働いている人のうち一部を除いたすべての人が行わなければならない確定申告だが、確定申告で計算した税金を支払う際の方法が複数あることはご存知だろうか。この記事では、確定申告で計算した税金を支払う方法と支払期限について解説する。

確定申告の支払いに関するQ&A

確定申告の支払いはこれで安心!支払方法、期限は?
(画像=PIXTA)

Q


確定申告の税金の支払い方法は何種類ある?

確定申告の税金の支払い方法は、振替納税、窓口支払、コンビニ払い、クレジットカード払い、インターネットバンキングからの支払い、e-Taxでの支払いの6種類がある。

確定申告の税金の支払い方法は、振替納税、窓口支払、コンビニ払い、クレジットカード払い、インターネットバンキングからの支払い、e-Taxでの支払いの6種類がある。


Q


確定申告の税金はいつまでに支払えばいい?

確定申告の税金は、確定申告書の提出期限と同じ3月15日が支払期限となっている。

確定申告の税金は、確定申告書の提出期限と同じ3月15日が支払期限となっている。


Q


確定申告の税金の支払い方法を変えると支払期限も変わる?

通常、確定申告の支払期限は3月15日だが、振替納税の場合、口座からの引き落とし日は4月20日頃となっているため、通常の支払期限よりも1ヵ月ほど期限が先送りになる。

通常、確定申告の支払期限は3月15日だが、振替納税の場合、口座からの引き落とし日は4月20日頃となっているため、通常の支払期限よりも1ヵ月ほど期限が先送りになる。


Q


確定申告の税金を支払えないときはどうすればいい?

どうしても期限内に税金を支払えそうにない場合は延納制度を利用しよう。延納制度を利用すると、期限内に支払わなければならない税額が半額となる。残りの金額には延滞税がかからず、代わりに延滞税よりも低い利子税という税金が課せられる。

どうしても期限内に税金を支払えそうにない場合は延納制度を利用しよう。延納制度を利用すると、期限内に支払わなければならない税額が半額となる。残りの金額には延滞税がかからず、代わりに延滞税よりも低い利子税という税金が課せられる。


確定申告の税金の支払い方法は?

確定申告で金額が決定されるのは所得税、消費税、贈与税などと複数あるが、ここでは所得税の支払い方法について解説する。

所得税は、固定資産税のように国から金額がすでに計算されている納付書が届くことがないため、自ら所得税を支払いに行かなければならない。

所得税の支払い方法は以下の6つがある。

  • 振替納税
  • 窓口支払
  • コンビニ払い
  • クレジットカード払い
  • インターネットバンキングからの支払い
  • e-Taxでの支払い

この6種類の支払い方法について、特徴を順に解説していく。

振替納税で支払う

所得税の支払い方法で最も簡単なのは、自動引落としだろう。最初に税金が自動で引落されるよう書類を提出するという手間はかかるが、一度手続きを済ませてしまえば、それ以降は何もすることなく、自動的に4月頃に所得税が引き落とされるようになるからだ。

振替納税は支払いが簡単なだけではなく、通帳などの記録媒体にどの税金がいくら引き落とされたのかという情報も残るため、後から支払った所得税を確認する際などにも便利だというメリットもある。

現金支払いの場合の支払期限が3月15日であることに対し、所得税の引き落とし日は4月20日頃なので、現金で直接支払う場合よりも1ヵ月ほど支払日が先送りになるという特徴もある。

基本的には自動的に引き落としとなるため、支払い忘れて期限を過ぎてしまうという事態が起こらないことが1つのメリットである。ただ口座残高に十分な額が残っておらず引き落としができない場合は、所得税の滞納とみなされてしまうため、口座残高には注意しておかなければならない。

金融機関や税務署の窓口で支払う

振替納税のように、口座からの引き落としではなく直接現金で所得税を支払う方法もある。

自ら税務署や銀行などに行って、直接現金で支払いをするという手間はかかるが、残高不足による未納処理などもなく、支払期限さえ覚えていれば知らない間に未納扱いになるということもない。

振替納税のような引き落とし処理とは異なり、現金払いの場合は領収書を受け取ることができるため、納税証明などを行う際に使う証明書類が手に入る点がメリットとも言える。

所得税などの国税の場合、支払いを行った後、納付書が一度税務署に送られてから税務署から領収書が届く。一方、税務署で直接支払うとその場で領収書が受け取れるため、すぐにでも領収書が欲しい場合などにも便利である。

コンビニで支払う

現金払いによる簡単な支払い方法としては、コンビニ払いも挙げられる。銀行や税務署などと違い、コンビニは営業時間を問わず受け付けているため、忙しい人が支払いを行う方法としてとても便利な方法だ。

ただしコンビニ払いにはバーコード付きの納付書が必要で、あらかじめ税務署でもらっておかなければならない。バーコード付きの納付書の場合、所得税の納付期限だけではなく納付書そのものに期限が設定されているため、その点にも注意する必要がある。

また、コンビニでの支払いは30万円が限度額となっているため、所得税がそれ以上ある人はコンビニ払いを選択できないというデメリットもある。コンビニ払いを考えている人は、これらの点を把握しておくようにしよう。

