株式投資は預金にはない魅力があるが、初心者が注意しなくてはいけないこともいくつかある。リスクを低減させるための鉄則や、銘柄選びのコツなど、株式投資を始めるにあたって、覚えておきたいことを紹介していこう。

1,株式投資の3つの魅力 売却益、株主優待、配当金

株式投資の魅力
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

まず把握しておきたいのは、株式投資で得られるメリットだ。預貯金にはない株ならではの魅力は3つある。

株式投資のメリット
・売却益が得られる
・株主優待がもらえる
・配当金がもらえる

魅力1.売却益が得られる

保有する株式を買ったときより高く売却できると、売却代金から購入代金を差し引いた差額が利益として手元に残る。この利益は「売却益」または「キャピタルゲイン」「譲渡益」と呼ばれている。

例(※取引手数料や税金を考慮しない)
株価1,000円で100株購入すると購入代金は10万円。株価1,100円で保有する株すべてを売却すると売却代金は11万円。したがって、売却益は、「11万円-10万円=1万円」になる。

魅力2. 株主優待がもらえる

株主優待制度とは?
株式を保有する株主に対して、株式会社が保有株数や保有年数に応じて、自社製品や割引券、特産品などを中間または決算期末に贈呈する制度のこと。株式を保有している株主への感謝や自社製品のプロモーションの意味をもつ。

株主優待は任意の制度であるが、国内上場会社4,170社のうち、株主優待制度を設けているのは1,538社、およそ37%の企業がこの制度を導入している。(※2020年3月19日時点)

魅力3. 配当金がもらえる

配当とは?
株式会社が事業で得た利益の一部を「配当金」として株主に還元すること。

配当金は中間期末、もしくは決算期末に株式を保有する株主に対して、保有する株式数に応じて配分される。

配当金は利益を源泉として分配されるので、毎年同額の配当金が支払われるわけではない。利益が多く出た年には配当金が増額されたり、会社の設立記念の年などは、特別配当や記念配当が上乗せされたりすることもある。

赤字決算の年は配当金が支払われない、または配当金が減額されることもあります。


2,株式投資の3つのスタイル 割安株、成長株、低位株、どれを狙うか?

株式投資の代表的スタイル
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

株式投資のメリットがわかったら、次はどのような目的で株式投資をするかを掘り下げて考えたい。投資初心者がチャレンジしやすい株式投資のスタイルとしては、以下の3つが考えられる。

株式投資の代表的スタイル

  1. 割安株投資
  2. 成長株投資
  3. 低位株投資

それぞれの株式投資手法について、どのような手順で進めるのか、その手法の目的は何か、また期待される効果は何かなどを以下で解説する。

スタイル1,割安株投資=バリュー投資――好業績だが株価が安い銘柄に投資

好業績で資産内容も良好なのに、それが株価に反映されておらず割安である銘柄(割安株、バリュー株)を選んで投資する手法だ。

米国の有名な投資家ウォーレン・バフェット氏の「バリュー投資法」がこれに当たります。

割安株投資には、「今は株価が安くても、市場がこの会社の業績や資産内容を適正に評価するようになれば、株価は上がるはず」という考えがある。つまり将来の株価上昇を見越して、売却益で稼ぐことを目的とした中長期の投資手法だ。

割安株銘柄を見つけるには、投資候補となる企業の健全な財務状態や好調な業績の確認が欠かせません。これらに加えて、割安株を判断する指標のチェックも重要です。

具体的には以下を確認することになる。

・対象企業のPER(株価収益率)が同業他社に比べて低い
・PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている、もしくは競合する企業のPBRより低い

スタイル2,成長株投資=グロース株投資――今後の成長や株価上昇が見込める銘柄に投資

成長株またはグロース株と呼ばれる銘柄は売上高や経常利益を年々伸ばしており、今後の企業としての持続的成長と株価上昇を見込んで株価が高い。このような銘柄を選び出して投資するのが、成長株投資だ。

投資金額はそれなりに必要になるが、企業の発展に伴う株価の大幅な伸びが期待できます。

成長株は、最先端の技術や革新的な技術、付加価値の高い特許を背景に、景気動向に左右されることなく今後も高い成長率を期待できる株であることが多い。次世代のサービスや事業を展開する新興企業なども成長株と言える。

