「株式投資を始めたいけれど、難しそう」「株式投資は初心者だと失敗しそうで、躊躇してしまって始められない」「株式投資、いくらから始められるの?」

投資の初心者としては、株式投資を始めるときに、いろいろと疑問や不安があるのではないでしょうか。

株式投資は、初心者でも簡単に始めることができます。銘柄によっては、数万円から始められるものもあります。しかし、株式投資をスムーズにスタートさせて成功するには、取引方法などの基本的な事項はもちろん、初心者ならではの注意点やコツについて、あらかじめ知っておくことが大切です。この記事では初心者の方にもわかりやすく、株式投資の「基本のき」をお伝えします。

目次

  1. 1.株式投資の基本とは?株式投資で儲ける仕組みとメリット
    1. 1-1.株式投資で利益を得る仕組み
    2. 1-2. 株式投資の3つのメリット
  2. 2.株を始めるときの基礎知識1:口座開設の手順
    1. 2-1.証券会社を決めよう
    2. 2-2.証券会社が決まったら証券総合取引口座を開設しよう
  3. 3.株を始めるときの基礎知識2:入金~株を注文、購入する
    1. 3-1.開設した証券総合取引口座へ入金しよう
    2. 3-2.購入する銘柄を決めよう:買いたい銘柄はどうやって選ぶ?
    3. 3-3.「指値注文」か「成行注文」か決めよう
  4. 4.株式投資の注意点と対策方法
    1. 4-1.注意点1:値動きの幅が大きい
    2. 4-2.注意点2:ある程度まとまった資金が必要な株もある
    3. 4-3.注意点3:投資した企業が倒産する可能性がある
  5. 5.初心者が株式投資で失敗(損)しないためのコツ・知っておきたい7つのポイント
    1. 5-1.「投資の目標」を設定する
    2. 5-2.「投資の目標」と併せて、「損失の許容額」も決めておく(=塩漬け株を放置しない)
    3. 5-3.少額から取引をスタートさせる
    4. 5-4.売却益だけでなく配当金や株主優待も利益として考える
    5. 5-5.使い道がない資金で投資をする
    6. 5-6.自分に合った投資スタイルを選ぶ
    7. 5-7.手数料なども比較して、自分に合った証券会社を選ぶ
  6. 6.株式投資のスタートは証券会社選びから
    1. 6-1.顧客へのフォローが充実している店舗型
    2. 6-2.利便性と手数料の安さが強みのネット証券
  7. まとめ:株式投資を成功させるポイントは「目標の設定」+「コストを抑えた投資」

1.株式投資の基本とは?株式投資で儲ける仕組みとメリット


▽株主と株式会社の関係

1-1.株式投資で利益を得る仕組み

投資家は、企業が資金調達の手段として発行した「株式」を購入することで「株主」になれます。その後、出資した企業の業績や価値が上がれば、株式自体の値上がり益や配当金による利益を得られます。これが株式投資で利益を得る仕組みです。

1-2. 株式投資の3つのメリット

株式投資には、主に次の3つのメリットがあります。

・メリット1:株式の値上がり益(キャピタルゲイン)を得られる
キャピタルゲインとは、購入時よりも高い株価で株式を売却したときに得られる「売却差益」のことです。たとえば、10万円で購入した株式を13万円で売却した場合、キャピタルゲインは3万円となります。

株式投資は、その他の金融商品に比べ、値動きが大きい傾向があります。そのため、安い株価で購入した銘柄が何倍にも値上がりするなどすれば、大きな利益を得られるケースもあるのです。
 
ただし、株価が安い銘柄が必ず値上がりするとは限りません。銘柄を選ぶうえで重要なのは、成長性や将来性です。キャピタルゲインを得るためには、過去の株価のデータや市場の動きを確認する必要があります。

・メリット2:保有し続けることで得られる利益(インカムゲイン)が見込める
インカムゲインとは、株式を保有している間に得られる利益をいいます。具体的には、「配当」と「株主優待」です。

配当
企業活動により得られた利益を株主に還元するもので、金額は決算により決まります。

株主優待
企業が取り扱う製品やサービスなどを株主に贈る制度です。割引券や工場見学の招待券などが贈られることもあります。

・メリット3:会社の経営に携わることができる
株主になることで、会社の経営に携わることができます。株式を保有している人は、株主として株主総会に出席し、決議に参加する権利を得ます。株主総会では、新株発行や会社の解散・合併などといった、経営に関わる重要事項が決定されます。重要事項決定の際に票を投じることができるのも、株主ならではのメリットといえるでしょう。

【ポイント】値上がりする株価の見分け方とは?

