勤務先から源泉徴収票を受け取ると、確定申告をするためにずっと保管しておくだろう。しかし源泉徴収票をもらってから必要になるまでの期間が長いため、源泉徴収票をなくしてしまう人も多い。この記事では、源泉徴収票と確定申告について解説する。源泉徴収票が必要かどうかは2019年から変わったので、変更点もチェックしていこう。

源泉徴収や確定申告に関するQ&A

確定申告,源泉徴収票
(画像=PIXTA)

源泉徴収や確定申告に関するQ&Aを紹介していこう。

Q


サラリーマンでも確定申告が必要?

サラリーマンは勤め先が年末調整をするので確定申告をする機会は少ないが、確定申告が必要な場合もあるため注意が必要だ。具体的には「給与収入が2000万円を超えるケース」や「勤め先1カ所から源泉徴収される給与所得があり、給与所得や退職所得を除いた合計所得額が20万円を超えるケース」などがある。

サラリーマンは勤め先が年末調整をするので確定申告をする機会は少ないが、確定申告が必要な場合もあるため注意が必要だ。具体的には「給与収入が2000万円を超えるケース」や「勤め先1カ所から源泉徴収される給与所得があり、給与所得や退職所得を除いた合計所得額が20万円を超えるケース」などがある。


Q


源泉徴収票を受け取るタイミングは?

源泉徴収票を受け取るタイミングには大きく2種類ある。「企業が年末調整について計算ができてから」と「従業員が退職をしたタイミング」である。
「企業が年末調整について計算ができてから」は、もちろん年末に受け取る。一方、「従業員が退職をしたタイミング」の場合、退職後しばらくして、1月1日から退職した日までの給与について記載された源泉徴収票を受け取る。
年が変わらないうちに就職しなければ確定申告で源泉徴収票を使い、就職した場合は新しい職場で年末調整してもらう際に渡せば、それをもとにして年末調整をしてもらえる。

源泉徴収票を受け取るタイミングには大きく2種類ある。「企業が年末調整について計算ができてから」と「従業員が退職をしたタイミング」である。
「企業が年末調整について計算ができてから」は、もちろん年末に受け取る。一方、「従業員が退職をしたタイミング」の場合、退職後しばらくして、1月1日から退職した日までの給与について記載された源泉徴収票を受け取る。
年が変わらないうちに就職しなければ確定申告で源泉徴収票を使い、就職した場合は新しい職場で年末調整してもらう際に渡せば、それをもとにして年末調整をしてもらえる。


Q


源泉徴収票はずっと持っていないといけないの?

確定申告に使う際など、基本的に源泉徴収票を保管しておく必要がある。ただし2019年から変更したポイントもある。詳しくは後ほど説明する。

確定申告に使う際など、基本的に源泉徴収票を保管しておく必要がある。ただし2019年から変更したポイントもある。詳しくは後ほど説明する。


源泉徴収や予定納税をした税金が納め過ぎの場合も!

源泉徴収や予定納税は「だいたいこのくらいの税金が必要になる」という金額をもとにして税金を納めるものである。しかし、実際に必要となる税金は個人のさまざまな状況をもとに決定されるため、源泉徴収や予定納税ではその金額と異なっていることが多い。納め過ぎているケースなどを確認するのが確定申告をする意味である。

納め過ぎた税金は確定申告で戻ってくる

税金を納め過ぎている場合、確定申告をすることでその分が戻ってくる。医療費控除や住宅ローンの控除などに当てはまれば、申告によって納め過ぎていた分を還付してもらえるため、積極的に申請しよう。

源泉徴収票の種類は3種類ある

源泉徴収票は3種類ある。何に対しての所得かで分かれているため、確認していこう。

給与所得の源泉徴収票

「給与所得の源泉徴収票」は勤め先から受け取るもので、会社勤めの場合、この源泉徴収票をもらうことが多い。1月1日~12月31日の間に給与などとして受け取った金額や、所得税などで支払った源泉徴収税の金額が確認できる。

退職所得の源泉徴収票

「退職所得の源泉徴収票」はその名のとおり、退職した際に1ヵ月以内に受け取るもので、退職金などが源泉徴収票に記載されている。退職をした年と同じ年に再度就職をした場合は、「退職所得の源泉徴収票」を新しい職場に提出すればまとめて年末調整をしてもらえる。

新しい職場に提出しなかった場合や同じ年に就職をしなかった場合は、源泉徴収票をもとに自分で確定申告を行うこととなる。

公的年金等の源泉徴収票

公的年金等について書かれているのが「公的年金等の源泉徴収票」である。翌年1月31日までには交付されるもので、1月1日~12月31日の間に受け取った公的年金の金額などが記載してある。

確定申告の際にそれぞれ注意したいこと

確定申告をする際に、それぞれの源泉徴収票のケースごとに注意点を紹介する。

給与所得の源泉徴収票の場合

給与所得の場合は勤め先が対応してくれているため、基本的には確定申告は不要な場合が多い。ただし税金を納め過ぎているケースもあるので、医療費が高かった場合などは確定申告をして控除の申請をすると、納め過ぎた分の税金が戻ってくることもある。

