確定申告の方法は「直接提出」や「郵送」だけではない。それ以外の方法に電子申告(e-Tax)がある。自宅で確定申告書を作成し、申告まで済ませることも電子申告なら可能だ。2020年以降、青色申告者は10万円分の控除額の増加も期待できる。この記事では、電子申告のメリットやデメリット、申告方法、提出書類などについて解説する。

確定申告・電子申告に関するQ&A

確定申告,電子申告
(画像=PIXTA)

最初に電子申告によくある2つの質問に答えよう。

Q


そもそも電子申告とは?

電子申告の正式名称は「国税電子申告・納税システム」だ。国税庁が管轄し、2004年に導入された。

最大の特徴は、インターネット環境さえあれば自宅やオフィスでも申告や申請、納税などが完了することだ。個人事業主やフリーランスはもちろん、確定申告が必要な会社員や法人の申告にも利用できる。市販の確定申告ソフトで申告書を作成し、提出すればさらに確定申告がスムーズになる。

電子申告の正式名称は「国税電子申告・納税システム」だ。国税庁が管轄し、2004年に導入された。

最大の特徴は、インターネット環境さえあれば自宅やオフィスでも申告や申請、納税などが完了することだ。個人事業主やフリーランスはもちろん、確定申告が必要な会社員や法人の申告にも利用できる。市販の確定申告ソフトで申告書を作成し、提出すればさらに確定申告がスムーズになる。


Q


電子申告でできることは?

電子申告でできることは、確定申告に関する以下の書類などの提出だ。

• 確定申告書
• 青色申告決算書(収支内訳書)
• 各種源泉徴収票など

なお確定申告だけではなく、贈与税や法人税、消費税などの申告にも対応している。詳細は国税庁のホームページに記載があるので、確認してほしい。

参考:https://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/index.htm

税金の申告や各種申請・届出には、添付書類の提出が求められることがある。電子申告なら添付書類も画像データとして提出できる。

電子申告でできることは、確定申告に関する以下の書類などの提出だ。

• 確定申告書
• 青色申告決算書(収支内訳書)
• 各種源泉徴収票など

なお確定申告だけではなく、贈与税や法人税、消費税などの申告にも対応している。詳細は国税庁のホームページに記載があるので、確認してほしい。

参考:https://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/index.htm

税金の申告や各種申請・届出には、添付書類の提出が求められることがある。電子申告なら添付書類も画像データとして提出できる。


確定申告で電子申告を利用する3つのメリット

所得税の確定申告を書面で行う場合と比べると、電子申告には多くのメリットがある。代表的な3つのメリットについて解説する。

書類の提出や提示を省略化できる

電子申告は添付書類の提出を省略できる。例えば「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、以下のような書類の提出が不要だ。

• 医療費の領収書
• 社会保険料控除の証明書
• 小規模企業共済等掛金控除の証明書
• 生命保険料控除の証明書
• 地震保険料控除の証明書
• 寄附金控除の証明書

住宅ローン控除などの一部の控除では、実際の書類の提出が必要だが、それらの書類も画像データでの提出が認められることが一般的だ。

確定申告を早く完了することが可能

電子申告を利用すれば、確定申告を早く完了できる。書面の場合、通常1ヵ月程度かかるところを電子申告なら、2~3週間後で入金となる。

電子申告の場合、還付金の処理状況をオンラインで確認できる。ログインするだけで、入金予定日などが確認できるので大きなメリットの一つと言えるだろう。

自宅や事務所で申告が完結

電子申告はインターネット環境とパソコンなどがあれば自宅や事務所でも申告可能だ。書類を税務署まで持参したり、ポストへ投函したりする手間が省ける。

申告期限や税務署の混雑状況を気にする必要もない。土日祝日も含め24時間いつでも申請できる電子申告は、忙しい個人事業主やフリーランスにとってもメリットとなるだろう。