値上がりが期待できるのは、一般的にバリュー株(割安株)およびグロース株(成長株)といわれます。バリュー株とは、企業の本来の価値よりも株価が低い状態の銘柄をいいます。グロース株とは、将来性や成長性が高い銘柄です。

バリュー株やグロース株を自分で見つけるのが難しい場合は、証券会社などが提供しているスクリーニングサービスを利用し、各種指標を使って検索するとよいでしょう。

2.株を始めるときの基礎知識1:口座開設の手順

ここでは、株式投資を始める際の具体的な手順の最初のステップとして、証券総合取引口座の開設手順を見ていきます。

2-1.証券会社を決めよう

株式投資は、証券会社を選ぶことから始まります。なお、初心者でも安心して使える証券会社については6章で紹介していますので参考にしてください。

2-2.証券会社が決まったら証券総合取引口座を開設しよう

証券会社が決まったら、「証券総合取引口座(以降、特定名以外は口座と表記)」を、以下の手順で開設します。

(1)証券会社に口座の開設申し込みをして(webまたは書類)、名前や住所などを入力(記入)する
(2)本人確認書類(運転免許証など)、マイナンバーを提出する(web上にアップロードする、または確認書類を用意して申込書類と一緒に送付する)
(3)口座開設が完了(最短で翌営業日。書類送付の場合は日数がかかる)
 

【ポイント】証券総合取引口座の3つの種類

株式投資に必要な口座には3種類あり、それぞれ納税方法などが異なるため、事前に確認して開設することが大切です。なお、どの口座を選んだとしても、配当金や分配金の税金は源泉徴収されます。

A.原則として確定申告不要の「特定口座(源泉徴収あり)」 「特定口座(源泉徴収あり)」

では、売却益にかかる税金が源泉徴収されます。また、口座内の取引は自動で損益通算されるため、原則として確定申告の必要がなく、初心者でも利用しやすい口座といえるでしょう。

B.確定申告が必要な「特定口座(源泉徴収なし)」

「特定口座(源泉徴収なし)」では、売却益が源泉徴収されないため確定申告が必要です。口座内の取引を損益通算する場合にも確定申告をします。なお、特定口座(源泉徴収なし)においても、特定口座年間取引報告書が発行されます。そのため、確定申告にかかる手間はそれほど大きくありません。

C.未公開株の購入を希望するなら「一般口座」

「一般口座」も、譲渡益の源泉徴収や口座内の損益通算がされないため確定申告が必要です。また、年間取引報告書が発行されないため、投資家自身が取引内容を計算した報告書を作成し確定申告する必要があります。確定申告の手間は大きいものの、未公開株の取引ができるのは一般口座のみです。初心者向けではありませんが、未公開株の取引をやってみたい人は、一般口座を開設しましょう。

なお、Aを選んだ場合でも、BまたはCの証券総合取引口座内で発生した損益と損益通算する場合には、確定申告が必要です。その際は、証券会社から発行される特定口座年間取引報告書を利用しましょう。

3.株を始めるときの基礎知識2:入金~株を注文、購入する

口座を開設した後、実際に取引する手順を見ていきましょう。

3-1.開設した証券総合取引口座へ入金しよう

証券総合取引口座を開設したら、入金しましょう。入金には、以下の方法があります。

  • オンライン振込(ネットバンキングを利用)
  • 銀行振込
  • ゆうちょ銀行からの振替入金
  • ATMからの入金

入金後できるだけ早く取引をしたい人は、オンライン振込を選びましょう。その他の入金方法の場合、入金が確認され取引が可能になるまでに、時間がかかることがあります。

3-2.購入する銘柄を決めよう:買いたい銘柄はどうやって選ぶ?

