世界有数の大手銀行Bank of America Corp(バンク・オブ・アメリカ)が、ブロックチェーン企業Paxosが開発する株取引のネットワークに参加していることがわかった。20日、Bloombergが報じた。
今回のネットワーク参加について両社とも公式発表していないが、Paxosが公式TwitterでBloombergの記事をリツイートしているため、半ば事実と認めた格好だ。
Bloombergの報道によると、Paxosの独自ネットワークを使ったブロックチェーン技術を利用すると株式取引が数日ではなく数分で決済が行えるという。また、同報道ではバンク・オブ・アメリカの参加で、ウォール街にもブロックチェーン技術が認められつつあるとの見解を示した。
バンク・オブ・アメリカの幹部Kevin McCarthy氏は、これまで過去数ヶ月間、内部取引でこのテストを行っており、清算機関として承認されれば、次は顧客にサービスを提供する予定だと述べた。また、同氏はPaxosが提供するシステムは柔軟性とコスト削減を可能にし、銀行にとって魅力的であると語った。
Paxosはビットライセンスを所有する米国企業だ。昨年に暗号資産(仮想通貨)サービスを開始したPayPalのサポートも行っている。昨年には国法銀行の設立に向け、米通貨監督庁(OCC)に申請書も提出。その後、先月23日にはOCCから条件付き認可を取得した。
現在、バンク・オブ・アメリカはウォール街において株式取引の決済をDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)で行なっている。
DTCCとは金融市場に清算および決済サービスを提供する米国の取引後金融サービス会社だ。買い手と売り手に代わって証券の交換を行い、証券の中央保管を提供することにより、中央証券保管庫として長年機能している。
現在、DTCCでは株式市場で午前11時30分までに記録された取引だけがその日に決済されるため、1日に取引される全銘柄の75%しか決済されない問題が生じていた。
Paxosのシステムでは、まだ一部の株式であるが取引を数分で決済することが可能だ。
McCarthy氏は、「Paxosシステムを使えば株式の決済サイクルを『T+0(約定日と決済日が同日)』にすることができる」と強調。そうすることで、「これまでオーバーナイトベースで計上しなければならなかった担保を解放することができ、資産収益率の向上につながる期待が持てる」と自信を覗かせた。(提供:月刊暗号資産)