多くの富裕層にとって子育てのゴールは、自身(ファミリー)の事業や資産を継承し、守り、願わくは拡大させて、ファミリーを良い方向に導いてもらうことだ。そのための第一歩として、子どもを名門幼稚園や名門小学校に通わせる富裕層は少なくない。
そのような学校に入るためには、いわゆる「お受験」という難関がある。
本特集では「富裕層のお受験」と題して、お受験の実態、候補となる学校、なぜ富裕層はお受験をはじめ子息子女教育に積極的なのか、などについて見ていく。なお、本特集における「お受験」は、幼稚園受験もしくは小学校受験を指すと定義したい。
第1回は、東京圏の富裕層の子どもが集まる「御三家幼稚園」「御三家小学校」について。もちろん東京圏・東京圏外を問わず、これら以外にも素晴らしい学校はあるだろうが、この6校に関しては言えば、「親の富裕層純度」は折り紙付きだ。
御三家幼稚園
「あら、ごきげんよう」
シックな紺のスーツに身を包み、控えめなデザインだがひと目で高級品と分かるバッグを持ったマダムが、制服姿の小さな子どもの手を引いて、ポルシェ・カイエンやメルセデス・ベンツSクラスから降りてくる。ママ友を見つけたら上品な声で挨拶するーー。
平日朝の山手通りの松見坂、外苑西通りの西麻布交差点、第一京浜沿いの伊皿子坂ではありふれた光景だ。これらの地域には「御三家幼稚園」と呼ばれる名門幼稚園が存在する。
送り迎えは原則としてドレスコード必須。挨拶は「ごきげんよう」。卒園生の多くは慶應義塾幼稚舎をはじめ、私立大学の附属小学校に入学する。東京圏の富裕層の子どもが集まり、幼稚園お受験の代表格と言える。それぞれを見ていこう。