購入する株の銘柄を決めましょう。とはいえ、「買いたい銘柄」をどう選べばよいか、悩んでいる方もいるかもしれません。

初めて銘柄を選ぶ際には、以下の3点に注目してみてください。この選び方は1-2の「株式投資の3つのメリット」とも連動しています。

(1)業績が良く、株価が値上がりしている
企業が成長し続けており今後も好調な業績が見込める、株価が安定して右肩上がりである、などから判断します。その他、東証一部上場企業で安定している、取引量が多いなども目安となります。特に初心者の場合は、東証一部上場企業から選ぶことで、安定した銘柄から株式投資をスタートできる可能性が高まります。

(2)株式を持つことで得られる配当や優待に魅力がある
配当金が多い、株主優待が魅力的などの観点で選びます。株主優待は商品のほか、商品券や割引券などの金券、サービスが受けられる特典、企業の所在する地方の特産品などがもらえるケースもあります。

(3)応援したい企業、自分にとって身近でよく知っている企業
その企業の出している商品のファンであるケース、とても身近で毎日のように使っているサービスを提供しているケースなどです。例えば、ある商品について「これはとてもいい!」と思うのであれば、その商品は今後、ほかにも多くの人に支持される可能性があります。多くの人に支持されるということは、企業の業績が上がることにつながるため、「好き」「便利」と感じたから株を買うことは、本来の「投資」の意味に最も近いともいえます。

購入する銘柄が決まったら「指定」します。指定するには、4桁の銘柄コードを用います。銘柄コードがわからない場合は、企業名などで検索してもよいでしょう。

3-3.「指値注文」か「成行注文」か決めよう

購入銘柄を指定した後は、注文方法を決めます。購入方法には、「指値(さしね)注文」と「成行(なりゆき)注文」があります。

・指値注文
投資家が売買金額を自分で決めて(指定して)注文する方法です。

例えば、「600円の指値で1,000株の買い注文」をする場合、指定した銘柄の株価が600円以下になれば注文が成立します。「1,000円で2,000株の売り注文」をする場合、指定した銘柄の株価が1,000円以上になれば注文が成立します。

・成行注文
具体的な金額を指定せずに取引する方法です。投資家が売買の注文をすれば、すぐに取引が成立します。

指値注文と成行注文のメリットおよび注意点は、表1のとおりです。

▽表1.指値注文と成行注文のメリットおよび注意点

  指値注文 成行注文
メリット 投資家が約定(やくじょう)する価格を決められるため、投資の目標や計画を立てやすい 売買をしたいと思ったタイミングですぐに取引ができる
注意点 指定した金額によっては、なかなか注文が成立せず、売買のタイミングを逃す可能性もある 投資家が想定していた範囲外の価格で約定される可能性がある

このように、指値注文は売買の「価格」、成行注文は売買の「タイミング」を重視した注文方法といえます。投資家は、自分の目指す投資スタイルや売買時の状況に合わせて、より有利な注文方法を選ぶことが大切です。

【参考】NISAを利用するならNISA口座の開設も必要
株式投資は、少額投資非課税制度であるNISA口座でも取引ができます。利用したい人は、証券総合取引口座と併せてNISA口座の申し込みもしましょう。NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの口座がありますが、20歳以上の人が自分の資産運用としての株式投資ができるのは一般NISAです(つみたてNISAの対象商品は投資信託とETFのみ)。


・NISA口座で投資するメリット

NISA口座で取引するメリットは、売却益や配当金にかかる20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金が非課税となる点です。これにより、投資のコストを削減した効率のよい運用を目指すことができます。一般NISAの概要を表2で確認します。

▽表2.一般NISAの概要

項目 詳細
口座を開設できる人 日本在住の20歳以上の人
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円(5年最大600万円)
非課税期間 最長5年

一般NISAの非課税期間は最長5年ですが、ロールオーバー(翌年の非課税投資枠へ移管)することで最長10年まで延長できます。



・NISA口座開設にあたっては税務署の審査が行われる
NISA口座の申し込みは、証券総合取引口座を開設する証券会社で行います。開設手続きには、以下の書類を準備しましょう。

●NISA申請書:非課税適用確認書の交付申請書 兼 非課税口座開設届出書
●本人確認書類:運転免許証や健康保険証など
●マイナンバー書類:マイナンバーカードや通知カードなど

NISA口座の開設にあたっては、税務署の審査が行われます。これは、1人で複数のNISA口座を開設していないかなどのチェックをするためです。なお、税務署の審査は口座開設の申し込みをした証券会社を通じて行われるため、特に開設した人が何かすることはありません。