青色申告で控除額が増える場合も

2020年からは、基礎控除額が38万円から48万円に上がる分、青色申告特別控除額が最大65万円から最大55万円へと下がった。

しかし電子申告を利用することで、青色申告特別控除として、引き続き最大65万円の控除が受けられる。窓口や郵送の申告と比べて、10万円も多く控除を受けられるのだ。節税効果が得られる電子申告は経済的なメリットも大きい。

確定申告で電子申告を利用する3つのデメリット

ここからは、確定申告で電子申告を利用する際のデメリットについて説明する。

原則マイナンバーカードが必要

電子申告の利用には、マイナンバーカードによる本人認証が必要だ。マイナンバーカードやカードリーダーの取得、専用ソフトのインストールなど、準備に手間がかかる。

マイナンバーカードの発行は約1〜2ヵ月かかる。期限ギリギリに交付申請をしても、申告期限に間に合わない可能性があるので、事前に公式サイトなどから交付申請を済ませておくことをおすすめする。

パソコンの利用環境に一部制限がある

パソコンの利用環境などに一部制限があることもデメリットと言える。推奨環境は「確定申告書等作成コーナー」「e-Taxソフト」とそれぞれ異なるので、事前に確認しておきたい。

推奨環境に適合しない場合、入力したデータが消えるなどのトラブルもあり得るので注意が必要だ。

確定申告やパソコンの最低知識は必要

電子申告は便利な部分が多いものの、確定申告やパソコンの最低知識がないと、全体的な「流れ」を理解しづらいかもしれない。

この場合、税務署のパソコンを利用することで解決できる。分からないことがあればすぐに質問できるので、慣れるまでは税務署を頼るのも1つの方法だ。

電子申告により提出を省略できる添付書類

電子申告は多くの添付書類の提出を省略できる。省略できない添付書類でも、PDF形式のデータで送付が可能だ。省略できる書類を紹介する。

提出省略制度の対象書類

電子申告の提出省略制度の対象には、次のような書類がある。

• 給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
• 雑損控除の証明書
• 医療費控除の明細書
• セルフメディケーション税制の明細書
• 医療費に係る使用証明書等
• 社会保険料控除の証明書
• 小規模企業共済等掛金控除の証明書
• 生命保険料控除の証明書
• 地震保険料控除の証明書
• 寄附金控除の証明書
• 勤労学生控除の証明書
• 特定震災指定寄附金特別控除の証明書

省略できるとはいえ、書類をすぐに処分してはいけない。確定申告書の作成時に必要な場合もあるので、控除の証明書などは残しておくことをおすすめする。最低でも5年間は保管しておこう。申告後も、原本の提示もしくは提出を求められる可能性があるからだ。

PDFデータの送信が認められる書類

以下の書類については提出の省略が認められない。

• 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の証明書など
• 住宅耐震改修特別控除の証明書など
• 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の証明書など

これらの書類は、従来は書面での提出が必要だった。しかし、2017年1月からはPDF形式のデータで送信が認められている。もちろん従来どおり書面での提出も可能だ。

電子申告の申し込み方法は2種類

電子申告の利用方法は、「マイナンバーカード方式」もしくは「ID・パスワード方式」の2種類ある。

マイナンバーカード方式による申し込み

以前は電子申告を利用するには、所轄の税務署に「電子申告等開始届出書」の提出、「利用者識別番号(ID)」と「暗証番号」の取得が必要だった。

しかし、2019年1月から「マイナンバーカード方式」を利用することで、開始届出書の提出や専用のIDとパスワードがなくても電子申告が可能となった。

ID・パスワード方式による申し込み

マイナンバーカードを持っていない人は、「ID・パスワード方式」による電子申告も可能だ。まずは電子申告を始める方法として検討してみてもよいかもしれない。

ID・パスワード方式の利用には、税務署で対面による本人確認が必要だ。電子申告の開始届出書を提出し、まずはIDとパスワードを受領しよう。

事前に準備すべきもの(マイナンバーカード方式)

電子申告で確定申告をするうえで、事前に準備するべきものについて解説する。

パソコンとインターネット環境

パソコンとインターネット環境は必須だ。パソコンの推奨環境は次のとおりだ。

• メモリが512MB以上
• ハードディスクドライブ(HDD)の空きが2GB以上
• OSはWindowsなど

推奨スペックに満たなかったり、OSがMacだったりするとパソコンでは電子申告ができない可能性もあるため注意が必要だ。国税庁のホームページに詳しい記載があるので確認してみよう。

