楽天証券とSBI証券は、主要ネット証券のなかでも1、2の人気を集める証券会社です。どちらも手数料が低めに設定されていますが、取引する内容によっては手数料額に違いがあります。手数料の詳細を確認し、よりコストを抑えられる証券会社を選びましょう。

目次

  1. ネット証券大手の楽天証券とSBI証券。それぞれの特徴を紹介
  2. 楽天証券とSBI証券の手数料はどのくらい違う?
  3. 手数料の一部がポイントバックされる楽天証券。大口取引の優遇もあり
  4. PTS取引の手数料が安くなるSBI証券。外国株式が充実している点も魅力

ネット証券大手の楽天証券とSBI証券。それぞれの特徴を紹介

金融
(画像=lovelyday12/stock.adobe.com)

楽天証券とSBI証券は、ネット証券大手の証券会社です。まずは、それぞれの特徴と違いを確認しましょう。

新規口座開設数ナンバー1の楽天証券

楽天証券は、楽天グループに属するネット証券です。1999年に証券業登録を受け、2016年には証券総合口座開設数が200万件を突破。2020年3月には400万口座を達成しました。2019年には主要ネット証券における新規口座開設数第1位となるなど、人気証券会社の1つとなっています。

楽天グループに属する楽天証券では、グループ内のサービスで使える楽天ポイントを、取引に応じて貯めることができます。また、貯まった楽天ポイントでのポイント投資も可能です。

そのほか、同グループ内の楽天銀行との口座連携サービス「マネーブリッジ」も行っています。マネーブリッジに登録することで、投資資金の自動入出金や預金金利の優遇といったサービスを受けられます。

ネット証券口座開設数ナンバー1のSBI証券

SBI証券は、1998年に証券業登録を受け、1999年にインターネット取引サービスをスタートしたSBIグループのネット証券です。2020年2月には500万口座を突破し、2020年9月現在で主要ネット証券第1位の口座開設数となっています。

SBI証券には、取引内容に応じて、Tポイントが貯まるマイレージサービスがあります。貯めたポイントで、投資信託に投資することも可能です。Tポイントは、「Tカード番号登録」をすることで、他のTポイント提携先とまとめて管理・使用できます。

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楽天証券とSBI証券の手数料はどのくらい違う?

ネット証券である楽天証券およびSBI証券は、店舗型の証券会社に比べ手数料が安いという特徴があります。これは、店舗を持たないネット証券は店舗維持費や人件費が抑えられ、そのぶん手数料を安く抑えられるからです。

では、楽天証券とSBI証券では、手数料にどのくらいの差があるのでしょうか。ここからは、取引内容別にそれぞれの手数料を紹介します。

手数料1:国内株式現物取引

国内株式現物取引では、売買時に証券会社に支払う手数料が必要です。楽天証券とSBI証券は、どちらも1回の約定ごとに支払うプランと、1日の合計約定金額に応じて支払うプランがあります。まずは、1回の約定代金ごとに支払うプランの詳細を、表1にまとめます。

▽表1.楽天証券およびSBI証券の国内株式現物取引手数料(約定代金ごと:税抜き)

1回の約定代金額 楽天証券(超割コース) SBI証券(スタンダードプラン)
5万円まで 50円
10万円まで 90円
20万円まで 105円
50万円まで 250円
100万円まで 487円
150万円まで 582円
3,000万円まで 921円
3,000万円超 973円

1日の合計約定代金に応じて手数料がかかるプランでは、楽天証券とSBI証券の手数料額に差があります。詳細を表2で確認しましょう。

▽表2.楽天証券およびSBI証券の国内株式現物取引手数料(1日合計約定金額ごと:税抜き)

1日の合計約定代金 楽天証券(いちにち定額コース) SBI証券(アクティブプラン)
50万円まで 0円 0円
100万円まで 858円
200万円まで 2,000円 1,162円
200万円超 300万円まで3,000円。以降、100万円増えるごとに1,000円追加 100万円増加ごとに400円ずつ増加

