田中タスク
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エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

売買や相続など、何らかの形で不動産に動きがあると関わることになるのが、不動産の登記です。不動産の専門家にとっては当たり前のものですが、不動産との関わりがそれほど多くない一般の人(不動産投資家も含めて)は「わからないことだらけ」とお感じの方も多いことでしょう。しかし、すべての方が不動産登記簿についてプロ並みの知識を持っておく必要はありません。

当記事では不動産の登記簿や登記の仕組みについて、最低限知っておくべき知識をまとめました。「今すぐ概要をざっと理解しておきたい」という方に最適な内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

  1. 1.不動産登記の基本と仕組み
  2. 2.不動産の登記簿とは何か
  3. 3.不動産登記簿の見方
  4. 4.マンションの登記簿謄本の見方
  5. 5.不動産登記簿の取得、閲覧方法
  6. 6.不動産登記を司法書士に依頼する方法と費用相場
  7. 7.登記簿を上手く活用して不動産情報を得よう

1.不動産登記の基本と仕組み

不動産登記簿,仕組み
(画像=fusho1d/stock.adobe.com)

不動産登記とは何か?その基本と仕組みについて簡単にまとめました。以下の5点を押さえておけば、不動産登記の基本をマスターすることができます。

1-1.不動産登記とは何か

不動産登記とは、土地や建物についてその物件そのものの情報や所有者などに関する情報を、国の職員で専門的な知識をもった登記官が確認しコンピューターに記録する制度のことです。この登記をすることにより、その不動産が誰のものであるのかといった権利関係が明らかになります。

登記された情報は誰でも交付請求し閲覧できるため、その不動産に関する所有者の権利が保全され、不動産取引の安全性も確保される仕組みになっています。

1-2.不動産登記が行われる主な場面

不動産登記が行われるのは、対象の不動産に関する状況に変化があったときです。土地や建物の所有者が変わったり、建物を取り壊したりといったように、不動産そのものやその不動産の権利関係に変化があると、それに伴って登記を行います。

具体的には不動産の売買や相続、所有者の氏名や住所などが変わったとき、ローンを完済したとき、建物を取り壊したときなどです。よくある不動産登記の種類を一覧にすると、以下のようになります。

新築の不動産を購入したとき所有権保存登記
所有権移転登記
中古不動産の売買、相続、贈与などがあったとき所有権移転登記
建物の増改築をしたとき表題変更登記
住宅ローンを完済した抵当権抹消登記
土地を分割したとき分筆登記
引っ越し、結婚で姓が変わったなど登記名義人の住所・氏名の変更の登記

これら以外にもさまざまな場面があり、それに伴って不動産の登記内容に何らかの変更があったらその事実を登記します。

1-3.不動産登記の費用

不動産登記には、費用が必要になります。この費用のことを登録免許税といって、登記の内容によって登録免許税は個別に設定されています。登録免許税は国に納めるものなので交渉によって値引きできるといった類のものではなく、登記を司法書士など専門家に依頼した場合であっても別途必要になるものです。

登録免許税は不動産の価額に対して%で設定されており、主な不動産登記の登録免許税は以下のようになります。

所有権保存登記
(新築の不動産購入)
0.4%
所有権移転登記
(中古の不動産購入、譲渡など)
2.0%

これらは基本的な登録免許税の税額ですが、登録免許税にはさまざまな軽減税率や免税措置などがあります。税率や期間がそれぞれ異なるため、詳しくは国税庁のホームページも参考にしてください。

1-4.不動産登記の必要性

冒頭で解説したように、不動産登記はその不動産に関する情報を記録するシステムなので、不動産に関する何らかの変更があった場合は登記をする必要があります。不動産を購入しても登記しなければ、第三者は所有者が変更になったことを知ることができません。売却しようとしている人が所有者であることを証明できないため、登記されていない不動産を売却することもできません。

後述しますが、不動産の登記簿は「表題部」と「権利部」という2部構成になっています。表題部には不動産の現況を記載し、権利部には不動産の権利関係を記載します。このうち表題部は不動産に何らかの変更があった時点から1か月以内に登記することが義務づけられており、違反すると10万円の過料という罰則規定もあります。

