NISAとつみたてNISAがある。このうち、株式に投資できるのは一般NISAだ。そのため、この記事では一般NISAについて解説していく(これ以降NISAと表記する場合は、一般NISAを指す)。

まず、NISAで米国株を購入する3つのメリットを紹介していく。

メリット1.売却益や配当益に税金がかからない

株式投資をして譲渡益が出たり、配当を受け取ったりすると、所得税・住民税がかかる。税率は20.315%だ。利益のうち約2割を税金として納めなければならないことになる。

しかし、NISA口座で株式投資をすると、年間120万円までの投資で得た譲渡益や配当金には税金がかからない。NISAは最長5年間適用できるため、最大で600万円を非課税で運用できることになる。税金を差し引かれることなく、利益を満額受け取れるのがNISAで米国株を買う1つ目のメリットだ。

メリット2.120万円の非課税枠を使い切りやすい

日本株の売買単位は原則100株だ。そのため、1株5,000円の日本株を購入しようと思えば、最低でも50万円が必要になる。

NISAの非課税投資枠は、1年間で120万円と決まっている。NISAで日本株だけを購入しようと思えば、120万円という非課税投資枠をすべて使い切るのが難しい場合もあるだろう。一方、米国株は1株単位で購入が可能だ。1株5,000円の米国株なら、5,000円あれば投資できるのだ。そのため、微調整がききやすく、非課税投資枠の120万円を最大限活用できるだろう。

売買単位が小さい米国株なら、NISAのメリットをしっかり享受できる。これがNISAで米国株を買う2つ目のメリットだ。

メリット3.中長期投資で利益を出しやすい

NISAの非課税期間は5年なので、NISAで投資するなら、中長期投資が適している。過去30年を振り返ると、米国株が中長期投資に適している理由が見えてくる。

日経平均株価はバブル崩壊以降、横ばいが続いている。バブル期の株価にはいまだに達していない。一方NYダウの推移をみると、リーマンショックやコロナショックで一時的に下落することがあっても、全体としてみれば右肩上がりで成長していることがわかる。

このような傾向が今後も続くと予想するなら、中長期投資には、日本株より米国株が適していると考えられる。

外国株専門家のコメント

NISAで米国株を購入する簡単3ステップ

続いて、NISAで米国株を購入する手順を解説していく。

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ステップ1.証券会社で口座開設する

すべての証券会社で、NISAで米国株を購入できるわけではない。そのため、まずはNISAで米国株を購入できる証券会社を選び、口座開設する必要がある。すでに証券口座がある場合も、「外国株取引口座」を開設しなければならないケースがある。口座開設の申し込みはネットからでも簡単にできるので、まずは申し込みをしてみよう。

ステップ2.投資する米国株を選ぶ

証券口座開設とあわせて考えたいのが、どの米国株に投資するかという点だ。取り扱っている銘柄数は、証券会社によって異なる。そのため、確実に買いたい米国株の銘柄があるなら、口座開設する証券会社で取り扱いがあるかどうかを確認しておこう。

ステップ3.実際にNISAで米国株に投資する

口座開設が完了し、投資する米国株が決まったら、いよいよ実際に資金を投じて米国株投資をスタートする。各証券会社に申し込み画面から、米国株を購入しよう。NISA口座で購入することは注文時に選択できるはずなので、間違いなくNISA口座で購入するよう注意したい。

NISAでの米国株投資におすすめの証券会社3選

続いて、NISAで米国株投資するのに適した証券会社を紹介する。

 ネット証券会社名  取引手数料※1  個別銘柄数 ※2  米国ETF取扱数※2  特徴
 マネックス証券  最低0ドル
 約定代金の0.45%
 3,668銘柄※2  311銘柄※2  ●取扱銘柄最多
 ●米国株取引で最大3万円キャッシュバック
 SBI証券  最低0ドル
 約定代金の0.45%
 3,122銘柄※2  258銘柄※2  ●最大手ネット証券
 ●口座開設数国内No.1
 楽天証券  最低0ドル
 約定代金の0.45%
 3,631銘柄※2  312銘柄※2  ●米国ETF取扱数No.1
 買付手数料実質無料
 ●レードツールが便利
※1:最大取引手数料は20ドル
※2:2020年12月23日現在

マネックス証券

マネックスは米国株の銘柄が国内で最も豊富で、手数料の低さにも定評がある証券会社だ。NISA口座では米国株の手数料がキャッシュバックされ、実質無料となっている。投資ツールも充実しており、初心者でも安心して投資をスタートできる。豊富な銘柄から投資先を選びたいなら、マネックス証券がおすすめといえるだろう。

SBI証券

マネックス証券に次いで米国株の銘柄が豊富なSBI証券。証券総合口座開設数は500万口座を突破しており、ネット証券大手として強い存在感を発揮している。米国の海外ETFの買付手数料が無料なのもうれしい点だ。大手で安心して投資したい人や、ETFにも興味がある人にはSBI証券がおすすめだろう。

楽天証券

マネックス証券、SBI証券に次いで米国株の銘柄が豊富な楽天証券。海外ETFの取り扱い数が多く、NISA口座なら買付手数料も無料だ。日頃から楽天をよく利用しており楽天経済圏で生活している人や、ETFにも興味がある人には楽天証券がおすすめだ。