・申し込みから口座開設までの目安は2~3週間:同時開設は要確認
上記のとおり、NISA口座の開設は税務署の審査などがあるため2~3週間かかります。NISA口座での投資を早く始めたいと考えている人は、開設手続きを前もって進めておくことが重要です。また、証券総合取引口座とNISA口座を同時に申し込んだ場合には、両方が開設されたことを確認したうえで取引を行いましょう。NISA口座が未開設の場合、課税口座(特定口座や一般口座)での取引となってしまい、非課税のメリットはなくなります。

4.株式投資の注意点と対策方法

ここでは、株式投資をするうえでの3つの注意点と、それぞれの対策方法を解説します。

4-1.注意点1:値動きの幅が大きい

株は、値動きの幅が大きいのが特徴です。たとえば、日常的に買える物の値段が1日に何百円~何千円も上がったり下がったりすることはまずありません。1年間で見ても同様でしょう。しかし、株価は1日、1週間、1カ月、1年の間で大きく上下します。

この株価の仕組みにより、「安く買って高く売る」ことができれば、大きな利益を目指すことができます。一方、「高く買って安く売った」ことになると、損失が想定外に大きくなる可能性もあります。

【対策:余剰資金で購入する】
値下がりが心配な人や株式投資初心者は、余剰資金(手元に無くても困らない資金)から投資するとよいでしょう。

4-2.注意点2:ある程度まとまった資金が必要な株もある

株式投資には、ある程度まとまった資金が必要です。何故なら、株式が「単元」と呼ばれる売買単位で取引されるからです。国内企業の売買単位は、1単元=100株です。

たとえば、株価が6,000円で単元株が100株の銘柄の場合、最低投資金額は60万円(6,000円×100株)になります。株価がさらに高い企業への投資では、数百万円の資金が必要になることもあります。
【対策:少額で購入できる銘柄や、単元未満株の取引を探す】
株価によっては、上場企業でありながら5万円程度から取引できる銘柄も存在しています。無理をせず少額で購入できる銘柄を探してみましょう。

また、証券会社によっては単元未満株(端株)の取引ができることがあります。単元未満株は単元株に満たない株数で取引ができるため、株価が高い銘柄への投資や、複数の銘柄に分散投資する場合に便利です。単元未満株でも、株数に応じた配当金は受け取れます(株主優待は、通常、単元株以上を保有している株主を対象としています。なかには単元未満株でも株主優待が受け取れるケースもあるので、事前に確認が必要です)。

4-3.注意点3:投資した企業が倒産する可能性がある

株式投資で最も避けたいのは、投資した企業が倒産してしまうケースです。この場合、保有している株式の価値は、ほとんどなくなってしまう(最悪の場合、0になる)可能性があります。

【対策:要注意銘柄を見分ける・少額から始める・分散投資する】
「取引されている量が他と比較して著しく少ない」「企業の実態がよくわからない」「値動きが短期間で激しすぎる」などの企業に投資することは避けましょう。少額で投資を行うことも万が一の際の損失を防ぐのに有効です。さらに、一つの株にのみ資産を集中投資するのではなく、リスクを分散させるために、可能ならばいくつかの銘柄に分けて投資しましょう。

【参考】初心者が株式投資するなら、いくらから始めればいいの?

どれくらい投資するかは個々人の総資産や投資スタイルによって異なります。そのため「この金額から始めるべき」とは一概にはいえません。

しかし、次の章でも説明していますが、初心者は「余剰資金で」「少額から」投資を始めたほうがよいといえます。具体的には、最低で10万円程度と考えましょう。理由としては以下のとおりです。

●10万円あれば、東証一部上場企業の安定銘柄で購入できるものがある
●手数料を差し引いても、10万円なら利益が出せる可能性がある
●投資額10万円ならば、損失が出てもそれほど大きな痛手にはならない


ただし、10万円では分散投資が難しいというデメリットがあることはおさえておいてください。株式投資を始める金額の、ひとつの目安と考えましょう。


5.初心者が株式投資で失敗(損)しないためのコツ・知っておきたい7つのポイント

株式投資で失敗しないためには、いくつかのポイントをおさえておくことが大切です。ここでは、「株式投資で失敗しない、成功のためのポイント」を7つに分けて説明します。

5-1.「投資の目標」を設定する

株式投資では、「投資の目標」を設定することが非常に重要です。

株式投資において「最大の利益」ばかりを狙い続けていると、売買のタイミングを逃してしまう可能性があります。そのような状態を避け安定的な資産の増加を目指すには、あらかじめ決めた投資の目標をクリアした時点で、利益を確定させることが肝心です。