もう1つの権利部については意外にも登記の義務はありません。しかし売却や不動産を担保に融資を利用する際にも支障をきたすので、表題部と併せて権利部もできるだけ早く登記しておくべきでしょう。

なお、2021年に法制審議会が土地の相続については登記を義務づける法改正案を答申しており、これが法制化されると相続による土地の所得を知ってから3年以内に登記申請をしなければ10万円以下の過料という罰則が設けられます。

1-5.司法書士の役割

不動産の登記は簡単にできるものではありません。そこで多くの場合、不動産の登記は専門家である司法書士に委託されます。司法書士には登記申請書の作成や登記申請、それを完了するまでの一切の手続きなどを代行することが認められているため、不動産の売買や相続などがあった際には司法書士に登記を依頼するのが無難でしょう。

司法書士への依頼方法や報酬の相場などについては、「5.不動産登記を司法書士に依頼する方法と費用相場」で解説します。

2.不動産の登記簿とは何か

ここでは、不動産登記簿についての概要を解説します。不動産登記簿とは何のためにあり、そこに何が記載されているのかをマスターしてください。

2-1.不動産登記簿謄本とは

実は「不動産登記簿」という正式名称はありません。理由はすでに不動産登記が紙ベースではなくコンピューターで管理されているため、「登記簿」というものが存在しないからです。かつては紙で管理していた登記簿があったため、その名残で「不動産登記簿」という言葉が広く用いられています。

かつて、不動産の登記内容を取得するには登記簿謄本が必要でした。現在では、その名称は「登記事項証明書」に変わっていますが、当記事では「登記簿」という名称を用いて解説します。

なお不動産は、土地と建物が別の物件として取り扱われるため、各登記簿謄本はそれぞれに別物です。そのため1つの不動産で土地と建物の登記情報が必要な場合は、2つの登記簿謄本を取得する必要があります。

2-2.不動産登記簿の「表題部」「権利部」「共同担保目録」

先ほども述べたように、不動産登記簿には表題部と権利部があります。それぞれどんなことが記載され、どんな性格を持っているのでしょうか。不動産登記簿がどんな体裁になっているのかは、こちらをご覧ください。

これは法務省のサイトに掲載されている不動産登記簿のサンプルです。実際に登記簿を取得するとこのような書面を目にすることになります。

2-2-1.登記簿「表題部」について

登記簿の表題部は、土地や建物の現況を記載します。この表題部については登記の義務があるため、1か月以内に登記をしなかった場合は10万円以下の過料という罰則が定められています。罰金ではなく過料という軽微な罰則なので罪は重くはありませんが、罰則規定があることは押さえておく必要があるでしょう。

2-2-2.登記簿「権利部」について

表題部の下には、権利部があります。権利部は甲区と乙区に分かれていて、甲区には所有者に関する情報、乙区には抵当権など「所有権以外」の権利関係が記載されます。

こちらの権利部については登記の義務はなく、罰則もありません。しかし権利部の登記をしておかないと所有権を証明できないため、さまざまな不利益の原因になります。義務付けられている表題部の登記と併せて、権利部の登記をしておくのがセオリーです。

2-2-3.登記簿「共同担保目録」について

債権の担保として不動産を提供すると、そのことが登記簿に記載されます。担保設定されると抵当権や根抵当権が登記されるため、登記簿で確認することが可能です。ただし1つの債権に対して1つの不動産ではなく、複数の不動産を担保設定するケースもあります。複数の不動産を担保設定している事実は、この「共同担保目録」の欄に記載されている登記内容で把握することが可能です。

例えば住宅ローンを組んでマイホームを購入する際には、土地と建物の両方が債権の担保となります。この場合は、土地の登記簿と建物の登記簿の両方で「共同担保目録」に抵当権設定の事実が記載されるため、どちらの登記簿を見ても土地と建物の両方に抵当権が設定されていることが分かるというわけです。なお共同担保目録は、登記簿を取得する人の選択により請求することができます。

3.不動産登記簿の見方

不動産登記簿は表題部と権利部、そして権利部は甲区と乙区によって構成されていると解説しました。それでは個々の項目について、登記簿の見方を解説します。

3-1.表題部

登記簿の表題部には、不動産の現況が記録されます。土地については所在地や地番、地目、面積などが記録され、建物については所在地情報に加えて建物の種類や構造、床面積などが記録されます。この表題部を見ることで、その不動産が現在どんな状況にあるのかが分かります。

