海外旅行や出張の多い人にとって便利なのが空港ラウンジだ。そこで、「プライオリティ・パス」があれば、搭乗待ちや乗り換え待ちの時間を快適に過ごせる空港ラウンジを世界中の空港で無料利用できる。プライオリティ・パスは通常プラチナランク以上のクレジットカードのサービスだが、実はゴールドカードの中にも付帯するものがある。

1,プライオリティ・パスとは何か?

プライオリティパス,ゴールドカード
(画像=Ekaterina Belova/stock.adobe.com)

ハイグレードなクレジットカードに付帯していることがあるプライオリティ・パス。どういったサービスで、どのくらいの価格なのかをまず見ていこう。

プライオリティ・パスとはどんなサービスか?

プライオリティ・パスとは、所定の年会費を支払うと世界各地の空港ラウンジを無料で使えるようになる会員制サービスのことだ。

プライオリティ・パスのサービスは世界148ヵ国、600を超える都市の1,300ヵ所以上の空港VIPラウンジを網羅している。会員資格の種類によってそれらの空港ラウンジを全て何回でも無料で利用したり、あるいはリーズナブルな価格で利用できたりする。

また、プライオリティ・パス会員は、空港のレストランやショップ、スパなどで利用できる世界800以上の割引優待も利用可能だ。

プライオリティ・パスの会員プラン

プライオリティ・パスの会員プランは3種類あり、それぞれ年会費やラウンジ利用料などが異なっている。会員の種類と内容は以下の3種類だ。

会員種類 年会費 会員の
ラウンジ利用料
同伴者の
ラウンジ利用料
スタンダード 99米ドル 32米ドル 32米ドル
スタンダード・プラス 299米ドル 10回まで無料
以降32米ドル
32米ドル
プレステージ 429米ドル 無料 32米ドル
(※プライオリティ・パスのホームページを元に筆者作成)

これを見て分かるようにプレステージ会員はラウンジ料金が何回でも無料になる一方、他の会員プランでは回数制限があるかラウンジ料金自体が有料となる。

海外旅行の回数が多いならプレステージ会員のメリットは大きいが、429米ドル(1ドル=105円のレートで約4万5,000円)の年会費は高額だ。そこで注目したいのが、プライオリティ・パスのプレステージ会員資格を無料で取得できるクレジットカードを作ること。ほとんどの場合、プライオリティ・パスよりも安い年会費でそうしたカードを持てるように設定されている。

海外旅行がそこまで多くないなら、プレステージ会員以外の会員プランをお得に利用できるカードでもいいだろう。

どんなクレジットカードに付帯しているか?

プライオリティ・パスが付帯するクレジットカードはほとんどの場合でプラチナカード以上となる。カード会社により差はあるが、プラチナカードの年会費は安いもので通常2万円台からだ。プライオリティ・パスのプレステージ会員の年会費よりも安く済む。

もちろん年会費5万円以上のカードもあるが、そうしたカードはプライオリティ・パス以外にも種々の特典が充実しており、総合的に考えるとプライオリティ・パスをリーズナブルな年間負担で持てることには変わりない。またカードによっては同伴者まで無料となるものもあり、プレステージ会員以上のサービス内容を受けられることもある。

2,プライオリティ・パスが使えるゴールドカード4枚を比較

数は少ないが、プラチナカードより低いランクのカードでもプライオリティ・パスが付くことがある。プレステージ会員資格とは限らないが、その場合でもプライオリティ・パスの入門カードとしてのメリットはあるだろう。各カードのスペックを比較してみよう。

カード名 年会費(税込) プライオリティ・パス
会員種別等
家族会員
登録
同伴者
楽天
プレミアムカード
1万1,000円 プレステージ会員 不可 1回3,000円
(税別)
セゾンゴールド・
アメリカン・
エキスプレス・
カード
1万1,000円 プレステージ会員が
優遇年会費
1万1,000円
(税込)に
不可 1回2,200円
(税込)
アメリカン・
エキスプレス・
カード
1万3,200円 スタンダード会員 不可 1回32米ドル
アメリカン・
エキスプレス・
ゴールド・カード
3万1,900円 スタンダード会員
※年2回利用料金無料
1回32米ドル
(※各社ホームページを元に筆者作成)

ここでは、ゴールドランク以下のプライオリティ・パスが使えるカード4枚を紹介する。国際ブランドについてはVISA、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレスの4ブランドから選べる「楽天プレミアムカード」を除くと、いずれのカードもアメリカン・エキスプレスとなる。

2-1,楽天プレミアムカード……プレステージ会員資格が無料に

「楽天プレミアムカード」の年会費は1万1,000円(税込)である。本会員はプライオリティ・パスのプレステージ会員を利用できる。同伴者は有料となり1回につき3,000円(税別)。

このカード自体のサービスとして国内主要33空港と海外2空港(ハワイ・ホノルル、韓国・仁川)の空港ラウンジも無料で利用でき、こちらは家族カード会員も無料利用OKだ。

・トラベルサービス
Wi-Fiレンタル20%オフ、海外レンタカー10%オフ、空港手荷物宅配割引、防寒具一時預かりサービス10%オフ、世界38拠点の現地トラベルデスクによるサポートなどを利用できる。

・旅行傷害保険など付帯保険
最高5,000万円の海外・国内旅行傷害保険が自動付帯(海外は旅行代金のカード払いがない場合、最高4,000万円)。また、年間300万円限度のショッピング保険が付帯する(自己負担額1事故3,000円)。

・ポイント還元率などその他の特徴
ポイント還元率は1%となっており通常でも十分に高還元だが、楽天市場での利用では最大6倍(誕生月なら最大7倍)の超高還元となる。その他、ETCカードの年会費550円(税込)が無料になるなどの特典も適用される。

・どんな人におすすめか
とにかく安くプライオリティ・パスのプレステージ会員資格を利用したい人におすすめの1枚だ。楽天市場をよく利用するなら、さらにお得感が強いだろう。

2-2,セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカード……優遇年会費でプレステージ会員資格に登録可能

「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカード」の年会費は1万1,000円(税込)である。カードの特典として、プライオリティ・パスのプレステージ会員資格に優遇年会費1万1,000円(税込)で登録可能だ。同伴者の利用時は1回につき2,200円(税込)の優遇料金となる。

さらにこのカード自体のサービスとして国内主要33空港と海外1空港(ハワイ・ホノルル)の空港ラウンジも無料になる。こちらは家族カード会員も無料で利用できる。

・トラベルサービス
帰国時の空港から自宅への手荷物が1個まで無料(2個目以降ならびに逆経路は割引料金)になる他、コート預かりサービス優待料金、海外用Wi-Fi・携帯電話レンタルサービス優待料金、海外アシスタンスデスク利用、大手旅行会社パッケージツアー最大8%オフなどのサービスが提供される。

・旅行傷害保険など付帯保険
最高5,000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯。海外・国内とも家族にも補償が適用される家族特約付きとなる。ただし、国内は旅行代金のカード払いが付帯条件だ。その他、年間200万円限度のショッピング保険が付帯する(1万円未満の損害額は対象外)。

・ポイント還元率などその他の特徴
ポイント還元率は通常0.75%で、海外利用分は1%となる。その他、西友、リヴィン、サニーで月2回5%オフになるなど、ショッピング、ヘルスケア、ライフスタイル、カーライフ、ビジネスなど各ジャンルにおけるさまざまな優待が充実する。

・どんな人におすすめか
プライオリティ・パスを継続的に使うかどうか分からないなら、必要な期間だけ追加料金を払って登録できるこのカードがよいだろう。セゾンカードならではのサービスや優待が充実するのも大きな魅力となっている。

2-3,アメリカン・エキスプレス・カード(アメックスグリーン)……スタンダード会員が無料に

「アメリカン・エキスプレス・カード」、通称アメックスグリーンの年会費は1万3,200円(税込)となっており一般カードとしては非常に高額だ。他社のゴールドカード相当のスペックとなっているため、ここではゴールドグレードのカードとして紹介しよう。

プライオリティ・パスに関しては、本会員はスタンダード会員に無料で登録可能だ。これにより本会員とその同伴者は対象ラウンジを1回32米ドルで利用できる。また、カード自体のサービスとして国内主要28空港と海外1空港(ハワイ・ホノルル)のラウンジを同伴者1名まで無料で利用可能だ。