理由として、株価はさまざまな要因により、毎日変動します。底値で株を購入し天井値で売却できれば、最大の利益を得ることができるでしょう。しかし、実際にはいつが底値や天井値だったかは、後になってみないとわかりません。よって、「理想通りに最大の利益を得ることは基本的にできない」ことを念頭に置いておく必要があるのです。
 
たとえば、50万円の投資で、目標の利益を3%に設定している場合は、1万5,000円値上がりした時点で売却し利益を確定させましょう。目標にした利益を着実に積み上げていくことが、株式投資による大きな損失を防ぐポイントといえます。

5-2.「投資の目標」と併せて、「損失の許容額」も決めておく(=塩漬け株を放置しない)

株式投資では、先述の「投資の目標」と併せて、「損失の許容額」も決めておく必要があります。設定した許容額よりも損失が大きくなったときには、速やかに売却して新たな投資を考えましょう。

特に重要なのが、塩漬け株を放置しないことです。「塩漬け」とは、購入時よりも株価が下落し含み損がある状態で保有し続けることをいいます。
 
含み損が出ている株は、「また値上がりするかもしれない」といった期待から、売却のタイミングを計りづらいものです。しかし、将来値上がりするかどうかは確実ではありません。場合によっては、さらに株価が下がり含み損が大きくなる可能性もあります。そのため、塩漬け株はずるずると放置せず、適切なタイミングで損切り売却することが重要です。
 
では、塩漬け株はいつ売却すればよいのでしょうか?それは、投資家自身が購入時に決めた「許容できる損失」を超えたときです。例えば、購入時より10%値下がりしたとき、15%値下がりしたときなど、自身で損切りラインを設定しましょう。

このように株式投資では、「投資の目標」「損失の許容額」両方をあらかじめ決めておくことが大切なポイントです。

5-3.少額から取引をスタートさせる

株式投資が初めてという初心者の方は、最初は少額から始めましょう。少ない金額で、株式投資の仕組みを実際に学び、慣れることを目的として行います。慣れてきたら、少しずつ額を増やし、それに合わせて「投資の目標」「損失の許容額」の設定も変えてチャレンジしてみるとよいでしょう。

5-4.売却益だけでなく配当金や株主優待も利益として考える

株式投資で得た利益を計算する際には、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせて考えましょう。
株式投資での利益というと、売却益(キャピタルゲイン)だけを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし1章で解説したとおり、株式投資で期待できる利益にはキャピタルゲインだけではなくインカムゲインも含まれています。
 
仮にキャピタルゲインが少なかったり、売却損が出たりしたとしても、長期保有によりインカムゲインを積み上げていれば、総合的な損益はプラスになることも十分考えられます。このように、株式投資ではキャピタルゲインとインカムゲインを組み合わせて利益を狙うこともポイントの1つです。

5-5.使い道がない資金で投資をする

株式投資では、使い道がない資金(=余剰資金)を使いましょう。

常に値動きがある株式投資においては、自由なタイミングで株式の売買ができることが重要になります。使う予定がある資金を投資していると、利益が出ていない、もしくは利益が目標額に達していない状態でも、売却による現金化を余儀なくされることもあります。投資家にとって有利な売買のタイミングを見極められるよう、長期で使い道が決まっていない資金で投資を始めましょう。

5-6.自分に合った投資スタイルを選ぶ

株式投資には、数時間~数日単位で売買を行う短期投資と、長く保有していく長期投資の2つのスタイルがあります。株式投資の初心者には一般的に長期投資が向いています。投資に使える時間が比較的多い人や集中して株を学びたい人の場合は、短期投資からチャレンジしてもよいかもしれません。

5-7.手数料なども比較して、自分に合った証券会社を選ぶ

利用する証券会社ごとに、取引に必要な手数料、提供されるサービス内容などが異なります。自分の目指す投資に合っている証券会社を、比較して選びましょう。これは次の6章でも詳しく説明します。