クレジットカードで支払う

所得税の金額がある程度大きいにもかかわらず、手元に持ち合わせがないという場合に便利なのがクレジットカード払いである。もちろんクレジットカードの限度額という上限はあるが、そこまで所得税が大きくないか、限度額が大きい人であれば問題はない。

しかし、クレジットカード払いは便利な一方、難点も多い。所得税のような税金の支払いをクレジットカードで行うには、特定のサイトでクレジットカードによる国税の支払いを可能にする手続きをしなければならない。

また、1万円ごとに決済手数料がかかることや、納税証明書が送られてくるのが通常よりも遅いというデメリットもあるため、所得税のクレジットカード払いを考えている人は注意が必要である。

インターネットバンキングで支払う

先ほど振替納税による支払いは簡単で便利であると解説したが、インターネットバンキングからの支払いも振替納税同様簡単なのかというと、必ずしもそうとは限らない。

振替納税を行うためには、あらかじめ口座振替依頼書を口座登録先の金融機関か税務署に提出しておかなければならないが、インターネットバンキングからの支払いでも事前に「e-Taxの開始届出書」を提出する必要がある。

インターネットバンキングをすでに持っている人向けの支払い方法でもあるため、人によって振替納税とインターネットバンキングのどちらがいいのかは分かれるところだ。

インターネットバンキングからの支払いも振替納税同様に領収書を受け取ることができないので、注意が必要である。

e-Taxで支払う

最後に、少し特殊な支払い方法を紹介する。ここまで説明してきた方法は、確定申告後に口座から直接引き落としてもらうか、期限までに直接支払いを行うという形だった。

しかし、e-Taxで確定申告を電子申告した人は、直接その場で支払うことができる。インターネットバンキングからの引き落としのように複雑な手順を踏むこともなく、すでに持っている金融機関の口座を登録するだけで、そこから所得税を引き落としてもらうことができるのだ。

電子申告をした人しか利用できない支払い方法だが、逆に言うと、電子申告さえ行っていれば、ネットで簡単に所得税を納付できるということでもある。

近年では電子申告による基礎控除額の増額など、電子申告に対する優遇措置も多くなっているため、この機会に電子申告を利用して納税するのも悪くないであろう。

確定申告の税金の支払日や支払期限はいつ?

支払い方法が6種類もある所得税だが、支払い方法によっては支払期限が変わってくる点にも注意が必要である。通常の支払期限と振替納税の期限について解説する。

支払期限は確定申告書の提出期限と同じ

所得税は通常、確定申告の提出期限と同じ3月15日が支払期限となっている。3月15日が土日祝日の場合は翌日が期限日になる。

今年度の予定納税基準額が15万円以上となるなど、前年度の所得が大きい人は予定納税といって3度に分けて支払いを行う必要がある。第1期の期限は7月末日、第2期の期限は11月末日、第3期に該当するのが確定申告後の納税であり、第1、2期で支払った金額を差し引いた分の所得税を第3期の支払期限である3月15日までに支払わなければならない。

振替納税は支払日を1ヵ月程度伸ばせる

振替納税の特徴として、期限が4月20日となることが挙げられる。振替納税という口座からの引き落としであるため、早めに支払うことはできないが、その分通常の支払期限よりも1ヵ月ほど期限が遅く、入金するだけの時間があると考えることもできる。

確定申告の税金を支払えないときの対処法

確定申告後に税金を支払えない場合や、支払期限が過ぎてから支払ってしまった場合はどうなるのだろうか。

どうしても期限までに支払えそうにない場合に取る「延納」という手段と、期限に遅れてしまった場合について解説する。

延納の届け出を出す

確定申告によって算出した結果、期限までには全額支払えないと判明した場合は延納制度を利用するのが賢明だ。ただし延納制度を利用しても期限内の納税義務がなくなるわけではない。

延納とは、支払期限内に支払う所得税額を半分にし、その後残りの半額を5月31日までに支払うという制度だ。この制度を利用した際、期限内に支払えなかった分については、年によって変動する利子税が加算された金額を支払うことになる。

延納制度は確定申告書の欄内に「延納の届出」という箇所があるため、そこに金額を記入することで延納制度の適用対象となる。

支払期限に遅れると延滞税がかかる

3月15日までに納付できない場合、税金の支払額に延滞税が課せられる。期限後2ヵ月以内に支払った場合と2ヵ月が過ぎてから支払う場合では延滞税が倍以上異なる。

さらに、延滞税の加算額は1日ごとに大きくなっていくため、期限が過ぎたとしてもできる限り早く納税することが結果的に損失を抑えることにつながる。

延納を利用した場合は、期限内に払えなかった分に利子税という税金が課せられるが、その利子税は延滞税より小さい。そのため、何の手続きも行わずにただ支払いを滞納した場合と、延納制度を利用して半額分に利子税が課せられる場合では、前者の延滞税を払うほうが追加で支払う金額は大きくなってしまう。

確定申告は自分に合った支払い方法を選ぼう

確定申告後の税金の支払い方法には、現金支払いや口座からの引き落としなど、さまざまな支払い方法があるため、最も自分に合った方法を選ぶことが重要である。その際は、自ら選んだ納税方法に必要な手続きをきちんと把握しておくようにしよう。