手数料2:国内株式信用取引

国内株式信用取引手数料の手数料体系は、楽天証券とSBI証券では少し異なります。楽天証券の手数料は表3のとおりです。

▽表3.楽天証券における国内株式信用取引の手数料

1回の約定代金 手数料額(税抜き)
10万円まで 90円
20万円まで 135円
50万円まで 180円
50万円超 350円

楽天証券では表3のほかに、デイトレード専用の信用取引サービス「いちにち信用」もあります。いちにち信用を利用する人は、信用取引にかかる売買手数料は0円です。

SBI証券の信用取引では、1注文ごとに手数料がかかるスタンダードプランと、1日合計約定代金に手数料がかかるアクティブプランがあります。

▽表4.SBI証券における国内株式信用取引の手数料(税抜き)

約定代金(プランにより、1回もしくは1日合計) 約定日の前営業日の未決済建玉の建玉代金合計または約定日の前営業日の新規建約定代金合計
5,000万円未満 5,000万円以上
スタンダードプラン アクティブプラン スタンダードプラン
~10万円 90円 0円 0円
~20万円 135円
~50万円 180円
50万円超 350円 ~100万円は477円。以降、100万円増加ごとに400円ずつ増加

手数料3:PTS取引

PTS取引とは、証券取引所を介さず株式を売買できる私設取引システムです。PTSを利用することで、証券取引所が閉まっている時間でも株取引が可能になります。楽天証券およびSBI証券のPTS取引時間は、以下のとおりです。

  • 楽天証券:8時20分~16時/17時~23時59分
  • SBI証券:8時20分~16時/16時30分~23時59分

このように夜間早朝に取引できるPTS取引は、日中に投資ができない人にリアルタイムな投資環境を提供するサービスだといえるでしょう。夜間のニュースや時差がある海外市場の動向を、即座に取引に反映することもできます。PTS取引の手数料は、それぞれ以下のように設定されています。

  • 楽天証券:選択している、国内株式手数料コースが適用されます。「いちにち定額コース」の場合、PTS夜間取引の手数料は翌営業日の日中取引と合算されます。
  • SBI証券:SBI証券では、8時20分~16時のデイタイムセッションは証券所取引より5%程度安くなります。16時30分以降のナイトタイムセッションは、手数料が0円です。

手数料4:外国株式と海外ETF

楽天証券およびSBI証券は、外国株式や海外ETF(イーティーエフ:上場投資信託)の取り扱いもあります。分散投資の1つとして外国の資産を検討している人は、外国株式や海外ETFの手数料を事前に確認することも重要です。

外国株式や海外ETFは、投資する国によっても手数料が異なります。また、証券会社によって取り扱う国の種類にも差があります。ここでは、楽天証券とSBI証券それぞれが取り扱う海外株式の種類と手数料を紹介します。

・楽天証券の外国株式および海外ETF売買手数料
楽天証券で取り扱うのは、米国および中国、アセアン株式です。手数料は、1取引毎に発生します。

▽表5.楽天証券における外国株式および海外ETFの売買手数料

区分 手数料額(税抜き)
米国株式米国上場ETF/ETN(イーティーエヌ:上場投資証券) 約定代金の0.45%(最低手数料0ドル/最高22米ドル)楽天証券指定の米国ETFについては、買い付け手数料無料
中国株式香港上場ETF 10万円まで 500円
10万円超100万円未満 0.50%
100万円以上 5,000円
アセアン株式シンガポール上場ETF 約定代金の1%(最低手数料500円)

・SBI証券の外国株式および海外ETF売買手数料
SBI証券では、9カ国の外国株式への投資が可能です。海外ETFの手数料は、上場する国の外国株式手数料に準じます。

▽表6.SBI証券における外国株式および海外ETFの売買手数料

区分 手数料額(税抜き)
米国株式 約定代金の0.45%(最低手数料0ドル/最高20米ドル)SBI証券所定の米国ETFは買付手数料無料
中国株式 約定代金の0.26%(最低手数料47香港ドル/最高470香港ドル)
韓国株式 約定代金の0.9%(最低手数料9,000韓国ウォン)
ロシア株式 約定代金の1.2%(最低手数料500ロシアルーブル)
ベトナム株式 約定代金の2%(最低手数料120万ベトナムドン)売却時は売却代金の0.1%をキャピタルゲイン税として支払い 売却代金が最低手数料に満たない場合は、約定代金の50%が手数料
インドネシア株 約定代金の1%(最低手数料23万8,000インドネシアルピア)売却時には損益に関わらず、売却代金の0.1%を売却税として支払い
シンガポール株式 約定代金の1%(最低手数料28シンガポールドル)
タイ株式 約定代金の1%(最低手数料761タイバーツ)
マレーシア株式 約定代金の1%(最低手数料76マレーシアリンギット)

