米国で2020年1~2月にかけて「素人投資家の乱」というべき事件が株式市場に起きたことをご存じでしょうか。その舞台は、米国のゲームソフト小売り大手「Gamestop社の株式相場」と掲示板サイト「レディット」、そして株式投資アプリ「ロビンフッド」です。いずれも報道をにぎわせたキーワードなので見聞きしたことがある人も多いかもしれません。

しかし「これらの舞台でいったい何が起きたのかはよく分からない」といった人は多いのではないでしょうか。解釈によっては歴史的な「事件」ともいえる出来事です。そこで今回はGamestop株で起きた「素人投資家の乱」について解説しつつこうした不確実性への対策やより安全な投資環境についても提案します。

「Gamestop株」で何が起きたのか

米国で吹き荒れる「素人投資家の乱」から見えた不動産投資の平和度
(画像=photobyphotoboy/stock.adobe.com)

Gamestop社は米国を中心に展開しているゲームソフトの小売りチェーンです。日本でいう「TSUTAYA」や「GEO」に近い存在といえば分かりやすいでしょうか。ゲームソフトの販売が伸びるにつれて同社も業績を伸ばしていた時期もありました。しかしオンラインゲームの普及や配信によるリリースなどに押される形で業績が低迷し2019年までは6年連続で株価が下落している状態でした。

これに目を付けたのがヘッジファンドで値下がりを見越した空売りが仕掛けられました。このこと自体は、ヘッジファンドとして特に珍しくない投資行動です。しかしGamestop社は多くのゲームファンにとって「お世話になった会社」という意識が強く、そのGamestop社が業績低迷になったのをチャンスとばかりに空売りをしたことで「Gamestop社をつぶそうとしている」と反発する声が上がりました。

その声が強く上がったのが掲示板サイト「レディット」にある「WallstreetBets」というフォーラムです。「ヘッジファンドを撃退しよう」といったニュアンスの書き込みがあふれて個人投資家がこれに呼応。個人投資家の中でもロビンフッドという株式投資アプリのユーザー(ロビンフッダー)が非常に多く見られました。

このロビンフッダーたちは投資経験がほとんどないいわば素人です。その素人がネット情報に煽られる形で一斉に参入しGamestop株が暴騰したのです。Gamestop株には、ヘッジファンドの空売りポジションが膨大に積み上がっていました。しかしこうしたロビンフッダーたちの攻勢は、ショートスクイーズとなり踏み上げを食らう形で巨額の損切りを余儀なくされたのです。

義憤にかられた人たちも含む個人投資家たちがヘッジファンドに「勝利」したことでこのショートスクイーズは大きな話題となりました。

ロビンフッダーたちにとって、株は「ゲーム」

Gamestop株に起きた歴史的なショートスクイーズは、あまりにも手軽に株式投資ができるロビンフッドがなければ成し得なかったことでしょう。ロビンフッドは「売買手数料が無料」「スマホアプリで手軽に投資ができる」などが人気の理由です。株式投資をここまで手軽な存在にしたことは一つの功績ともいえます。

この手軽さもあってロビンフッダーたちにとっての株式投資はスマホゲームのようなもので「そこで動いているお金がどう流れているのか」といった株式投資の本質を理解している人は少数派です。そのためセオリーにはないような売買行動をすることも珍しくなくゲーム感覚の素人トレーダーたちがGamestop株を暴騰させた主役となったのです。

こうした投資勢力が多数派となって相場を動かすことが現実となった今、これと同じことが他の銘柄や金融商品でも起きる可能性があります。事実、Gamestop株の次には銀相場などに一部のロビンフッダーが殺到したこともありました。こうしたゲーム感覚の素人投資家たちが時に「イナゴの大群」となって平和な相場に嵐を起こすことを考えなければならない時代なのです。

中長期的な投資に適していた米国株の地位が揺らぐ?

