毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。
本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。
金融業界ランキング
第1位:『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木厚著、アスコム)
第2位:『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(塚本亮著、明日香出版社)
第3位:『やめる時間術』(尾石晴(ワーママはる)著、実業之日本社)
第4位:『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮社)
第5位:『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長著、朝日新聞出版)
第6位:『新装版 なぜか好かれる人の話し方 なぜか嫌われる人の話し方』(ディスカヴァー・コミュニケーション・ラボラトリー編、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第7位:『最高のパフォーマンスを引き出す習慣術』(大塚邦明著、フォレスト出版)
第8位:『99.9%は幸せの素人』(星渉 / 前野隆司著、KADOKAWA)
第9位:『2030年』(ピーター・ディアマンディス / スティーブン・コトラー著、土方奈美訳、NewsPicksパブリッシング)
第10位:『教養としてのお金とアート』(山本豊津 / 田中靖浩著、KADOKAWA)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年2月の閲覧数ランキング
「一日三食」が正しいとは限らない
金融業界にお勤めのユーザーから今月最も読まれたのは、『「空腹」こそ最強のクスリ』でした。食生活は普遍的なテーマであり、ダイエットに限らず仕事のパフォーマンスにも直結する領域。本書が多くの方から注目を集めたのは、きわめて自然なことだと言えます。
食事とは本来、空腹を満たし、生命活動を維持するために行われるものです。しかし食べ物に困るどころか、食べすぎることが日常化した現代では、意識していないとついつい食べすぎてしまいます。その結果、ひっきりなしに送り込まれる食べ物への処理が追いつかず、身体が悲鳴をあげることも。
「一日三食」がかならずしも正しいとは限りません。自分の身体の声に耳を傾けつつ、ときには空腹の時間を設けることで、身体機能を強化すると同時に仕事のパフォーマンスを高められるとしたら? 空腹の時間が身体に与える影響は、想像以上に大きいものです。簡単な筋トレとともに、食生活の見直しをすることで、公私ともにより充実した時間を過ごせるようになるでしょう。
あなたが「すぐやる人」になれない理由
第2位は、先月と同じく『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』でした。2カ月連続でトップ3に入る書籍は限られており、それだけ本書が金融パーソンの関心を集めたことがわかります。特に保険業界では依然として最も読まれており、注目度の高さが伺われました。
変化の激しい業界において求められるのは、「主体的に行動できる人」、やるべきことを「すぐやる人」です。とはいえ、「やろうと思っていたのに、面倒になってしまった」「わかっているのにできない」というときは、誰にだってあるものです。そんなとき、いたずらに自分を責めていても、パフォーマンスの向上につながるどころか、むしろ悪化させてしまいます。
やろうと思ったことができなくても、それは自分がダメということではなく、環境が整っていないというだけ。適切な「習慣」さえ身につければ、これまで「やれない人」だったとしても、「すぐやる人」になれるはずです。「変わりたい」と願うすべての人を、本書はやさしく後押ししてくれるでしょう。
自分の人生の主導権を取り戻すために
第3位には、『やめる時間術』がランクインしました。新年度に向けて、手帳を新調される方も多いと思いますが、「はたして目標が達成できるのか?」「時間がない……」と懸念している方も少なくないでしょう。
「時間がない」のは現代人に共通した悩みです。多忙な金融パーソンにおいては、いかに自分のための時間を生み出すかで、将来のキャリアが変わってくると言っても過言ではありません。そこで参考にしていただきたいのが本書。二人の子育てをワンオペでこなしながら、仕事にも邁進する――そんな超多忙なワーキングマザーの著者が生み出したのが、この「やめる時間術」でした。
新しいことを始めたければ、なにかをやめなければなりません。実際に使った時間をチェックし、そこから時間の使い方を見直していけば、かならず時間は生まれます。年齢を重ねるにしたがい、自分以外の「ままならない」事情は増えていくものですが、結局のところ納得のいく人生を送るためには、自らが選択しなければなりません。自分の人生に主導権を取り戻すため、本書をお読みいただければと思います。
発売日:2021年01月28日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理、トレンド
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社会の変化はどんどん「加速」していく
ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきたいと思います。
第9位の『2030年』は、現在から2030年まで間で、どれほどの変化が社会に起きるのかを記した一冊。とりわけ証券業界で働くユーザーから注目を集めました。
1990年から2000年までの10年間と、2010年から2020年までの10年間では、変化の速度が違うと感じられた方も少なくないのではないでしょうか。そしてその傾向は、2020年から2030年までの10年間でも変わらないか、むしろより「加速」していくと本書は述べており、実際にある驚くべき技術が多数紹介されています。
SFは「サイエンス・フィクション」の略語ですが、これからは「サイエンス・ファクト」を指すようになるかもしれません。それぐらい、空想と現実の境目が曖昧になってきているのです。
未来を生き抜くには加速する世界の変化を見逃さず、スピード感をもって適応することが求められます。本書は最新テクノロジーの情報を概観しており、将来のトレンドを予測するという意味でも、読んでおいて損はないでしょう。
発売日:2020年12月24日
ジャンル:産業・業界、グローバル、政治・経済、テクノロジー・IT、サイエンス、トレンド
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お金とアートは似ている
最後にご紹介したいのが、第10位『教養としてのお金とアート』。お金とアートは一見すると遠い世界のようですが、両者は切り離して考えることができないほど、驚くほどの共通点があります。たとえばオランダでの簿記の普及が、市民ブルジョアによる絵画の購入を引き起こし、フェルメールのような高名な画家の誕生につながりました。また、株式市場の仕組みとアートが売買されるプライマリーマーケットにも類似点が見られます。
ビジネスもアートも、つくり手がいかに情熱を注いで創作活動に打ち込もうとも、第三者に価値を認められなければ価格がつきませんし、社会に影響力を与えることはありません。普段はアートに縁遠いという方でも、「お金」という切り口を通し考えてみることで、もっとアートに興味を持てるようになるかもしれません。
ビジネスを考えるうえでも、人生の美意識を考えるうえでも、じつに示唆に富む一冊です。
発売日:2020年09月02日
ジャンル:産業・業界、ファイナンス、リベラルアーツ
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編集後記
今月は『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(第2位→第2位)を除き、すべて新しい書籍がトップ10に入りました。新年度も近いからか、先月に引き続き習慣形成やコミュニケーションスキルに関するものが上位を占めたかたちです。来月以降はどのようなランキングになるのか、引き続きチェックしてまいります。
本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。
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