株式投資初心者にとって、「バリュー株」は聞きなれない言葉かもしれない。しかし、バリュー株投資は定番の投資スタイルの一つなので、概要や銘柄の探し方は知っておきたい。そうすることで、今後の投資手法の幅も広がるだろう。バリュー株と同様に有名なグロース株の説明とともに、日米の代表的な銘柄を5つずつ取り上げる。

1,バリュー株とは?3つの特徴

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(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

バリュー株とはどのような株のことを指すのか?バリュー株の判断方法や活用方法は?このようなバリュー株に関する疑問について、一つずつ解説する。

特徴1,適正株価より割安な株価で推移している

株式投資の世界で広く用いられるバリュー株は「割安株」とも呼ばれている。株価は本来、その時点の企業価値を適正に示す指標である。それに対して、現在の株価が適正な株価を下回り、多くの投資家から本来の企業価値より低く見積もられている状態が続いている株をバリュー株もしくは割安株と呼ぶ。

特徴2,知名度や成熟企業によく見られる

バリュー株の株価が割安な状態で推移するのは、主に、以下のような理由であると考えられる。

・知名度が低い、投資家からの人気がない
・中長期的に企業の業績に影響を及ぼすことが懸念される悪材料が公表されている
・成熟企業であるため、成長余力があまりないと判断されている

上記からもわかるように、バリュー株の株価が低迷しているのは、業績不振や財務状態の悪化によるものではない。業績が悪く、財務状態も悪い企業の株価が下がっていても、それは割安な状態とは言えない。この場合、現在の低い株価は、企業価値を適正に示した結果であるにすぎない。バリュー株の割安感は、企業の経営実態は好調であるのに、あくまでも負の投資家心理が株価低迷につながっている状態と認識しておくとよいだろう。

特徴3,配当も期待できる

何らかの理由によって、バリュー株の時価は適正な株価を下回っているため、今後、本来の企業価値に見合った株価に向けて上昇する期待が持てる。このように、株価の戻りによる値上がり益を狙って投資するのが「バリュー株投資」である。

さらにバリュー株投資によって、好配当を狙うこともできる。好配当利回りを長期にわたって維持している銘柄の中には、業績が好調なバリュー株があるからだ。配当を長期間実施する企業は財務的・経営的に安定している優良企業や成熟企業であることが少なくない。こうした企業に対する一時的な悪材料のニュースが公表されることで売りが進み、株価が低迷したまま放置されてバリュー株となる。場合によっては定期的に配当も得られるため、利益率も拡大する。

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏と実質的な彼の投資会社であるバークシャーハサウェイは、バリュー株投資を投資手法の柱に据えている。彼がバリュー株投資によって、一代で巨額の資産を築いた逸話は世界的にも有名だ。

2,グロース株とは?

バリュー株と対をなして言及されるのが「グロース株」である。グロース株は「成長株」とも呼ばれている。バリュー株は「株価の戻りを狙う」投資スタイルに適した株であるのに対して、グロース株は、高い成長性と株価の高騰で「大幅な値上がり益」を期待できる株である。

グロース株であることを判断するには、増収増益を継続している、中長期的な予想利益成長率が高い、高い技術力やノウハウをもっている、成長産業に属しているなど、景気動向に左右されず、将来の持続的成長を可視化できることがポイントになる。

グロース株は、将来の成長性が現在の株価に織り込まれているため、総じて株価が高く、PERやPBRなどの指標も割高を示す場合が多い。

3,バリュー株の見分け方―ファンダメンタルズ分析でのチェックポイント

バリュー株であるかどうかは、企業の株価指標や経営指標などの数値を見ることで判断できる。尺度となる指標は多数あるが、誰にでもわかりやすく、広く用いられている主な指標はPER(株価収益性)、PBR(株価純資産倍率)、PEGレシオ、PCFR(株価キャッシュフロー倍率)、ROE(株主資本利益率)の5つ。割安とされる判断基準を整理しよう。

指標 バリュー株とみなす判断基準
PER 10〜15倍以下
PBR 1倍以下
PEGレシオ 1倍以下
PCFR 業界平均・同業他社、過去実績以下
ROE 6%前後以上