6.株式投資のスタートは証券会社選びから

株式投資を始めるにはまず、証券会社を選び証券総合取引口座を開設することは説明しました。売買手数料や取扱銘柄数・アフターフォロー、付随するサービスなどは、証券会社により異なります。口座開設にあたっては、いくつかの証券会社を比較検討し、投資方針に合った証券会社を選ぶことが大切です。ここでは、証券会社を店舗型とネット型に分け、それぞれの特徴を紹介します。

6-1.顧客へのフォローが充実している店舗型

店舗型の証券会社の魅力は、顧客に対するフォローが充実している点です。口座開設や商品売買に不安がある人でも、窓口で担当者に確認しながら手続きを進めることができます。また、保有する株式の現状など投資内容についての相談もできるため、投資初心者にとっては安心できる証券会社だといえるでしょう。
 
なお、店舗型の証券会社は、ネット型に比べ手数料が高めに設定される傾向があります。また、取り扱い銘柄数も限られることがあるので、あらかじめ確認しておくと安心です。

6-2.利便性と手数料の安さが強みのネット証券

ネット証券は、利便性と手数料の安さが魅力の証券会社です。パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末とインターネット環境さえあれば、いつでもどこでも株取引ができ便利です。また、人件費や店舗維持費が少ないぶん、手数料を安く抑えられる強みもあります。時間や場所にとらわれずに株取引をしたい人や、コストを抑えた運用を目指したい人はネット証券を選びましょう。

ここでは、ネット証券のサービス内容について、SBI証券と楽天証券を例にさらに詳しく解説します。

(1) SBI証券:ネット証券口座開設数第1位!

SBI証券は、ネット証券における口座開設数および、NISA口座開設数が第1位の証券会社です。SBI証券のサービス概要を、表3にまとめます。
 
▽表3.SBI証券のサービス概要
 

項目 詳細
手数料(税別) 現物スタンダードプラン(1注文の約定代金をもとに決定) ・5万円まで…50円
・10万円まで…90円・20万円まで…105円
・50万円まで…250円
・100万円まで…487円
現物アクティブプラン(1日の約定代金の合計をもとに決定) ・100万円まで…0円
・200万円まで…1,162円
独自取引ツール 「HYPER SBI」スマートフォンにも対応。ドラッグ&ドロップ操作で簡単に取引ができる。投資情報も充実
提携ポイント 取引に応じてTポイントが貯まる1ポイント1円として、投資信託を購入できる

【その他の特徴】
SBI証券には夜間取引が可能な「PTS取引」があります。8時20分~23時59分(16時~16時30分を除く)に取引ができるため、日中の売買が難しい人でも株取引が可能です。

(2) 楽天証券:顧客満足度第1位!
楽天証券のサービス概要は表4のとおりです。
 
▽表4.楽天証券のサービス概要
 

項目 詳細
手数料(税別) 超割コース(1注文の約定代金をもとに決定) ・5万円まで…50円・10万円まで…90円・20万円まで…105円・50万円まで…250円・100万円まで…487円
いちにち定額コース
(1日の約定代金の合計をもとに決定)
・100万円まで…0円
・200万円まで…2,000円
独自取引ツール ・MARKET SPEED(パソコン向け)
・i SPEED(スマートフォン向け)
i SPEEDは、パソコン並みの情報と操作性を備える。生体認証によるロック解除機能もある
提携ポイント 取引に応じて楽天ポイントが貯まる
1ポイント1円として、楽天市場や楽天トラベルといった楽天グループで利用できる

【その他の特徴】
楽天銀行で口座を保有している人は、楽天証券の口座と連携させることで預金金利の優遇を受けられるメリットもあります。

まとめ:株式投資を成功させるポイントは「目標の設定」+「コストを抑えた投資」

この記事では株式投資とは何か、株式投資のメリット、株式投資を始めるための具体的な手順、銘柄や証券会社の選び方、初心者が株式投資を始める際の注意点について説明しました。

株式投資を成功させるには、利益目標や許容損失を設定し、譲渡益や配当金・株主優待を着実に積み上げていくことが重要です。
 
そのほか、手数料や税金といったコストを抑えることで運用の効率を上げることも、株式投資の重要なポイントです。コストをできるだけ抑えるためには、ネット証券やNISA口座の活用も検討しましょう。証券会社ごとのサービス内容などを比較し、自分の目指す株式投資が実現できる証券会社を選んでください。

株式投資は決して難しいものではありません。この記事を参考に、株式投資での成功を目指していただければ幸いです。