成長株を探す際は、コストの圧縮で達成できる経常利益の伸び率以上に、事業の成長を反映した売上高の伸び率が大きい企業に注目するのがポイントです。

企業の成長性がすでに株価に織り込まれているため、PER(株価収益率)が市場平均より高いことも特徴だ。それ以外にも、最近よく目にする商品やサービスを提供している企業や、投資効率を測るROEが高い企業も成長株投資の対象になる。

スタイル3,低位株投資――少額投資でも利幅が大きくなる株価水準が低い銘柄に投資

「低位株」に明確な定義はないが、一般的には1株が500円未満、単位株(100株)あたりの投資金額が5万円以下になるような株価水準が低い銘柄が低位株と考えていいだろう。このような銘柄に絞った投資手法が低位株投資だ。

低位株は、あまり注目されていないため取引量が少なく、値動きも少ない。業績好調であるが株価が安い割安株と違って、赤字続きという企業も多い。

株価水準が低いので、低位株の企業に関するニュースが報道されると、株価が短期間で上下に大きく変動します。

新商品の発表で一気に株価が跳ね上がったり、逆に上場廃止や倒産の噂が流れたりすれば、株価が暴落することもある。

低位株投資では少額で単元株を購入できることが多いので、資金の少ない投資家でも取引しやすい傾向にあります。場合によっては、テンバガー(株価が10倍になること)銘柄に出会える可能性もあります。

3,初心者が株式投資でしてはいけない4つのNG行動

株式投資のNG行動
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

銘柄選びをする際に、初心者が忘れてならないのは、株式投資に対する基本姿勢だ。株式投資による損失を最小限に抑える目的で、銘柄選びの段階以降「してはいけないこと」がいくつも存在する。

NG行動1. 多くの資金を一つの銘柄に投資する

リスクが伴う株式投資では、リスク分散は基本だ。一つの業界、一つの銘柄だけに資産を集中させず、投資先や時間などを分散させて投資したい。

株式の分散投資三大原則とは?
・資産の分散
・地域の分散
・時間の分散

この三大原則に則らない一つの銘柄や業界などへの集中投資は、ハイリスクなので最もしてはいけないことです。

例えば、株式投資に回せる資金が120万円あるとする。以下の集中投資(1)、分散投資(2)の2パターンで、投資リスクの違いを確認しておこう。

(1)手持ち資金120万円全額を使って、A社の株を株価1,200円で1,000株購入する。
(2)手持ち資金120万円を使って以下の4銘柄を購入する。

• A社:株価1,200円×200株=24万円
• B社:株価900円×400株=36万円
• C社:株価600円×500株=30万円
• D社:株価500円×600株=30万円

ところが(1)、(2)のパターンで半年後に株式相場が暴落し、株価が以下のようになったとする。

• A社:株価1,200円→1,000円
• B社:株価900円→850円
• C社:株価600円→600円
• D社:株価500円→550円

この場合、(1)、(2)の資産価値はどのように変わるだろうか。

(1)半年後の資産価値は1,000円×1,000株=100万円となり、20万円もの評価損が発生する。
(2)半年後の資産価値は、合計117万円、3万円の評価損が発生する。

• A社:株価1,000円×200株=20万円
• B社:株価850円×400株=34万円
• C社:株価600円×500株=30万円
• D社:株価550円×600株=33万円
20万円+34万円+30万円+33万円=117万円

株式相場が暴落した半年後の資産価値を見るとわかるように、集中投資(1)と分散投資(2)では評価損に17万円もの開きが出てしまう。株価下落の影響は、分散投資より集中投資のほうがはるかに大きくなってしまうのだ。