このうち少なくともPERとPBRの指標は確認しておきたい。ただし基準となる数値は業界ごとに異なっている。ここからは各数値の意味やより詳細な判断基準を紹介していく。

指標1,PER(株価収益率)=株価÷EPS(1株あたり純利益)

株価が1株が獲得する純利益の何倍になっているかを示す。

・株式市場全体としては、PER10倍~15倍程度が平均的
・PERが10倍~15倍より低ければ、割安と判断できる
・業種ごとの平均値(右欄参照)や同業他社の数値、および過去の実績と比較して、現在のPERのほうが下回っていること

を確認しよう。

東証一部上場企業平均PER(連結)と各業種の加重平均PER(連結)は以下の通り。

対象
(全33業種中13業種抜粋)
加重平均PER(連結)
東証一部上場企業 22.8倍
建設業 8.9倍
食料品 22.1倍
医薬品 32.2倍
電気機器 34.0倍
輸送用機器 21.1倍
精密機器 49.3倍
倉庫・運輸関連 15.5倍
情報/通信業 34.2倍
卸売業 12.2倍
小売業 36.8倍
銀行業 8.6倍
証券/先物取引業 12.0倍
サービス業 37.1倍
※日本取引所グループホームページ掲載の統計資料「規模別・業種別PER・PBR(連結)」を参照

指標2,PBR(株価純資産倍率)=株価÷BPS(1株あたり純資産)

現在の株価が1株当りの純資産の何倍になっているかを示す。1倍ということは株価と純資産が同じということ。理論上、PBR1倍の企業が解散した時に、株主には投資金額と同じ額が戻ってくることになる。

・一般的には、PBR=1倍で、企業価値と株価が釣り合っている状態。
・PBRが1倍より低ければ、割安と判断できる。
・業種ごとの平均値(右欄参照)や同業他社の数値、および過去の実績と比較して、現在のPBRのほうが下回っていることも確認する。

という3点を確認しておきたい。

東証一部上場企業平均PBR(連結)と各業種の加重平均PBR(連結)は以下の通り。

対象
(全33業種中13業種抜粋)
加重平均PER(連結)
東証一部上場企業 1.3倍
建設業 1.0倍
食料品 1.6倍
医薬品 2.5倍
電気機器 2.4倍
輸送用機器 1.0倍
精密機器 4.0倍
倉庫・運輸関連 0.8倍
情報/通信業 2.0倍
卸売業 0.9倍
小売業 2.1倍
銀行業 0.4倍
証券/先物取引業 0.8倍
サービス業 1.9倍
※日本取引所グループホームページ掲載の統計資料「規模別・業種別PER・PBR(連結)」を参照

指標3,PEGレシオ=PER÷1株あたり予想利益成長率

企業の成長率を考慮した株価指標。一見するとPERが高く、割高だと判断される銘柄でも、中期的な利益成長率を加味することで、現在の株価が割安あるいは割高であるかをより実態に近い状態で確認できる。

・一般的には、PEGレシオが1倍以下であれば割安と判断できる。
・業種ごとの平均値や同業他社との比較、過去の実績との比較で、現在のPEGレシオのほうが下回っていることも確認する。

PEGレシオを見るときは上記の2点に着目したい。東証上場企業の業界別PEGレシオの統計データはないため、個別企業や過去実績を確認しよう。

指標4,PCFR(株価キャッシュフロー倍率)=株価÷1株あたりキャッシュフロー

企業の現金を生み出す能力に着目して割安感を判断するための指標だ。キャッシュフロー(税引き後純利益に再び減価償却費を加え直した金額)を基準としたPCFR(株価キャッシュフロー倍率)を、PERやPBRと併用すれば、バリュー株かどうかの判断の信頼性がより高くなる。

この指標に関しては割安を判断するための標準的な基準はない。しかし株式市場の平均PCFRや業界ごとの平均値、同業他社との比較、過去の実績より、現在のPCFRが下回っていれば割安と判断できる。

指標5, ROE(株主資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100

ROE(株主資本利益率)は、投資家が投下した資本を使って、企業がどれほど効率的に利益を上げているかを評価する指標である。ROEの数値が大きい場合は、将来的に株価が上昇する見込みがあるため、割安株であると判断できる材料にもなる。