不動産登記簿

①所在
登記されている土地の場所を特定するために、住所が記載されます。

②地番
土地を不動産登記する際には、1筆ごとに「地番」という番号が付与され、登記簿にも記載されます。上記の所在と、この地番を知ることで土地の正確な所在地を特定できる仕組みになっているのです。

③地目
土地の用途・種類のことを地目といいます。この例では「宅地」となっているため、住宅を建てるための土地と分かります。このほかにも「山林」「田」「畑」などの23種類の地目があります。

④地積
地積とは、土地の面積のことです。平方メートルで記載されます。本例では「300|00」と記載されているため、300.00平方メートルの土地と分かります。

⑤登記の日付
当該土地が登記された日付と登記理由が記載される欄です。本例では「不詳」となっていますが、これは登記日だけが分かっていてその理由が分からないことを示しています。不詳ではない場合は「売買」「贈与」「相続」などが登記理由に応じて記載されます。

不動産登記簿

①所在
建物の場所を示す欄です。当該建物がどこに建っているのかを土地の所在地で示し、その上に建っている建物であることを示しています。

②家屋番号
家屋(建物)を建てて登記した際には、建物ごとに家屋番号が付与されます。本欄には、その番号が記載されます。

③種類
建物の種類を記載する欄です。本例では「居宅」となっているため、住居として使用するための建物であることが示されています。建物の種類は、他にも「店舗」「事務所」「共同住宅」など全部で13種類です。「共同住宅」とは、複数の独立した世帯が存在する建物のことなので、アパートやマンションなどは「共同住宅」と登記されます。

④構造
建物の構造を3つの構成要素から示しています。「構成材料」「屋根の種類」「階層」という3つの区分から構成されるのが特徴です。本例にある「木造かわらぶき2階建」からは、以下のようなことを建物であることを示しています。

  • 構成材料:木造
  • 屋根の種類:瓦葺き
  • 階層:2階建て

建物が木造以外の場合は「鉄筋造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」などが記載されます。

⑤床面積
建物の延床面積が記載される欄です。本例にある建物は、2階建てなので1階部分と2階部分それぞれの床面積が記載されています。

⑥登記の日付
当該建物が登記された日付と、理由が記載されている欄です。本例では、日付とともに「新築」と記載されているため、新築とともに登記された建物と分かります。

3-2.権利部甲区

権利部の甲区には、その不動産に関する所有権や所有者に関する情報が記録されています。売買の際には権利関係がとても重要になるので、取引の前には権利部甲区の内容が綿密に確認されるのは言うまでもありません。

それらに加えて重要なのが、所有権に関する経緯です。いつ、どのような形でその不動産が今の所有者のものになったのかといった原因が記録されているため、不動産の権利関係が今に至るまでの流れを知ることができます。

不動産登記簿

①順位番号
登記された順序ごとに番号が割り振られます。最も大きな番号が、最新の登記情報です。

②登記の目的
当該登記が何の目的で行われたのかが記載されます。本例では、順位番号2番が「所有権移転」となっているため、「甲野太郎」から「法務五郎」に所有権が移転したことを登記したことが分かります。なお最初にある「所有権保存」は、当該土地について初めて登記をしたときに記載される表現です。

本登記簿謄本を見ると「甲野太郎」が最初に登記した土地が、平成20年10月27日に「法務五郎」へ所有権が移ったという流れが分かります。

③受付年月日・受付番号
それぞれの登記が受け付けられた日付です。先ほど解説したように所有権移転の登記がいつ受け付けられたのかといったように土地に関する権利関係が変更された日付が分かります。

④権利者その他の事項
それぞれの登記について所有者が誰であるのかを記載する欄です。順位番号2番以降は、原因と日付が記載されているのが見て取れます。本例では「売買」となっているため、「甲野太郎」から「法務五郎」に売却したことで所有権が移転したことが分かります。