NG行動2. 株価が下がっていても上昇を見込み保有し続ける

株価が上昇すると見込んで買ったものの、下落してしまう場合もあるだろう。初心者の場合、再度株価が上昇すると期待し長期間保有し続けてしまうかもしれない。

しかし、回復の兆しが見えなければ、損失拡大を防ぐために思い切って売却する覚悟も必要だ。

事前に、「〇%下落したら損切りする」と決めておく、または「◯円以下の価格になったら売却する」という逆指値注文をうまく活用して、潔く撤退するようにしましょう。

NG行動3. さまざまな手法に手を出す

初心者のうちは、良いといわれる投資手法を次から次へと試しがちだ。これではそれぞれの投資手法の本来の良さが発揮されず、損失が続いてしまう場合もある。

例えば、株式投資の初心者に比較的適しているといわれる金額指定による株式またはETFの「定期買付サービス」。

定期買付サービスとは?
ドルコスト平均法と時間の分散効果で投資リスクを軽減させる投資手法。

定期買付は長期的に株価が上がっていくことを前提とした投資手法のため、数ヵ月では利益が出ない可能性があります。利益が出ないからといって、すぐに次の投資手法に乗り換えてしまっては損をすることもあるでしょう。

NG行動4. 証券会社を比較せずに決めてしまう

株式売買は、取引所で行われるため売買価格は一律だ。しかし、取引手数料などは証券会社によって違いがある。複数の証券会社を比較して、最も良い条件の証券会社で取引する余裕を持ちたい。

例えば、低コストを証券会社選びの最優先事項に位置付けているならば、少なくともネット証券間で取引手数料を比較すべきです。

株式投資一番の目的がIPOである場合は、各証券会社のIPO取扱銘柄数や抽選方法、抽選時の前受金の要不要など、各社のIPO取扱状況と自分の資金事情を照らし合わせてみよう。

将来的に投資信託や債券などの商品に投資する可能性があるかどうかによっても、選ぶ基準が変わってくる。

実際に、ネット証券大手のSBI証券、楽天証券、マネックス証券と、総合証券大手の野村證券(「野村ネット&コール」)と大和証券(「ダイワ・ダイレクトコース」)、計5社の取引手数料などを比較してみよう。証券会社ごとに手数料や取扱内容などに違いがあることがわかるはずだ。

<証券会社5社 手数料等比較一覧(2021年5月29日現在)>

現物株式取引手数料
(税込)
2020年
IPO
取扱
銘柄数 ※1
IPO

受金
国内
投信
取扱
銘柄数
つみたて
NISA
取扱投信
銘柄数
米国株
取引
手数料
(税込)
※2
単元
未満

取引
約定
代金
5万円
以下
10万円
以下
20万円
以下
30万円
以下
40万円
以下
50万円
以下
SBI
証券
55円 99円 115円 275円 85件 必要 2,660件 174件 0.495%
(0~20米
ドル)
楽天
証券
55円 99円 115円 275円 39件 必要 2,699件 172件 0.495%
(0~20米
ドル)
×
マネックス
証券
110円 198円 275円 385円 495円 50件 必要 1,186件 151件 0.495%
(0~20米
ドル)
LINE
証券
99円 176円 198円 484円 -- -- 30件 -- --
野村
證券
152円 330円 524円 41件 不要 986件 7件 ※3
※1.2020年1月~2020年12月の期間
※2.現地約定代金に対する国内取引手数料の料率
※3.LINE証券における現物株式取引の買付手数料は無料(表内の数値は売りの手数料)
※4.野村證券はオンライン専用支店の手数料
※5.約定代金により手数料が異なるため、公式サイト参照
※6.SBI証券、楽天証券、マネックス証券、LINE証券、野村證券の公式サイトを元に筆者作成

4,株の買いどきを見極めるための3つの代表的な指標 PER、PBR、ROE

株の買い時を見極める代表指標
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

株を買う前に注意しておきたいことについて解説したが、実際に株の銘柄を選ぶ際は何を判断基準にすべきなのだろうか。ここでは初心者でもわかりやすい買いどきを見極めるための3つの指標を紹介する。

PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)

PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)
企業の利益水準(EPS:1株当たり純利益)に対して、株価が割高か割安かを判断する指標。「株価÷1株当たり純利益」で求められ、株価が下がったり、純利益が増えたりすると下がる。

東証一部上場企業の単純平均PERは16.6倍、加重平均PERは14.9倍である(2020年5月末時点)。

このような直近の市場平均値を上回れば割高、下回れば割安と見なすことができるが、同業種の企業や経営内容が似ている企業とも比較するようにしましょう。

PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)

PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)
企業の資産価値(BPS:1株当たりの純資産)に対して、株価が割高か割安かを判断する指標。「株価÷1株当たりの純資産」で求められ、株価が下落するか、純資産が増えれば下がる。

東証一部上場企業の単純および加重平均PBRは1.1倍である(2020年5月末時点)。

これを上回れば割高、下回れば割安と見なすことができるが、PER同様に、PBRも同業種の企業や経営内容が似ている企業と比較して判断しよう。

ROE(Return On Equity:自己資本利益率)

ROE(Return On Equity:自己資本利益率)
株主の投下資本(前期と当期の平均自己資本)に対して、どのくらい利益を生み出しているかを示す指標。「当期純利益÷自己資本×100(%)」で求められる。配当能力を計る目安にもなることから、投資判断の材料として重要だ。

東証一部上場企業の平均ROEは7.64%(2020年3月期)なので、10%以上なら収益性が高く、投資価値があると考えられる。

ただし、数年にわたって高い水準でROEを維持できているか、財務レバレッジ(自己資本に対する債務などの負債の割合)が高くなっていないかなど、多面的に確認する必要があります。

5,株式投資初心者が注目したい銘柄ランキングTOP10 パナ、野村、いすゞetc.

投資初心者が株を買う場合、以下の基準を満たす銘柄を選ぶとよいだろう。

• PERとPBRが東証一部上場企業の平均値以下である=「割安」
• 東証一部上場企業の平均ROE以上を維持できる体質=「収益性が高い」
• 東証一部上場企業であること
• 単元株あたりの投資金額が10万円以下
• 1日あたりの売買代金が大きく、流動性が高い

「投資金額が10万円以下」としたのは、株式投資に不慣れなうちは損失が発生する可能性が高いため、少額投資のほうがリスクを限定できるからだ。

投資対象企業の倒産リスクが低いことや、流動性が高く売買しやすいことは、保有する株式を売りたいときに確実に売却するために必要な条件である。東証一部上場企業や代表的な株価指数の採用銘柄であれば、この条件はクリアできる。

上記の条件を満たす銘柄には、どのようなものがあるのだろうか。楽天証券のスクリーナーを使って、東証一部上場企業の平均値やその他の条件で、スクリーニングしてみよう。

【スクリーニングの条件】
• 東証一部
• 大型株、中型株、小型株
• 採用指数は日経225、TOPIX100、JPX日経400
• すべての業種が対象
• PER(株価収益率)14.9倍以下
• PBR(株価純資産倍率)1.4倍以下
• ROE(自己資本利益率)7.64%以上
• 5日間平均売買代金
• 投資金額10万円以下

スクリーニングの結果、11社が抽出された。直近5日間の平均売買代金を降順に並べ替えると、上位10社は以下のようになる。

<東証一部上場の割安優良株ランキングTOP10>

順位 コード 銘柄名 株価 PER
(倍)
PBR
(倍)
ROE
(%)
平均売買代金
/日(千円)
1 8002 丸紅 988 7.75 0.94 15.6 7,789,541
2 8601 大和証券グループ本社 638.2 8.96 0.72 8.5 3,338,273
3 1802 大林組 938 6.81 0.72 11.3 2,952,045
4 1803 清水建設 898 6.81 0.84 10 2,463,907
5 8410 セブン銀行 231 10.5 1.16 11.3 1,514,550
6 1824 前田建設工業 982 7.84 0.68 9.3 950,419
7 1719 安藤・間 843 9.39 1.08 12.2 712,774
8 1332 日本水産 514 11.07 0.94 9 661,646
9 9509 北海道電力 500 2.96 0.45 14.1 393,131
10 1821 三井住友建設 476 8.6 0.73 8.8 362,971
※上記ランキング表の「株価」「PER」「PBR」は、2021年5月29日22時時点の株価を基準にしている

第1位:丸紅<8002>――食・化学品・モビリティなど幅広い製品を扱う総合商社

丸紅
1858年創業の老舗総合商社。「生活産業グループ」「食料・アグリ・化学品グループ」「エネルギー・金属グループ」「電力・インフラグループ」「社会産業・金融グループ」「CDIO」の6分野で、多角的に事業を展開している。 2021年5月には、サウジアラビアのラービグ太陽光発電プロジェクトを着工し、バングラデシュでもフェニ太陽光発電事業案件に関わる覚書を締結したばかりだ。