Gamestop株の乱高下は、米国株式市場を舞台に起きました。米国株というと長期的な上昇トレンドに支えられた堅調さが魅力で「中長期的な積立投資に適している」という評価もあります。しかしこうした予想外のプレイヤーが登場したことによって米国株にあまり肩入れをしすぎることへの暗雲が立ち込めていると考えるべきでしょう。

価格の乱高下は、ボラティリティ(変動幅)から利益を狙う短期トレード派には魅力的かもしれませんが中長期的な視点で資産形成を考えている人にとっては不安材料となってしまいます。

中長期的な資産形成は不動産投資が王道である7つの理由

長期的な資産形成のために米国株に偏重しすぎるのは、リスクが高くなってきたともいえるでしょう。そこで中長期的な資産形成に適した不動産投資の魅力に目を向けてみてはいかがでしょうか。中長期的な資産形成に不動産投資が適していると考えられる7つの理由を解説します。

理由その1:素人投資家が参入してくことはなく市場が安定

売買手数料が無料かつ1株単位で売買ができるロビンフッドでは、数米ドルの資金でも投資家になることができます。しかし不動産投資は自己資金が少なくとも数十万円、そして融資を利用するケースが大半です。これだけの資金を投じて遊び半分で参入してくることは考えにくいため、市場が非常に安定しています。

理由その2:日本は世界的にも政治経済が安定しており不動産投資に適している

日本に住んでいるとなかなか実感できませんが日本は世界にも類を見ないほど平和で安定している国です。そのことは、2019年に英国の雑誌「エコノミスト」が発表した世界60都市の安全度ランキングで1位に東京、3位に大阪がランクインしていることからもうかがえます。不動産を所有し中長期的に資産形成をしていくには安定的な環境が不可欠です。

理由その3:融資を利用できる

株やFX、仮想通貨など投資といえば思い浮かぶものはいくつかあります。しかしこれらの投資で融資を利用することはできないため、自己資金100%で取り組むことが必要です。一方で不動産投資は、事業の一種と見なされているため、金融機関の融資を利用することができます。これにより少ない自己資金で本格的な投資ができるため、高い資金投資効率が実現可能です。

理由その4:実物資産なので状況によっては自分が住む選択肢もある

他の投資と違って不動産投資で所有する不動産は現物資産です。入居者をうまく集めることができない場合には、最終的に「自分が住む」「自分が利用する」という選択肢も残されています。他の金融資産では、売却益を狙うか配当益を狙うしかありませんがこの選択肢が残されているのは不動産投資ならではです。

理由その5:不動産の保有が信用につながる

不動産を所有していることは、信用につながります。次の物件を購入すべく融資を受けようと考えているときに不動産を担保とすることで審査に通りやすくなり投資規模を拡大していくのに効果的です。もし仮想通貨で大金を持っている人がいたとしても「それを信用につなげて融資の審査に通りやすくなるか」というと直接の効果はありません。

ただし値上がりによって価値が高くなった仮想通貨を保有しているのであればそれを売却して現金化しそれを自己資金に充てることで信用力につなげることは可能です。

理由その6:節税効果がある

不動産投資には、節税効果という2次的なメリットがあります。もし不動産投資の収支が赤字になったとしても本業がある人であれば本業収入と損益通算をすることで課税所得を減らし節税に役立てることが可能です。それ以外にも不動産は相続時の評価額が低くなるため、将来の相続を考えるのであれば資産を不動産にしておくことが節税メリットにつながります。

理由その7:日々の値動きに一喜一憂することがない

株やFX、仮想通貨などは日々価格が変動しているため、投資家はどうしてもその値動きに一喜一憂してしまいがちです。Gamestop株のように乱高下するようなことがあればなおさらでしょう。その点、不動産はそれほど急激に価値が大きく変動することはないため「日々の値動き」という概念がありません。じっくりと腰を据えて長期的な資産形成をしていくのにあたってこの安定感は非常に重要です。(提供:Dear Reicious Online


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