・日本の上場企業の平均的なROEは6%前後。
・一般的には、ROEが6%前後以上であれば、割安であると判断できる。
・他社に比べてROEが高ければ高いほど、将来増収につながる可能性が高い。

バリュー株投資を考えている場合、上記3点には注目したい。東証一部上場企業平均ROEと各業種の加重平均ROEは以下の通り。

対象
(全33業種中9業種抜粋)
ROE
東証一部上場企業 6.22%
鉄鋼(製造) 5.7%
食料品(製造) 7.3%
医薬品 卸売14.0%
小売り13.0%
電気機器(製造) 10.9%
輸送用機器(製造) 10.4%
精密機器(製造) 5.8%
倉庫・運輸関連(その他) 14.4%
情報処理、提供サービス業 13.6%
サービス業 14.4%
※経済産業省ホームページ掲載の「2019年企業活動基本調査確報-平成30年度実績-」を参照

3,日本の代表的なバリュー株銘柄5選

SBI証券のスクリーナーを使って東京証券取引所に上場する銘柄から、代表的なバリュー株5銘柄を選別した。スクリーニング条件は以下のとおり。

・PER<15倍
・PBR<1倍
・PEGレシオ<1倍
・PCFR<10倍(目安)
・ROE≧5%

その結果、20銘柄に絞り込まれ、次の条件で5銘柄を選定した。

まず、20銘柄を経営効率の良さを表すROEが大きい順に並べ替えた。次にPEGレシオの倍率が高い5銘柄とPCFR倍率が高い5銘柄をチェックし、ともに倍率が高かった1銘柄を除外した。

さらに、各銘柄の過去3年間の業績が赤字決算か右肩下がりである銘柄、大幅な業績悪化が予想される銘柄、あるいは現在の株価と目標株価にほとんど乖離が見られない(各銘柄のアナリストレポートなどを参照)銘柄も除外した上で、ROE上位5銘柄を今回注目するバリュー株として選んだ(2021年2月19日終値基準)。

なお、銘柄別の各種指標一覧に併記した参考配当利回りは、2021年1月末現在の東証一部上場会社加重平均利回り(日本取引所グループ「その他統計資料/株価平均・株式平均利回り」)を参照した。

同じく参考指標として併記されている業界平均の売上高営業利益率は、経済産業省の「2019年企業活動基本調査確報-平成30年度実績-」から引用した。

1,横河ブリッジホールディングス<5911>……土木・海洋向け鋼製橋梁の最大手

1918年設立の鋼製橋梁最大手であり、新規橋梁の設計・製作・現場施工が主力事業。

直近10年間の業績は好調でほぼ右肩上がりに推移している。財務体質も堅調で、利益率が高く、負債比率も低い。2021年3月期決算の会社予想では過去最高益を見込んでいる。

2017年度以降の業績の伸長に呼応して、配当金総額も連続増額となっている。

横川ブリッジ
ホールディングス
業界平均
株価 1,898円
PER 8.72倍 8.9倍
PBR 0.88倍 1.0倍
PEG 0.48倍
PCFR 7.12倍
ROE 10.4% 5.7%
(参考)
売上高営業利益率
9.33% 3.85%
(参考)
配当利回り
1.95% 2.06%

2,加賀電子<8154>……「コンビニ型EMS」事業を拡大する独立系エレクトロニクス商社

電子部品や半導体、電子機器を受託開発・製造するEMSサービスが主力事業となっている。情報機器事業も展開しており、PCまたはPC周辺機器、各種家電、映像関連機器などの完成品も販売する。

コロナ禍の影響を受けた2020年3月期決算の一時的な当期純利益の落ち込みを除けば、手堅い業績をあげている。

EMS事業の伸長と2019年1月の富士通エレクトロニクス買収効果で、2021年3月期以降の決算では過去最高益更新が続くことが見込まれる。2021年3月期は増配も予定されている。