2020年度通期の決算報告(連結)によると、純利益は2,253億円になり、前年同期比4,228億円の増益になった。財務の健全性をはかるネットDEレシオ(純負債資本倍率)は、前年度末と比べて0.28ポイント改善。

新型コロナウイルスの影響を受け、電力や航空・船舶、金属で減少が見られましたが、穀物・肥料価格の上昇や米関連子会社のGavilon(ガビロン)の増益を受け、アグリ事業では大幅な増益を記録しました。

過去1年間の株価を見てみると、最安値は2020年7月の469円。その後は右肩上がりで上昇し、現在は1,000円前後で推移しています。

第2位:大和証券グループ本社<8601>――大和証券をはじめとするグループ企業の持株会社

大和証券グループ本社
「大和証券」「大和アセットマネジメント」「三井住友DSアセットマネジメント」などをグループ企業に持つ大和証券グループ本社。1902年に創業以来多くの企業と業務提携・子会社化を進めてきた。最近の動きでは、2021年5月に、四国銀行へ資産運用サービス「ダイワファンドラップ」の提供を発表した。

2021年3月期連結決算によると、営業収益は前年度比14.3%増の約5,761億円だったが、純営業収益は9.5%減の約4,666億円で着地した。

各セグメントで純営業収益の増益が見られ、ホールセール部門では、株式相場の上昇により投資家のアクティビティが増加し、大幅な増益が見られました。

過去1年間の株価を見ると、最安値は2020年10月の421円。その後は上昇し、現在は630円前後で推移しています。

第3位:大林組<1802>―― 1892年創業の老舗総合建設会社

大林組
創業から129年目を迎える。「地球に優しい」リーディングカンパニーを目指し、「奈良県コンベンションセンター」や「東大阪市文化創造館」など、多くの公共施設建設に携わっている。2021年5月、建設した「香川県庁舎東館」が国土交通大臣賞の耐震改修優秀建築賞を受賞した。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前年比より14.8%減、営業利益は19.4%減で着地。新型コロナウイルス感染拡大による工事中断などの影響を大きく受けた結果になった。しかし、公共工事の発注は堅調に推移し、土木事業も好調である。

過去1年間の株価を見てみると、最安値は2020年12月の861円。1年を通して860円台~1,000円台で推移し、現在は930円前後になっています。

第4位:清水建設<1803>――大型案件の実績が豊富な民間建築中心の総合建設会社

清水建設
1804年創業の老舗建設会社。「幕張メッセ」や「東京アクアライン(海ほたる)」、「JR博多シティ」など、民間系大型案件の実績が豊富な総合建設会社だ。地域開発から海洋開発、宇宙開発まで、幅広い分野で高い技術力を誇る。最近では、子会社のシミズ・ビルライフケアが、次世代のニューノーマルを見据え、マンションの共用部に移住者専用のコワーキングスペースを整備する事業を展開している。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前年同期比で14.2%減少し、約1兆4,564億円となった。

官公庁工事の受注は回復したものの、民間工事の受注は新型コロナウイルス感染症の影響で、前年同期を下回る水準で推移しています。国内事業よりも海外事業の落ち込みが顕著です。

過去1年間の株価を見ると、最安値は2021年1月の726円。1年を通して720円台から960円台で推移しており、現在は900円前後で安定しています。

第5位:セブン銀行<8410>――セブン&アイ・ホールディングス傘下のコンビニATM事業最大手

セブン銀行
「セブン&アイ・ホールディングス」に属し、コンビニATM事業を行う。ATMサービスやインターネットバンキング、ローンサービスなど幅広い金融サービスを提供している。2021年に入り、愛知県中央信用組合、阿波銀行・徳島大正銀行、百五銀行など各金融機関と共同でATMを設置するなど、顧客の利便性を高める施策を推進している。

2021年3月期連結決算によると、経常収益は前期より7.5%減少、経常利益も10.5%減少した。新型コロナウイルス感染拡大による企業活動の停滞や個人消費の減少が響いた。

