【厳選】オーナーズ倶楽部編集部 おすすめ書籍を紹介

不動産オーナー、そして将来オーナーになる方にとって、日々の賃貸経営について、そして次の不動産投資については、いつも情報を求め、学びを深めていることでしょう。そこで、オーナーズ編集部では、多くの書籍の中から、良質な1冊を厳選し、その抜粋を紹介してまいります。

著者 浦田健

目次

  1. スゴ技⑮:入居者の自由なカスタマイズを認める
  2. スゴ技⑯:壁紙は入居者に選んでもらえ!
  3. スゴ技⑰:リフォームにどこまでお金をかけるべきか?
    1. リフォームコストの考え方
    2. 6か月で採算がとれるレベルが目安

スゴ技⑮:入居者の自由なカスタマイズを認める

賃貸経営
(画像=contrastwerkstatt/stock.adobe.com)

これまでは「リフォームは大家がするもの。入居者に部屋をいじらせるなんてとんでもない」というのが賃貸経営の常識でした。しかし、自分の好みを一番知っているのが当の入居者自身ですし「自分好みの部屋に改造したい」というニーズは少なからず誰もが持っています。そこで最近、あらたな空室対策として、入居者に自由にリフォームを任せる事例が増えています。

入居者に自由なリフォームを認めるには、次の2つの方法があります。

(1)リフォーム前の部屋を自由にカスタマイズしてもらう
(2)原状回復リフォーム後の部屋を自由にカスタマイズしてもらう

いずれの方法も、カスタマイズの費用は入居者持ちですが、原状回復後の部屋を自由にカスタマイズしてもらうほうが当然、入居者の負担は軽くなりますので成約率は高くなります。

実は政府系のUR賃貸も「DIY賃貸」と銘打って入居者獲得に躍起になっています。

「UR賃貸」は住宅公団などから現在は独立行政法人都市再生機構に衣替えした日本で一番大きい大家さんの賃貸ブランドです。そのUR賃貸でも、柔軟に入居者をとり込もうとしているのですから、今後カスタマイズを認める流れは加速していくでしょう。

具体的にUR賃貸などが行なっている、入居者にカスタマイズを認めて賃貸する場合の入居契約のポイントは次の4つです。

①定期借家契約として、1年以上の入居を義務付ける
これは短期退居を防ぐための取り決めです。リフォーム工事期間として3か月程度の無償期間を設ければ、より入居募集もしやすくなるでしょう。

②カスタマイズ可能箇所と、施工内容を取り決めた書類・図面を用意する
事前に変更可能な箇所を取り決めることによって一定のルールをもうけ、無制限のカスタマイズを防止する。

③原状回復義務を免除し、カスタマイズした箇所の買取請求権は認めない契約とする
通常、カスタマイズ箇所は原状回復義務がありますが、これを免除する一方、家主の買取請求権も認めない契約を取り交わすことにより、入居者の負担軽減と大家さんにとっていれば無償のバリューアップを両立できる可能性がでてきます。

④ 契約書に他の入居者の迷惑になるようなDIYや、躯体や共用部分の改修を伴うもの、法令に違反するような事はできないことを盛り込む
過度なカスタマイズを防止することにより、他の入居者に対して一定の住環境を保証します。

入居者にカスタマイズを認めることによって、部屋に愛着がわき長期入居につなげることができるようになるのです。

スゴ技⑯:壁紙は入居者に選んでもらえ!

入居者に好みの壁紙を自由に選べるオプションをもうけることで、新規入居者の獲得につなげる大家さんも増えてきました。入居者はカスタマイズにかかる費用負担なしで自分好みの部屋に仕立てることができるので、空室対策の新たな技として定着しつつあります。

選べるクロスは、原状回復の範囲で選ばれるスソ物と呼ばれる壁紙ではなく、分譲住宅に採用される1,000番台といわれるサンプル品の中から選ばせるといいでしょう。1,000番台のほうが、デザイン、色味ともに様々なサンプルが用意されていて、選ぶ楽しみは格段にアップします。しかも仕上げに高級感がでますので部屋自体のグレードとともに入居者の満足度も確実に高まります。

スソ物との価格差は㎡当たり300円程度ですから、ワンルームを全部1,000番台に変えても、3万~5万円程度のコストアップにしかなりません。1か月分のフリーレントをもうけて入居促進をするより、安いものです。さらに、入居者好みの部屋に仕立てることで、長期入居につながり、費用対効果は大きくなります。

スゴ技⑰:リフォームにどこまでお金をかけるべきか?