堅調な業績と今後の成長性に対する期待感から、現在の株価には十分な上昇余地があると考えられる。

加賀電子 業界平均
株価 2,372円
PER 11.13倍 49.3倍
PBR 0.83倍 4.0倍
PEG 0.06倍
PCFR 7.44倍
ROE 7.6% 5.8%
(参考)
売上高営業利益率
2.26% 3.85%
(参考)
配当利回り
2.95% 2.06%

3,オカムラ<7994>……オフィス家具大手、コロナ需要で業績堅調

コクヨと双璧をなすオフィス家具大手。商品開発力に強みをもつ。主力のオフィス家具以外にも、商環境機器の製造販売に注力している。

2020年3月までの業績は概ね堅調。2021年3月期はコロナ禍による売上げの鈍化がみられたが、下期には回復し、通期営業利益の減少は小幅にとどまった。2022年3月期以降は業績回復の見込みとなっている。

コロナ需要で引き合いのある1人用ブースや、会議室予約システムあるいは顔認証システムなどの新商品の売上げに期待がかかる。利益率が高く、負債比率が低いことも好材料。

オカムラ 業界平均
株価 1,064円
PER 11.9倍 24.7倍
PBR 0.87倍 2.2倍
PEG 0.53倍
PCFR 6.77倍
ROE 7.5% 6.0%
(参考)
売上高営業利益率
5.29% 3.85%
(参考)
配当利回り
3.01% 2.06%

4,SOMPOホールディングス<8630>……海外保険事業に活路、業績を下支え

3大メガ損保の一角を占める。主力の損害保険事業の他に、生命保険事業や資産運用業務も行う。海外での損害保険引受業務と資産運用業務にも積極的。

2021年3月期は、国内での正味保険料収入は軟調で、利息配当金収入も減少したものの、海外保険事業が好調であるため、かろうじて増益となる見込みである。

今後は海外保険事業の拡大と介護・ヘルスケア事業の強化を進め、収益の柱に育てる予定となっている。

SOMPO
ホールディングス
業界平均
株価 4,110円
PER 11.9倍 14.2倍
PBR 0.87倍 0.8倍
PEG 0.53倍
PCFR 6.77倍
ROE 7.5% 6.0%
(参考)
売上高営業利益率
5.29% 4.32%
(参考)
配当利回り
3.01% 2.06%

5,DCMホールディングス<3050>……ホームセンター業界第一位の規模を誇る

北海道のホーマック、中京地区のカーマ、四国のダイキのように、地区ごとに連結子会社をもち、それぞれにホームセンターを運営している。国内のホームセンター業界ではDCMグループが企業規模で首位を誇る。

過去の業績は堅調。加えて、2020年3月期以降は利益率が大幅にアップしており、負債比率も低く、配当金総額も毎年増額しており、財務状態も良好。

2020年に一時的に株価が上昇したが、株価のパフォーマンスは低調傾向にある。

DCMホールディングス 業界平均
株価 1,109円
PER 10.73倍 36.8倍
PBR 0.76倍 2.1倍
PEG 0.41倍
PCFR 6.97倍
ROE 7.1% 7.4%
(参考)
売上高営業利益率
5.29% 1.5%
(参考)
配当利回り
3.01% 2.06%

4,米国の代表的なバリュー株銘柄5選

米国株についても、業績が好調で、各種株価指標によって割安感を確認できる銘柄を紹介したい。銘柄の抽出には、国内のバリュー株検索と同様に、SBI証券の米国株スクリーナーを使用した。

スクリーニングにあたっては、米国の株式市場のいずれかに上場し、NYダウ平均とナスダック100、S&P500の米国3大指数のいずれかを構成する優良銘柄を対象とした。2021年2月19日終値を基準としたスクリーニングの条件は、以下のとおりである。

・実績PER<20倍
・実績PBR<1倍
・実績ROE≧5%
・実績PCFR<10倍

その結果、抽出されたのは6銘柄であった。過去3年間に赤字決算があった1銘柄を除外した上でROEが高い順に並べ替えた5銘柄を紹介する。

なお、米国株については、業界別の標準的な指標の確認が困難であるため、ここでは割愛する。

1,ホリーフロンティア……米国の独立系石油精製企業

石油精製事業を主力事業としており、ガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料の精製や、特殊潤滑油製品ならびに特殊・改質アスファルトなどの石油加工製品を生産している。