NISAで米国株投資する2つの注意点

NISAで米国株投資をする注意点として、損失が発生した場合に、損益通算や繰越控除ができないという点がある。

通常は、A株式で100万の譲渡益がでて、B株式で40万円の譲渡損が出た時、譲渡益と譲渡損を相殺することができる。100万円とマイナス40万円が相殺され、60万円の利益に対してしか税金がかからない。これを損益通算という。

また、仮にB株式で140万円の譲渡損が出て、A株式の譲渡益100万円と相殺してもさらに損失が大きいという場合、確定申告をすることで翌年以降に損失を繰り越せる。つまり、相殺しきれなかった40万円を翌年にもちこし、翌年の利益と相殺できるのだ。これを繰越控除という。

しかし、NISAを利用すると、損失が出ても他の株式と譲渡損を相殺したり、損失を翌年に繰り越したりできない。利益が出ても税金がかからないかわりに、損をした時に他の利益と相殺することもできないという仕組みなのだ。

NISAを活用する時は、損益通算と繰越控除ができないことは十分に理解しておきたい。

このデメリットを打ち消すには、損失が出にくい安定的に成長が見込める銘柄を選ぶことが大切だ。また、そもそもNISA以外で日常的に株式投資をしていなければ、損益通算ができないことは大きなデメリットにはならない。

NISAで買うのがおすすめの米国株は?個別銘柄も紹介

NISAのデメリットを打ち消し、非課税メリットを最大限享受するためには、当然ながら銘柄選びが重要だ。続いては、NISAで米国株投資する時の銘柄の選び方のポイントと、投資先として検討したい個別銘柄を紹介する。

NISAで米国株を選ぶ時のポイント

NISAで米国株を買うなら、中長期的に成長が期待できる米国株を選ぶことが大切だ。株価の変動が激しく、数年後の業績が読めない企業より、これまでの実績があり、数年後も安定して成長を遂げている企業を選ぶようにした方が良いだろう。

NISA口座以外なら、損失が出たとしても損益通算や繰越控除ができる。そのため、あえてハイリスクハイリターンの銘柄を選ぶのもひとつだ。しかし、NISA口座では損益通算や繰越控除はできない。そのため、ハイリスクハイリターンの投資先を選ぶのではなく、リスクが低く安定的にリターンが期待できる銘柄を選ぶことがポイントだ。

NISA口座では実績のある大企業を中心に銘柄を選び、NISA口座以外でハイリスクハイリターンの米国株に挑戦するというように分けて考えることも一つの選択肢だろう。

NISAで米国株投資をするなら検討したい銘柄

絶えず新しい最新技術が生まれるIT業界は、今後も成長が期待できる業界だ。アメリカの有名IT企業には、マイクロソフトやアップル、Google、Facebook、Amazonなどがある。ただし、最近では巨大IT企業への規制を強化する動きもあるため、アメリカ政府の政策動向には注意を払いながら投資先を選定したい。

コカ・コーラやスターバックスなど、商品になじみのある米国株を選ぶのもいいだろう。ブランド力の強い企業なら、すぐにすたれてしまう心配がなく、安定的な成長が期待できる。

その他にも、電気自動車メーカーのテスラや、バイオ医薬品会社のファイザーにも注目が集まっている。ただし、株価が高騰している時に高値掴みしてしまうと、その後の値下がりリスクを抱えることになる。タイミングをみはからって投資の機会を待つようにしたい。

一般NISAは2024年に見直される?

2024年からは新NISAがスタートすることが決まっている。具体的には、2階建ての構造となり、投資初心者は1階部分のつみたてNISAを活用していなければ2階部部分のNISAの非課税枠を利用できないという仕組みになる。

つみたてNISAを利用せずにNISAを利用してみたいと考えているなら、新NISAがスタートする前に口座開設するといいだろう。また、つみたてNISAとNISAをどちらも利用する場合も、投資経験を積むという意味で、早めにNISA口座を開設した方がメリットが大きい。

現行のNISA制度で投資をスタートしても、非課税期間が終了したあと、新NISA制度へのロールオーバー(移管)が認められる見込みだ。新NISAのスタートをわざわざ待つメリットは特にない。

投資は経験を積むほど知識が身につき、安定的に利益を出せるようになる。機会損失を生まないよう、早めに投資をスタートすることが大切だ。

実際にNISAで米国株投資を始めてみよう

米国株投資に興味があるなら、NISAを利用しないのはもったいない。約2割の税金が非課税になるというNISAのメリットは想像以上に大きい。利益を最大化するためにも、NISA口座の活用を検討したい。

また、NISAでの投資を考えているなら、日本株より米国株の方がNISAの制度に適していると言える部分もある。中長期的に成長が見込める米国株なら、損益通算ができないというNISAのデメリットを打ち消し、5年間の非課税期間をめいっぱい活用できる。また、1株単位で購入できることも、日本株にはない米国株のメリットだ。

投資で成功するには勉強も大切だが、まずは投資を始めてみることが重要だ。実際に自分の資金を投じることで、政治や経済のニュースに関心を持てたり、内容を深く理解できたりする。投資の知識をより効率的に身につけられるようになるだろう。