しかし、ATMプラットフォーム事業は前年と同じように堅調に推移した。決済口座事業は最短10分で口座開設ができると高く評価され、順調に伸びている。

過去1年間の株価を見ると、2020年6月に311円を記録したあと、緩やかに下降。現在は230円台前後を推移しています。

第6位:前田建設工業<1824>――ダム、高層マンションなど多角的に展開する準大手ゼネコン

前田建設工業
1919年創業。土木建築工事のほか、不動産の売買やコンピューターの情報処理ソフトウェアの開発、農産物・畜産物の加工販売など、業務内容は多岐にわたる。2021年3月、愛知県が実施している新体育館整備・運営事業にNTTドコモなどとともに選定された。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前年同期比39%増の約6,780億円。営業利益も前年同期より36.1%増加し、463億円となった。

新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けたインフラ運営事業では売上の減少が見られたが、土木事業は堅調に推移しました。

過去1年間の株価を見ると、最安値は2020年7月の716円。その後は右肩上がりに上昇し、現在は1,000円前後を推移しています。

第7位:安藤・間<1719>――大型土木工事に定評のある準大手ゼネコン

安藤・間
2013年に間組が安藤建設を吸収合併するかたちで誕生した安藤・間(あんどう・はざま)。土木建築や都市開発、発電、建物の総合管理など多角的に事業を展開している建設会社だ。最近では、「株式会社イクシス」と共同開発した「自律走行式ひび割れ検査ロボット」を活用した検査手法を確立し、精度と生産性の大幅改善を実現した。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前期比6.9%減の3,520億円、営業利益は7.8%増の273億円で着地した。

民間建設投資は減少傾向にありましたが、国内では土木・建築事業ともにおおむね順調に進捗し、また倉庫流通施設の受注も堅調でした。

過去1年間の株価を見ると、最安値は2020年7月の562円。その後は上昇し、現在は860円前後で安定しています。

第8位:日本水産<1332>――「ニッスイ」のブランド名で知られる水産加工食品会社

日本水産
日本のみならず、ヨーロッパや北米にも大きく進出する水産加工食品会社。食品事業や水産事業だけでなく、物流事業やファインケミカル事業、海洋関連・エンジニアリング事業などにも注力している。コロナ禍でのニューノーマルに対応すべく、食べきりサイズのスナックシリーズ「おうちTIME」や冷凍食品の新商品などを2021年6月に発売予定だ。

2021年3月期連結決算では、売上高が前年同期比で4.9%減、営業利益は20.8%減となった。

量販店は新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で堅調に推移し、特に家庭用冷凍食品市場が拡大。一方で、外食・観光需要が急減し、業務用食品の販売は打撃を受けました。

過去1年間の株価を見ると、2020年10月から2021年1月までは430円前後と低水準で推移。しかし、2月からは上昇し、現在は520円前後で推移しています。

第9位:北海道電力<9509>――「ほくでん」の愛称で親しまれる北海道の電力会社

北海道電力
札幌に本社を構え、北海道および首都圏で電力の小売事業や発電事業を行っている会社だ。2021年5月には、北海道電力がもつ不動産事業を北電興業に吸収分割の方法で継承させることを発表。事業を集約することで、ほくでんグループの収益拡大を図る方針だ。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前年同期比で1.0%減の7,407億円、営業利益は26.8%増の537億円で着地。

燃料や資機材調達の効率化などによるコスト削減に取り組み、営業利益はプラスとなりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による電力販売の減少や、燃料価格の低下などにより売上高は減少しました。

過去1年間の株価を見ると、最安値は2020年12月の360円。それ以降は急回復し、現在は500円前後で推移しています。

第10位:三井住友建設<1821>――東京都に本社をおく準大手ゼネコン

三井住友建設
三井グループと住友グループに属する。土木や建築、工事の設計などを行う建設事業と、不動産売買や賃貸管理を行う開発事業がある。2021年5月、施工を行った徳島自動車道の「別埜谷橋」が土木事業に貢献したものに与えられる土木学会賞(田中賞/作品賞)を受賞した。