所有・運営する石油精製施設は、ロッキー山脈、内陸部、南東部に4カ所あり、米国南西部には石油製品を輸送するパイプラインやターミナルも保有している。

ただし、2021年冬の厳しい寒波が原油の生産量や精製能力に多大な影響を及ぼしており、ホリーフロンティアをはじめとする石油精製会社の株価も先行き不透明となっている。当面は、株価の動向を注視する必要があるだろう。

株価 36.590米ドル
PER 7.89倍
PBR 0.99倍
PCFR 4.78倍
ROE 12.97%
(参考)
配当利回り
3.61%

2,ステート・ストリート……世界有数の投資運用会社

世界の100以上もの地域で事業展開する世界有数の各種投資運用サービスを提供する会社である。日本でも、ステート・ストリートが運用する「SPDR」ブランドのETF(上場投資信託)は有名。

過去10年にわたって業績は堅調で、利益率も高い。現在の株価は71米ドル前後であるが、今後も、安定的な配当に加えて、株価の伸長も期待できる。

<ステート・ストリートの主な株価指標と経営指標>

株価 71.930米ドル
PER 11.23倍
PBR 0.97倍
PCFR 6.74倍
ROE 9.99%
(参考)
配当利回り
2.89%

3,プリンシパル・フィナンシャル・グループ……年金・保険中心の金融サービス

退職所得や退職貯蓄ソリューション、資産管理、所得年金および年金保険など、さまざまな金融サービスを提供している。国際事業や法人向けソリューションなども展開している。

過去10年間ではほぼ右肩上がりの順調な業績をあげている。近年は、増配または同額配当を維持している高配当銘柄でもある。

<プリンシパル・フィナンシャル・グループの主な株価指標と経営指標>

株価 55.100米ドル
PER 10.84倍
PBR 0.91倍
PCFR 8.94倍
ROE 8.95%
(参考)
配当利回り
4.07%

4,ユーナム・グループ……米国と英国で主に傷害保険商品を提供

米国と英国で事業展開する米国最大級の傷害保険会社である。

団体保険や個人所得補償保険が主力商品であり、保険ブローカー(保険仲介人)を通じて個人向けと法人向け保険商品を販売している。介護保険および生命保険、事業者・従業員拠出型給付などの保険商品も取り扱っている。

過去10年間の業績では、減益と増益を繰り返しながらも、全体として安定的な売上げをあげている。株価のパフォーマンスは低調であるが、その反面、直近5年間は連続増配を実施する高配当利回り企業となっている。

<ユーナム・グループの主な株価指標と経営指標>

株価 25.610米ドル
PER 6.58倍
PBR 0.48倍
PCFR 5.76倍
ROE 7.61%
(参考)
配当利回り
4.45%

5,メットライフ……グローバルに事業展開する米国最大級の生命保険会社

米国を中心に、ラテンアメリカやアジア、欧州、中東でも事業を展開するグローバル企業であり、米国最大級の生命保険会社でもある。

世界中の営業拠点においては、各種生命保険を主力商品としながら、地域の特性に合った退職および所得向け貯蓄型商品や、傷害保険などを幅広く提供している。

指標上は割安と判断できる範囲にあるが、成長率は鈍化している。安定した売上げを継続的にあげてはいるものの、利益率にも変動がある。株価の上昇をあまり期待できない可能性もあるので、投資判断は慎重に行いたい。

<メットライフの主な株価指標と経営指標>

株価 56.070米ドル
PER 9.81倍
PBR 0.67倍
PCFR 8.67倍
ROE 7.38%
(参考)
配当利回り
3.25%

5,バリュー株投資の原則は割安な株価と堅調な業績

バリュー株投資とは、割安な株価の戻りを狙って投資するスタイルである。

バリュー株に投資する際には、株価指標で割安感を可視化できることが大前提である。それと同時に、バリュー株投資で成果を出すためには、好調な業績や安定した財務状態によって現在の企業価値が担保されていることも重要になる。

株価の安さだけに注目せず、企業の本来の価値を見極めることがバリュー株投資の原則であると肝に銘じてほしい。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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