退職所得の源泉徴収票の場合

退職所得による源泉徴収税は勤め先が対応していることが多く、基本的には確定申告をしなくてもよい。ただし通常の給与所得と退職所得は違った計算方法で課税されるため、確定申告によって還付されるケースもある。勤め先が退職金の申告書を提出していなかったケースや他の所得額がマイナスだったケースなどがその例である。

公的年金等の源泉徴収票の場合

年金を受け取る人は事前に老齢年金から源泉徴収されている。この場合、公的年金等による金額が400万円を超えたり、雑所得にあたらない所得が20万円を超えたりすると確定申告が必要となる。ただしこれらの条件に満たなければ、確定申告は不要だ。

公的年金等の源泉徴収票でも、医療費がかさんだときや寄付金があるときなど控除対象となる場合は、納め過ぎていた分の税金が確定申告によって還付できるケースがある。

2019年に手続きが変更、確定申告で源泉徴収票の添付が不要に

以前は確定申告の際に源泉徴収票の原本が必須だった。2019年に手続きが変更されたことにより、源泉徴収票の添付は不要になった。どのような対応になるのか確認していこう。

手続きが変更された背景とは

2019年に手続きが変更された背景には、国税局がそのほかの行政機関と連携し、情報を添付書類で確認するなどして、内容を確認できるようになったことがある。

財務省は税制改正によって納税者の手間をなくし、適切に対応してもらえるように工夫している。その結果、2019年度の見直しの際に源泉徴収票の添付が不要となったのだ。

源泉徴収票の内容自体は確定申告書に記載する必要がある

確定申告時に源泉徴収票の添付が不要になったとはいえ、源泉徴収票の取り扱いには注意が必要だ。確定申告の際に源泉徴収票に書かれている金額と同じ金額を記載する欄があるため、確定申告時まで源泉徴収票は持っておこう。

従来は源泉徴収票の原本がないと受け付けてもらえなかったが、現在は金額さえ間違えないようにすればよいので、万が一源泉徴収票を紛失した場合でも対応は簡単になる。

税務署の職員に直接相談をして確定申告するなら源泉徴収票は必須

確定申告では、さまざまな内容をチェックしながら記入する。税務署の職員に直接、記入の仕方を聞きたい人も多いだろう。職員に相談をしながら確定申告をするなら、源泉徴収票は必須なので注意が必要だ。職員に直接対応してもらう場合は、しっかりと金額を確認できるように源泉徴収票を忘れずに持っていくようにしよう。

源泉徴収票の数字と確定申告時の数字が違った場合の対応は?

気をつけて書いていても、間違えてしまうことはある。源泉徴収票の数字と確定申告時の数字が違った場合の対応についても確認していこう。

戻ってくる税金がある場合

源泉徴収票の数字を書き間違えてしまった場合、それをもとに計算された税金の額も変わってくる。書き間違いによって支払う税金の額が本来よりも多くなっていた場合は、申告によって支払い過ぎた分が戻ってくる。書き間違いによる申告のやり直しは過去5年以内のみというルールがあるため、書き間違えていないかは早めに確認しておこう。

支払うべき税金が増えた場合

逆に、書き間違いによって支払う税金の額が本来よりも少なくなってしまった場合もあるだろう。実際は多く支払うべきだったケースでは、「支払うべき時期に支払わなかった」ということで延滞税が課される。実際に必要な税金よりも負担が大きくなることもあるので、確定申告で記載する数字はしっかりとチェックすることが重要である。

源泉徴収票を紛失したり貰えなかったりした場合

「源泉徴収票をなくさないように」と大事にしていたつもりでも、紛失してしまうケースや、会社側のミスでもらえなかったケースもあるだろう。そんなときの対処法も確認していこう。

まずは会社へ相談する

紛失した場合も送られてこなかった場合も、まずは会社に相談するのが基本だ。会社には源泉徴収票を渡す義務があるため、基本的には以前の勤め先に連絡するだけで解決することがほとんどだ。

年度途中で退職した場合、しばらくすると源泉徴収票が送られてくるが、年末近くになってから源泉徴収票を送る企業もあるため、なかなか届かずやきもきする場合もあるだろう。

それでも再発行してもらえない場合

以前の勤務先に相談したが、再発行してもらえない場合はどうしたらよいのだろうか。所轄の税務署に相談すると、税務署が会社に指導をしてくれる。面倒くさがって発行しなかった場合でも、税務署に言われれば発行してくれるはずだ。

もし勤務先が倒産していた場合は、これらのやり方では対応できない。この場合、1月1日からの支払い給与を確認し、自身で源泉徴収額を計算しなければならない。税務署に伝えて源泉徴収票不交付という届出手続きが必要なので、注意しよう。

源泉徴収票の内容を簡単に確定申告するには会計ソフトも有効

源泉徴収票の内容を確定申告書のどこに書けばよいか分からない人もいるだろう。最近ではさまざまな会計ソフトが出ており、活用することで簡単に確定申告ができる。有効活用して、効率的に確定申告を行うことをおすすめする。

源泉徴収の仕組みを理解して確定申告に役立てよう

源泉徴収票は確定申告の際に必要なものだ。2019年度の確定申告からは原本は必須ではなくなり、個人の負担が減ったものの、依然として源泉徴収票に書かれている中身は重要だ。3種類の源泉徴収票や源泉徴収票を紛失した場合の対処法、2019年度からの変更点などを参考にして、確定申告をしよう。