2021年3月期連結決算によると、売上高は前年より508億円少ない4,216億円、営業利益は92億円少ない156億円で着地した。

公共事業投資が堅調に推移する一方で、民間設備投資は厳しい状況が続いており、今後は社会情勢を見極めた受注活動と施工体制を確立していく方針です。

過去1年の株価を見ると、最安値は2020年10月の402円。それ以降は緩やかに上昇し、2021年3月中旬には530円前後まで回復した。現在は480円台で推移しています。

6,初心者でも少額で始められる株式投資サービス3選

代表的な少額投資サービス
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

銘柄選びの基本を紹介してきたが、株式投資を始めたばかりの頃は、資金が不足している、あるいは投資知識が不十分である場合も少なくないだろう。そのような初心者にとって、本格的な株式投資の予行練習にもなるのが、少額で株式投資できるサービスだ。

以下に紹介する低額取引サービスを利用することで、値動きを体感しながら株式投資のノウハウを段階的に学んで、本格的な株式投資に備えてはどうだろうか。

サービス1,単元未満株取引――1株でも株主になれる証券会社独自のサービス

単元未満株投資のメリット・デメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

通常、株式は単元株である100株単位で取引が行われる。しかし、一部証券会社では、単元未満株、つまり1株以上100株未満、1株単位でも個別銘柄を売買できるサービスが提供されている。

・メリット……少額の資金で有名企業の株主になれる
値がさ株と呼ばれる個別銘柄はたいてい知名度も高いが株価も高額だ。値がさ株の筆頭であるファーストリテイリング <9983> の株価は、2020年3月19日終値で4万190円であり、単元株で購入するには401万9,000円もの資金が必要になる。

しかし、単元未満株取引サービスを利用すれば、4万190円に取引手数料と消費税を上乗せした金額を用意できれば、ファーストリテイリングの株を1株購入できる。

実質株主扱いとなり、株主権(主に自益権)も得られる。保有株数に応じた配当を受け取ることができる上に、換金できる株主優待は換金して分配される。少しずつ買い増して、単元株主になることもできる。もちろん売却も自由なので、株価が上昇したら売却して、値上がり益を手にすることも可能だ。

・デメリット……株主としての権利が限定的
単元未満株主には、単元株主に認められている株主総会での議決権をはじめ、会社の経営に参加できる共益権が与えられない。

株主優待制度が設けられている銘柄でも、換金できない株主優待内容であると恩恵を受けられないのもデメリットに数えられる。

単元未満株取引では、証券会社ごとに取引のタイミングが決められているため、単元株のようにリアルタイムで取引ができないことや、指値注文できない点も覚えておきたい。

サービスを利用できるネット証券会社……SBI証券、マネックス証券など 初心者にとって手数料が安くて身近なインターネット専業証券会社の中でも、単元未満株取引サービスを提供している証券会社は、SBI証券「S株」、マネックス証券「ワン株」、auカブコム証券「プチ株」の3社のみ。いずれも、取引手数料は約定代金の0.550%(税込)(※2020年3月19日時点)である。

サービス2,テーマ株投資――個別銘柄ではなく、興味のあるテーマを選ぶだけ

テーマ株投資のメリット・デメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

材料株とも言われるテーマ株投資サービスとは、特定のテーマに紐づいた複数の関連銘柄群に、少額から一括投資できるサービスのことだ。

テーマ株とは?
世間で話題になっている、たとえば「AI」「5G」「新型肺炎」「テレワーク」「eスポーツ」「インバウンド」など、旬のテーマに関連する銘柄を指す。

テーマ株の中には株価が大幅に上昇する銘柄もあるため、個人投資家の関心は高いです。

・メリット……少額から、注目のテーマに関連した銘柄群に一括投資できる
テーマ株のポートフォリオは専門業者が選定した銘柄で構成されており、自分が興味のあるテーマさえ選べば、あとは普通の投資信託と同じ感覚で投資できる。