手数料5:投資信託

投資信託に必要な手数料は、購入時にかかる購入時手数料および、保有中に必要な信託報酬、売却時の信託財産留保額です。各手数料額はファンドごとに定められていますが、購入時手数料は販売会社(取引する金融機関)により差が出ることがあります。

楽天証券およびSBI証券で取り扱っている投資信託は、原則として購入時手数料が無料(ノーロード)です。また、外貨建てMMF(エムエムエフ:公社債投資信託)の取引手数料も無料です。ただし、外貨建てMMFへの投資における為替取引時には、為替スプレッドが発生します。

楽天銀行とSBI証券の手数料の違い一覧

ここまでに紹介した楽天証券とSBI証券の手数料の特徴と違いを、表7にまとめます。

▽表7.楽天証券とSBI証券の手数料の特徴と違い

項目 楽天証券
国内株式現物取引 1注文ごと 手数料は同じ
1日の合計約定金額ごと 両証券会社とも50万円までは手数料無料50万円超はSBI証券のほうが安い
国内株式信用取引 いちにち信用利用者は手数料無料
PTS取引 選択している国内株式手数料コースが適用される
外国株式 米国株式取引手数料は同じその他は国により異なる
投資信託 購入時手数料無料(ノーロード)外貨建てMMF取引手数料無料

手数料の一部がポイントバックされる楽天証券。大口取引の優遇もあり

楽天証券では、1注文ごとに手数料が計算される「超割コース」において、手数料がお得になる2つのサービスがあります。

楽天証券のサービス1:大口優遇

大口優待の条件を満たした場合、国内株式現物取引手数料および信用取引手数料が表8のとおり優遇されます。

▽表8.大口優待での国内株式現物取引および信用取引手数料

約定金額 現物取引手数料(税抜き) 信用取引手数料
5万円まで 0円 0円
10万円まで
20万円まで 100円
50万円まで 238円
100万円まで 426円
150万円まで 509円
3,000万円まで 806円
3,000万円超 851円

大口優待達成の条件は、表9のとおりです。なお、条件達成後は3カ月に渡り大口優待を受けられます。

▽表9.楽天証券における大口優待達成条件

区分 取引の種類 条件
まいにち判定(達成すると翌営業日から大口優待が適用) 信用取引 ・本日の新規建約定金額の合計が5,000万円以上
・1カ月の新規建約定金額の合計が5億円以上
・本日15時30分時点の信用建玉残高が5,000万円以上
まいつき判定(達成すると翌月から大口優待が適用) 貸株 1カ月の平均残高が5,000万円以上
投資信託 1カ月の平均残高が5,000万円以上

楽天証券のサービス2:ポイントバックプログラム

ポイントバックプログラムは、所定の取引手数料のうち1%(大口優待では2%)がポイントバックされるサービスです。ポイントバックの対象となる商品には、以下があります。

  • 国内株式取引(現物・信用)
  • 外国株式取引
  • 日経225先物取引(ラージ・ミニ)
  • 海外先物
  • 金・プラチナ取引

大口での投資や楽天グループのサービスをよく利用する人は楽天証券を検討

ネット証券である楽天証券は、そもそも手数料が安い証券会社です。加えて、大口優待やポイントバックプログラムを利用すれば、さらにお得な手数料で取引ができます。大口での投資や、楽天グループのサービスをよく利用する人は、楽天証券を検討してみましょう。

PTS取引の手数料が安くなるSBI証券。外国株式が充実している点も魅力

SBI証券も楽天証券と同様に手数料水準が低い証券会社の1つですが、そのなかでもPTS取引の手数料が低い点が特徴です。証券取引所の時間外における取引はもちろん、日中もPTS取引を活用することで、より手数料を抑えた投資が可能になります。

また、SBI証券は外国株式が充実している点も魅力の1つです。米国や中国だけでなく、ロシアやアジア各国など、幅広い国の資産を投資に組み入れることができます。このように、PTS取引を活用した売買や、外国への分散投資などによる積極的な資産運用を希望する人は、SBI証券も選択肢となるでしょう。

文・N.ヤマモト
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている