毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。
本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。
目次
金融業界ランキング
第1位:『1行書くだけ日記』(伊藤羊一著、SBクリエイティブ)
第2位:『楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?』(土屋裕介 / 小屋一雄著、プレジデント社)
第3位:『図解ストレス解消大全』(堀田秀吾著、SBクリエイティブ)
第4位:『やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ』(鈴木真理子著、明日香出版社)
第5位:『「ニューノーマル」最強仕事術』(濱田秀彦著、講談社)
第6位:『新版 20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ著、高遠裕子訳、CCCメディアハウス)
第7位:『あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』(森山至貴著、WAVE出版)
第8位:『ブレイクセルフ 自分を変える思考法』(伊藤羊一著、世界文化社)
第9位:『渋沢栄一とドラッカー』(國貞克則著、KADOKAWA)
第10位:『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』(高橋祥子著、NewsPicksパブリッシング)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年4月の閲覧数ランキング
1行書くことから、世界は変わる
今月の第1位は『1行書くだけ日記』です。とりわけ銀行関連領域にお勤めのユーザーから、大きな支持を受けた結果となりました。入社した時の同期のなかにも、いつの間にか抜きんでている人がいるものです。本書を読むと、そんな「いつの間にか成長している人」の秘密がわかるかもしれません。
著者の伊藤羊一氏によると、成長できる人は、普段の何気ない会話や日常の経験からでも気づきを得て、学ぶことができるといいます。では何気なく過ごしている日常から気づきを得るためにはどうすればいいのか? それが「1行日記」です。
「1行日記」を習慣にしている著者は、50代の今でも成長が加速しているといいます。本書では記入例とともに、1行日記の書き方が丁寧に解説されていますので、まずは1行書くことから、自分の行動や考えを書き留めてみてはいかがでしょう。
本書を特におすすめしたいのは、現状に満足していない人です。学ぶべきことがたくさんある毎日を、なんとなく過ごすのは実にもったいないこと。何歳からでも人は成長できます。「書く」ことをきっかけに、自分の行動が、ひいては生活が、そして人生が変わっていくのを感じられることでしょう。
「モーレツ社員」はもう通用しない
第2位にランクインしたのは、『楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?』。ある調査によると、社員が会社で働くことに誇りを持っている割合は、世界平均では7割を超えるのにかかわらず、日本では5割にも満たないといいます。
金融業界においても、長時間労働をなくす取り組みやリモートワークを推進する動きが盛んになっていると思いますが、それだけで仕事が「楽しくなるか」というと、正直疑問は残ります。もちろん労働環境は整えられるべきですが、仕事そのものをもっと楽しめるようにするには、現行の働き方改革とは違った取り組みが求められるのではないでしょうか。
本書は「エンゲージメント」という補助線を引きながら、「いい働き方」はどういうものなのかを、セルフ(個人)・ワーク(仕事)・ソーシャル(社会)という3つの観点からうまく整理しています。「どれか1つの歯車がうまく回らなければ、残りの歯車もうまく回らなくなる」という考え方は納得感が強く、長期的に楽しく快活に働くための視座を与えてくれるでしょう。
かつては社会や環境の問題など考えず、出世のためにライバルたちを蹴落とし、プライベートを蔑ろにする「モーレツ社員」が尊ばれていた時代もあったかもしれませんが、現代社会でもうそれは通用しません。私たちの時代の「働き方」、「生き方」を探求していきたい人に、ぜひお読みいただければと思います。
発売日:2020年03月04日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、人事
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朝、目覚めたら思い出すべきこととは?
第3位は『図解ストレス解消大全』でした。仕事には多かれ少なかれ、ストレスがつきものです。GWも終わり、なかなかモチベーションが高まらない……という方も少なくないはず。
本書は、日常生活で感じる大小さまざまなストレスを、ちょっとした工夫で軽減するための100の科学的な方法を紹介しています。朝、午前、お昼、午後、夜など、時間ごとのテクニックが解説されていますので、気になるものからやってみるといいでしょう。「朝、目覚めたら楽しい記憶を思い出す」など、どれも簡単な動作・習慣ばかりなので、気軽に実行できます。自分がイライラしやすい時間帯のものから試してみるのもいいかもしれません。
また、ストレス・マネジメントにおいては、最初からストレスを生み出さない環境を構築することも重要です。たとえば本書では「他人の攻撃を防御する科学的な方法」が紹介されています。人間関係で悩んでいる方は、ぜひこちらもあわせてチェックしていただければと思います。
ミスなく最短距離で仕事をするための「鉄則」
ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきたいと思います。
まず取り上げたいのが、第4位の『やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ』です。ミスはどの業種でも避けたいものですが、本書はとりわけ保険関連企業にお勤めのユーザーから読まれています。保険業界の性質を表していると言えるかもしれません。
「メールの送信先や宛名を間違えた」「ファイルを添付し忘れた」などのミスは働く上でつきものです。「数字が違う!」と上司に叱られて、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。しかし本書を読めば、ミスはむしろ自分自身を大きく成長させてくれるきっかけになることがわかります。
若手社員の方には、ぜひ本書で紹介されている77のワザを実践してみてください。ミスなく最短距離で業務を進められるようになるはずです。また、すでにさまざまなミス対策を実践されている中堅社員や管理職の方も、本書を通してミスを減らす取り組みの大切さをあらためて認識できるはずです。
「ずるい言葉」に正しく言い返すために
証券関連業界で最も読まれたのが、第7位の『あなたを閉じこめる「ずるい言葉」』。一見すると正しそうなのに、言われるとなんだかモヤモヤする……そんな経験はないでしょうか。そんなとき、本書が「ずるい言葉」に正しく言い返すための処方箋になってくれるかもしれません。
ここで紹介されている「ずるい言葉」は、「いちいち取り合っていたらそいつと同じレベルになっちゃうよ」、「あなたのためを思って言ってるんだよ」、「どちらの側にも問題があるんじゃないの?」など、どこかで耳にしたことのある言葉ばかりです。これらはあまりにもよく使われるため、気づけば自分も使ってしまいがちですが、はたしてそれが本当に問題解決に役立つのかというと、多くの場合「NO」なのではないでしょうか。
ずるい言葉は、ずるいコミュニケーションを生み出します。ずるい言葉に惑わされないために、そしてずるい言葉で他人を傷つけたりしないために、本書に書かれていることを心がけたいものです。それが健全なコミュニケーションを育み、ひいては職場環境を良くするのですから。
編集後記
今回の月間ランキングでは、ストレス・コーピングに関する書籍が多く読まれるという結果になりました。長引く自粛生活に加え、新年度が始まったことで、なにかとストレスを抱えやすいシーズンではございますが、書籍から得られるヒントを糧に、なんとか乗り切っていきたいものです。5月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。
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