3-3.権利部乙区

権利部乙区にも権利関係が記録されますが、ここに記録されるのは所有権以外の権利です。よくあるのは抵当権で、ローンを利用して不動産を購入した場合は抵当権が登記され、この乙区に抵当権設定が記録されます。不動産を担保にお金を借りるのはよくあることですが、その際に債権者が権利を確保するために設定するのが抵当権です。これは所有権とは逆に所有者の権利に制約を加えるものなので、甲区ではなく乙区に記録されています。

そのほかに、権利部の乙区には地上権や地役権なども記録されます。

不動産登記簿
  1. 順位番号
    土地が登記された順序が番号で記載されます。1から始まって権利関係の変更が登記されるたびに番号が増えていくため、最も大きい番号が最新の登記情報です。

  2. 登記の目的
    権利部乙区には、所有権以外の権利関係が登記されます。所有権以外の権利として、本例では「抵当権設定」となっているため、債権の担保として抵当権が設定されたことが分かります。

  3. 受付年月日・受付番号
    所有権以外の権利関係についての登記が行われた日付と受付番号が記載されます。

  4. 権利者その他の事項
    権利部乙区は、所有権以外の権利関係が記載されるため、所有権以外の権利者名などが示されます。本例では、抵当権が登記されているため、この欄で抵当権の権利者が分かります。

  5. 原因
    登記が行われた理由が記載される欄です。本例では、「抵当権の設定」が記載されているため、お金の貸し借りに伴って抵当権を設定したことが分かります。

  6. 債権額
    抵当権の権利者がお金を貸した金額が記載されます。本例では、「債権額 金4,000万円」と記載があるため、法務五郎が株式会社南北銀行から4,000万円の借り入れしたことが分かります。

  7. 利息
    抵当権の権利者がお金を貸した際の利息が記載されます。「年2.60%」と記載されているため、本例では年利2.6%でお金を貸したことが分かります。

  8. 損害金
    一般的な金銭貸借では、債務者による返済が滞った際にペナルティとして損害金が発生します。そのことは、登記簿にも記載され、本例では損害金が年利14.5%になることが分かります。 

  9. 債務者
    債務者、つまりお金を借りた人の住所と氏名です。

  10. 抵当権者
    債権者、つまりお金を貸した人の住所と氏名です。法人がお金を貸している場合は銀行名などの法人名が記載されます。

  11. 共同担保
    すでに解説した共同担保が設定されている場合は、その事実が記載されます。他の債権の担保として提供している事実がない場合は、何も記載されません。

3-4.共同担保目録

不動産登記簿
  1. 記号及び番号
    共同担保目録の番号です。ここに記載されている記号及び番号は、権利部乙区に記載されている記号、番号と同じとなるため、記号もしくは番号で同一であることが分かります。

  2. 番号
    共同担保目録に記載するのにあたって不動産に割り振られる番号です。

  3. 担保の目的である権利の表示
    担保として提供されている(抵当権が設定されている)不動産の情報が記載されます。所在地や地番、家屋番号が記載され、その不動産に抵当権が設定されていることが分かります。

  4. 順位番号
    抵当権には、順位があります。万が一返済不能の状態に陥った際には、抵当権の順位が高い順に返済することになるため、とても重要な順位です。

3-5.その他の見方

その他の見方として知っておきたいのは、登記簿の記載事項に下線が引かれている場合です。この下線は、抹消を意味します。抹消された登記内容については、すでに有効ではないものとなるため、履歴のようなものと理解して問題ありません。何度も権利関係が変更されている場合、過去に権利者だった人(法人)のところに下線が引かれます。

本例の現在の権利者には、下線が引かれていないため、下線のない権利者が現在有効な権利者であることが分かります。例えば住宅ローンを借り入れて金融機関が抵当権者として登記されたとしても、住宅ローンを完済して抵当権が抹消された場合、登記簿には下線の引かれた「過去の抵当権者」が記載されることになります。

4.マンションの登記簿謄本の見方

不動産登記簿
引用:法務省「登記簿謄本 様式例・3

4-1.表題部(一棟の建物の表示)の見方

  1. 専有部分の家屋番号
    マンションは、集合住宅となるため、一戸建てと異なり同じ建物内に複数の住戸があるのが特徴です。これら一つ一つの住戸には、家屋番号が付けられています。またこの欄には、同じマンション内にあるすべての家屋番号が記載されます。本例では、4つの家屋番号が記載されているため、当該マンションに4戸の部屋があることが分かります。