参照:https://www.e-tax.nta.go.jp/download/e-taxSoftDownLoad.htm

データ作成した本人のマイナンバーカード

データ作成した本人のマイナンバーカードも必要だ。本人確認やデータが改ざんされていないかをチェックするために利用される。

マイナンバーカードは本人確認書類として必要なので、前に発行しておきたい。取得には1ヵ月程度かかることから、早めの準備を心掛けよう。

ICカードリーダーライター

ICカードリーダーライターは、マイナンバーカードをパソコンに読み込ませるために必要だ。2000~3000円程度で購入することができる。ICカードリーダーライター機能付きのスマートフォンで読み込むことも可能だ。

利用者クライアントソフトの事前インストール

公的個人認証サービスから「利用者クライアントソフト」を事前にインストールしておこう。「利用者クライアントソフト」はマイナンバーカードの電子証明書に利用する。OSごとにインストールするソフトウェアが異なるので注意しよう。

マイナンバーカードの取得までの流れ

電子申告のために、初めてマイナンバーカードを取得する人もいるだろう。取得までの流れを解説する。

まずはマイナンバーカードの取得申請

まずはマイナンバーカードの取得申請から始めよう。申請には郵送・インターネット・マイナンバー申請に対応した証明写真機の3つの方法がある。

いずれもマイナンバー通知カードと同封の「個人番号カード交付申請書」か、そこに記載された「申請書ID」が必要となる。

マイナンバー通知カードを紛失した場合、市区町村の窓口で再発行できる。再発行には、警察署で遺失物届の提出が必要となるので、発行された受理番号を記録しておこう。

申請から交付までは約1ヵ月

マイナンバーカードは即日交付されない。申請から交付までには約1ヵ月かかると思っておこう。

電子申告で確定申告をしようと考えている場合は、何よりマイナンバーカードの申請を早くしておきたい。

役所窓口か郵送で受け取り

交付されたマイナンバーカードは、自宅には郵送されない。交付準備が終わると「交付通知書」というはがきが自宅に届くので、記載された交付場所で受け取る。自治体によっては郵送で受け取れる場合もあるので、郵送を希望する場合は自治体に確認してみよう。

電子申告以外の書類の提出方法とは?

電子申告以外の提出方法は次の2つとなる。

• 税務署の窓口に提出する
• 書類を税務署に郵送する

税務署の窓口に提出する場合は税務署に出向く必要がある。提出時に必要書類の不備などを確認してもらえるため、初めて確定申告する人に向いているかもしれない。しかし時期によっては税務署が混雑することも事前に認識しておくべきだろう。

また書類を税務署に郵送する方法もある。この方法であれば税務署に出向く必要がない。郵送物の消印日付が期限内であれば受理されるが、書類の不備を事前に確認できないため、不備で受理してもらえない可能性もある。確定申告を何度か経験し、慣れている人に合った方法と言えるだろう。

スマホでも電子申告は可能?

2019年よりスマートフォンからも確定申告が可能となった。開始当初はAndroidに限定されており、対象者も年末調整を行った給与所得者のみだった。

2020年からはiOSも対応可能となり、対象者も給与所得者のみではなく、公的年金や副業で収入がある人にまで拡大した。スマートフォンから専用サイトにアクセスし、Web上で必要情報を入力して申告書が電子作成できる。

電子申告がスマートフォンで利用できるようになったことは、多くの人にとってさまざまなメリットをもたらすだろう。

電子申告を活用し確定申告をラクにしよう

電子申告では、国税庁が認める形式なら添付書類の提出を省略できる。住宅ローン控除などの一部の控除については提出を省略できないが、これらの書類もPDFデータで送信することが認められているので、郵送などの手間は省ける。

電子申告を存分に活用することで、確定申告にかかる時間や事務作業を大幅に削減できるだろう。