個別銘柄のファンダメンタル分析にかける時間を確保できない多忙な人には、便利なサービスです。

個別銘柄を単元株単位で購入するのではなく、各銘柄1株単位でポートフォリオが構成されているので、少額で一括投資をしながらリスク分散ができるのも魅力だ。

さらに、テーマ株に該当する企業は注目される事業を手掛けていることもあり、株価が急騰するケースもある。値上がり益を期待できるのも、テーマ株投資の魅力だ。

・デメリット……株価が急落するリスクも
株価の急騰が期待できる反面、株価が暴落するリスクがあるのも事実だ。

テーマ株の中には、業績が悪くても時流に乗って株価を上げている銘柄もあります。ブームが沈静化したり、赤字決算が発表されたりすると、株価が大幅に下がる可能性があります。

サービスを利用できるネット証券……SBI証券
「SBI証券」のテーマ株投資サービスの名称は「テーマキラー」。投資情報提供会社であるミンカブ・ジ・インフォノイドが提供する注目テーマに基づいて、関連する10銘柄でポートフォリオが組まれている。

各銘柄は単元未満株(1株)単位で構成比率を変えることができ、配当金を受け取ることもできる。5万円、10万円、20万円、30万円の4コースがあり、取引手数料は単元未満株(S株)と同じ「約定代金×0.55%(税込)」で、最低手数料は55円(税込)だ。

サービス3,ポイント投資サービス――現金がなくても投資ができる

ポイント投資のメリット・デメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

ネット証券には、取引で貯まったポイントを次の投資に活用できるサービスを提供しているところがある。取引するネット証券を絞り込んでいる投資家には、利用価値があるサービスと言えるだろう。

・メリット……貯めたポイントが無駄にならない
ポイントがある程度貯まっていて、それを投資余力に充当できれば現金を使わなくて済む。また、ポイントの使用期限が切れてしまったり、不要な商品と交換してしまったりすることは起こらない。

取引を続けていれば自動的にポイントが貯まる仕組みなので、現金による購入だと躊躇してしまう人でも、ポイントを使えば思い切って投資できるでしょう。

・デメリット……同一のネット証券内でしか使えない
貯まるポイントは、独自のポイントや外部のポイントサービスのポイントだ。基本的に、他のネット証券ではポイントを使えない。ポイント投資サービスを提供するネット証券によっては、ある程度ポイントが貯まってからでないと使えないところもある。

どちらのケースも、複数のネット証券で取引をしていたり、投資金額がいつも少額であったりすると、ポイントはなかなか貯まらないでしょう。

・サービスを利用できるネット証券……SBI証券、楽天証券など
ポイント投資サービスを行っているのは、現在5社。一覧にして整理した。

証券会社 ポイント 投資対象 還元 備考
LINE
証券
LINE
ポイント
全商品 1ポイント
→1円
1ポイントから口座の入金に利用可能
SBI
ネオモバイル
証券
Tポイント 国内株式 1ポイント
→1円
単元未満株(1株単位)で購入できる
SBI証券 Tポイント 投資信託 1ポイント
→1円
100円から購入できる
※ポイントの上限・下限なし
楽天証券 楽天
スーパー
ポイント
投資信託
国内株式
1ポイント
→1円
投資信託は100円以上1円単位
DMM.com証券 DMM株
ポイント
現金
DMM.com
証券 株内の取引
1ポイント
→1円
・獲得ポイントはDMM.com
証券 株の取引手数料の1%
・現金引出の場合1,000ポイント単位
マネックス証券 マネックス
ポイント
株式売買手数料 1ポイント
→1円
投資信託の保有

「DMM.com証券 株」や「マネックス証券」は一般的なポイント投資とは若干異なる仕組みだが、ポイントを利用できるということでチェックしておきたい。

また「楽天証券」では、投信積立で月5万円まで「楽天カード」で決済できる。この利用分でもポイントが貯まるので、非常にお得だ。

7,自分の投資タイプを見定めて、株式投資を始めよう

日本国内の上場企業は、4,000社を超える。その中から投資する銘柄を選び出すことは、投資初心者にとって負担の大きな仕事だ。

投資銘柄を絞り込む前に、投入できる資金はいくらか、どのくらいリスクを取れるか、どのくらいの期間で資産形成をする予定かなど、自分の投資タイプを見定めるといいでしょう。

自分の投資タイプさえわかれば、割安株投資、成長株投資、低位株投資などの投資手法もおのずと決まってくる。そうすれば、投資する銘柄を選ぶのも難しくなくなるはずだ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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