いうまでもありませんが、アパマン経営は入居者がいて初めて成り立つ商売です。

あなたが売っている商品は「部屋」ですが、その部屋の商品価値は毎年少しずつ失われ、いつのまにかあなたが得たい家賃を下回ってしまいます。もちろん、周辺の家賃相場も影響していますが、基本的にどんな商売でもその原理原則は同じ。いただくお金以上の価値を提供することが大原則なのです。

もし、あなたが「家賃は下げたくない」と思っているなら、家賃以上の価値を提供しなければいけません。ですから、リフォームは必要不可欠なのです。

リフォームコストの考え方

しかし、いざリフォームしようと思っても採算を度外視して無尽蔵にお金をかけるわけにはいきません。リフォームをしても家賃は2倍になるわけではありません。とはいえ、お金のかけなさすぎもよくありません。一般的な現状回復程度のリフォームでは、逆に空室期間が伸びてしまい家賃下落の負のスパイラルに陥ってしまうかもしれないからです。

では、いったいリフォームにいくらまでかければいいのでしょうか?

たとえば、今あなたの物件が3か月間空室になっているとします。もし、何の対策もしていなければ、さらに3か月間空室になるかもしれません。仮に6か月後に入居者が決まったとすると、6か月間分の家賃収入はゼロということになります。これはものすごい機会損失ですね。

一方、3か月空室の時点で対策をし、家賃3か月分をかけてリフォームを行なったら、すぐに入居者が決まったとしましょう。トータルコストは「3か月分の家賃損+3か月分の費用をかけてリフォーム」で6か月分となり、かかるコストは同じです。

しかし、前者の場合は家賃が下がる可能性がありますし、広告費もさらにかかるかもしれません。逆に後者の場合は、家賃も下がることもなく、広告費も上積みもしないで入居者が決まる可能性は前者よりも高いはずです。

さらに、退居後すぐにバリューアップのためのリフォームをしていたら、6か月の空室損もなくすぐに入居者が決まってしまうかもしれません。ですからこの場合、6か月分程度のコストをかけるのは合理性の高い予算の組み方といえるでしょう。

6か月で採算がとれるレベルが目安

リフォームコストの掛け方は人によりさまざまです。なかには家賃2年分をかけてリフォームをする大家さんもいます。もちろん、2年間で元をとり3年目から利益になることは承知の上のリフォームです。しかし、一般的には、「もし、リフォームしなかったらさらに空室になってしまう期間」を客観的に考え、その家賃損をかけられるリフォームコストの上限とするのがセオリーでしょう。

具体的には6か月程度が短期間で採算がとれるレベルです。これなら空室で困っている大家さんも、なんとか捻り出せる予算になるはずです。ここまでご紹介してきたリフォーム方法も、この範囲の予算で十分まかなえるレベルになっています。ちなみに外装リフォームにかける予算は、塗装のみであれば建物全体の家賃の1~3か月分程度を基準にすれば、コストをかけすぎたということはありません。リフォームの費用にいくらまでかけるべきか悩んだときには、この考え方を参考にしてください。

ここまでのノウハウを全部実践すれば、あなたの物件は格段に商品力がアップしているはず。商品力がアップしたら、次はその商品をどう効果的かつお金をかけずにPRするかが重要です。次章では、成果のあがっている効果的な募集戦略をお伝えしましょう。

『空室対策のすごい技』
浦田健
明治大学商学部卒。「一生、大家さん応援団長」を誓う不動産コンサルティングの第一人者。オールアバウト「アパート・マンション経営」公式ガイド。不動産コンサルティング会社のほか、不動産管理会社、不動産投資会社を経営。自らもアパートの掃除を行なう大家さんのひとり。2008年12月に「大家検定」を監修・認定する一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)を設立、代表理事に就任。
主な著書に『「金持ち大家さん」になる アパート・マンション経営塾』(日本実業出版社)、『もうアパート投資はするな! 利回り20%をたたき出す戸建賃貸運用法』(ダイヤモンド社)、『あなたのアパート・マンションを即満室にする方法』(フォレスト出版)など多数。


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(提供:オーナーズ倶楽部

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