・トラベルサービス
自宅-空港間でスーツケース1個を無料配送するサービスの他、海外用レンタル携帯電話のレンタル料半額・通話料10%オフ、グローバル・ホットラインによる海外旅行中のサポートなどを利用できる。

・旅行傷害保険など付帯保険
旅行代金をカード払いにすると、海外・国内ともに最高5,000万円の旅行傷害保険が付帯する。その他、年間500万円限度のショッピング保険(1事故免責1万円)、1商品最高3万円・年間最高15万円のリターン・プロテクション(返金補償)などショッピング関係の保険も充実する。

・ポイント還元率などその他の特徴
ポイント還元率は通常0.33%とあまり高くはない。年間利用金額が多いなら、年間参加費(3,300円・税込)を支払い「メンバーシップ・リワード・プラス」に参加することで、特定利用分でボーナスポイント獲得、ポイント利用・交換時のレートアップを受けてもいいだろう。

・どんな人におすすめか
同伴者1名も無料となるカード付帯の空港ラウンジサービスの使い勝手がよいため、国内の空の旅がメインでたまに海外にも行く人に向いているカードだ。ショッピング関係の保険が強力なので、高額な買い物が多い人にもおすすめできる。

2-4,アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード……スタンダード会員が無料、利用料金が年2回無料に

「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」の年会費は3万1,900円(税込)。ゴールドカードとしては非常に高額だが、他社プラチナカード相当のサービスが一部含まれる。

プライオリティ・パスについては、本会員と家族カード会員はスタンダード会員に無料で登録可能だ。さらに1回32米ドルの利用料金が年2回まで無料になる。その他のカード自体のサービスとして国内主要28空港と海外1空港(ハワイ・ホノルル)のラウンジを同伴者1名まで無料で利用できる。

・トラベルサービス
自宅-空港間でスーツケース1個を無料配送するサービスの他、海外用レンタル携帯電話のレンタル料半額・通話料10%オフ、京都特別観光ラウンジ、オーバーシーズ・アシストによる海外旅行中のサポートなどを利用できる。

・旅行傷害保険など付帯保険
旅行代金をカード払いにすると海外最高1億円・国内最高5,000万円の旅行傷害保険が付帯。本会員は旅行代金をカード払いにしない場合でも最高5,000万円の海外旅行傷害保険が付帯する。また、海外・国内とも家族にも保険が付帯する家族特約付きとなっている。

その他、最高4万円の航空便遅延費用保険(海外)、年間10万円限度のキャンセル・プロテクション(病気や出張などによるイベントや旅行のキャンセル費用を補償)、年間500万円限度のショッピング保険(1事故免責1万円)、1商品最高3万円・年間最高15万円のリターン・プロテクション(返金補償)などさまざまなニーズに応える多様な保険が充実する。

・ポイント還元率などその他の特徴
ポイント還元率は通常0.33%とあまり高くはないが、年間参加費(3,300円・税込)を支払い「メンバーシップ・リワード・プラス」に参加すると、特定利用分におけるボーナスポイント獲得、ポイント利用・交換時のレートアップを受けられる。ケースバイケースで利用してもいいだろう。

また、このカードには、国内外約200店舗のレストランで所定のコースを2名以上で予約すると1名分が無料になるサービスも付帯する。これは通常プラチナランク以上のカードで提供される。多くの場合、2~3回これを利用するだけでカード年会費の元が取れてしまう優れたサービスだ。

・どんな人におすすめか
年に1~2回海外へ行く程度なら、このカードのサービスの範囲で十分にプライオリティ・パスの恩恵を享受できるはずだ。その他の旅行関連のサービスや保険も強力なので、万が一の事態に手厚く備えたい人におすすめできる。

3,利用の仕方を考慮して自分に合った1枚を

海外旅行では、搭乗待ちもさることながら乗り換えの待ち時間が長くなることが多々ある。そのようなときに、快適なラウンジで時間を過ごせるプライオリティ・パスは大きなメリットと感じられるだろう。

ここで紹介したのはゴールドランク以下のカードということもあり、会員プランや利用形態に制限のあるものも含まれているが、予想される利用頻度や年会費、他の付帯サービスとのバランスも考えて自分に合った1枚を見つける参考にしてみてほしい。

執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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