  2. 所在・建物の名称
    マンションの所在地と建物の名前(マンション名)が記載されます。マンション以外にもビルが登記されている場合は、ビル名が記載されます。

  3. 構造・床面積
    左の欄には、建物の構成材料と階数、右の欄にはそれぞれの階の床面積が記載されます。

  4. 敷地権の目的である土地の表示
    マンションなど区分所有建物が建っている敷地に関する表示項目です。表題部を見ることで、敷地権登記されているマンションの所在地、地目、土地の面積が分かります。

4-2.表題部(専有部分の建物の表示)の見方

  1. 家屋番号
    マンション内にある部屋を特定するための情報です。マンション内の専有部分は、独立した建物として取り扱われるため、それぞれの部屋に家屋番号が付けられます。なおこの部分は、所在地を示すのに「町名」から記載されることも特徴の一つです。

  2. 建物の名称
    ここでいう「建物」とは、マンション内にある独立した専有部分のことです。そのため「建物の名称」となっていますが、マンション名を記載するのではなくマンション内にある部屋番号を記載します。上記の家屋番号の末尾にも部屋番号が入っているため、通常はこの番号と同じです。

  3. 構造
    この部分も少々ややこしいのですが、マンション全体の建物を指しているのではなく独立した専有部分を指しています。そのため構造は、マンション全体と同じであっても階数は通常、「1階建」です。メゾネットタイプなど専有部分が2階建て構造になっている場合のみ「2階建」と記載されます。

  4. 床面積
    専有部分の延床面積が記載されます。マンションの専有部分表記は、内法面積といって壁の内側の寸法で求められた面積を採用しており、通常の壁芯面積と異なる点は注意が必要です。

  5. 敷地権の種類
    分譲マンションなど購入して所有している場合は「所有権」と記載されます。敷地権には、このほかに「貸借権」「地上権」などがあります。

  6. 敷地権の割合
    マンションの区分所有者は、マンションが建っている土地に対して敷地権の割合分だけ権利を所有しています。ここに記載されているのは、区分所有者が権利を有する敷地権の割合です。

  7. 所有者
    一般的にマンションを建設、分譲した業者の名称が記載されています。実際の所有者ではなく、このような記載になっているのは、建物が完成したときに業者が専有部分について一括して表題登記を行うからです。

5.不動産登記簿の取得、閲覧方法

不動産の登記簿を取得し閲覧する方法は、大きくわけて3つあります。

5-1.日本全国の登記所窓口で交付請求

日本全国にある登記所に請求をすれば、登記簿を取得することができます。役所には一般的に管轄の概念がありますが、登記所は日本全国のどこであっても同じ情報を共有しているので、例えば東京で大阪の不動産に関する登記簿謄本について交付を受けることも可能です。当記事では登記簿と表記していますが、登記所では登記事項証明書と表記されていますので、間違いのないようにしてください。

・登記所と法務局は同じ

不動産登記や登記簿に関連して「登記所」や「法務局」という言葉がよく登場します。文字だけを見ると全く異なる役所があるように見えるかもしれませんが、登記所と法務局は同義と考えて問題ありません。法務局は、不動産登記以外にも商号登記や戸籍、供託、訴訟など実に多くの業務を担当しており、そのなかの一つに不動産登記があると考えると分かりやすいでしょう。

つまり多くの人が「登記所」と呼んでいる役所は「法務局」のなかにある行政サービスの一つということです。

5-2.郵送による交付請求

近隣に登記所がない、登記所に行く時間がなかなか取れないという場合は、郵送による方法も可能です。特定の書式があるわけではありませんが、希望する登記所の住所宛てに返送先を記載した封筒と取得を希望する登記簿の情報をメモなどに記載し、返信用の切手とともに郵送すると交付を受けることができます。

5-3.オンラインによる交付請求

3つめにご紹介するのは、オンラインによる交付請求の方法です。ネットが発達した現在、オンラインによる方法が最も便利です。法務省が運営している「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと・供託ねっと」から交付請求をすることができます。

このネットサービス上から交付請求を行い、指定された登記所で受け取るか指定の送付先への送付で受け取るかを選択することができます。

なお、手数料についてもオンライン請求が最もオトクです。書面請求だと600円ですが、オンライン請求で窓口交付なら480円、オンライン請求の送付による受け取りであっても500円のため、最も低コストです。

6.不動産登記を司法書士に依頼する方法と費用相場

登記簿を取得してそこに記録されていることを参照する程度であれば、専門家でなくても十分可能でしょう。しかし売買や相続などで取得した不動産を登記するとなると、全くの素人がこなすのは簡単ではありませんし、リスクを伴います。そんな場合は司法書士に依頼するのが無難なので、最後に不動産登記を司法書士に依頼する方法と費用相場について解説します。

6-1.不動産登記は司法書士に依頼しよう

不動産の登記を自分でやることに少しでも自信がない場合は、専門家である司法書士に依頼しましょう。法律によって司法書士には「登記申請書の作成」「登記申請のための資料などの作成・取得」「登記申請から完了までの一切の手続き」「登記完了後の書類などの受領」といった業務を委託できると規定されており、不動産の登記もこれに該当します。

不動産登記を司法書士に依頼するべき理由は言うまでもなく、致命的なミスの防止です。不動産は高額商品の代表格であり、自分がその所有者になったのであればそれを正確に登記しなければ予想できないような不利益を被ってしまう恐れがあります。

司法書士は登記のプロであり、多くの司法書士は不動産登記のプロでもあります。ネットで検索すると多くの司法書士事務所の情報を見つけることができますし、特に司法書士のあてがないのであれば不動産会社から紹介された司法書士を利用するのも1つの方法です。

ただし、不動産会社から紹介された司法書士に依頼する場合は不動産会社に中間マージンが発生している場合があるので、それが気になるのであれば自身でネットなどから探しても大きな問題はないでしょう。

6-2.登記には登録免許税が必要になる

登記には登録免許税が必要になりますが、これは司法書士に依頼しても、しなくても等しく発生するものです。司法書士に登記を依頼した場合は司法書士報酬とは別途発生する費用なので、それを考慮に入れておきましょう。

6-3.司法書士に不動産登記を依頼する場合の報酬相場

不動産の売買や相続などに伴って行う所有権移転登記の場合、司法書士への報酬はどの程度の金額になるのでしょうか。これについては司法書士それぞれ自由に決めてよいことになっているため、それぞれの司法書士や事務所によってまちまちです。

司法書士の全国団体である日本司法書士会連合会が、全国の司法書士に対してアンケート調査を行っており、ここから司法書士報酬の全体像を知ることができます。ここから見えてくる司法書士報酬の相場は、以下のようになっています。

  • 売買による所有権移転登記:4万円台から6万円台程度
  • 相続による所有権移転登記:6万円台から7万円台
  • 新築建物の所有権保存登記:2万円台から3万円台

ただし、これらの報酬目安はいずれもモデルケースを想定した調査なので、特殊なケースになると費用感は若干異なってくると思います。

ローンを組んで不動産を購入する場合は抵当権設定の登記が必要になりますが、こちらについても同調査に報酬の相場が公開されています。これによると3万円台から4万円台が相場で、逆に抵当権を抹消する登記の報酬は1万円台です。

7.登記簿を上手く活用して不動産情報を得よう

「不動産の登記ってなに?」「登記簿ってなに?」というように、言葉を見聞きしたことはあってもその仕組みや意味がイマイチよく分からないという方に向けて、不動産の登記と登記簿についての基本から登記簿の見方、登記簿から読み取れることなどについて解説してきました。

ほとんどの場合、専門家以外の人が登記について当記事の内容より深く理解する必要はないでしょう。なぜなら、不動産の売買や相続などがあったとしても司法書士に登記を依頼するケースがほとんどだからです。しかしながら登記簿から不動産に関する情報を知る必要があるような機会はあるでしょうし、司法書士に依頼するとしても最低限の知識を持っておいたほうがスムーズです。「これさえ知っておけば十分」という知識に絞って解説しました。ぜひお役立てください。

(提供:YANUSY

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