名誉職から性質を変え、稼げる新たな職業となった「顧問」。今や顧問市場まで誕生し拡大は必至だ。特集「顧問という働き方」の第2回は、顧問の働き方や待遇について見ていくことにする。
派遣タイプが主流に
「現役時代が忙しかっただけに、退職後、あまりに暇すぎて…。そんなときに紹介されたのが顧問派遣会社だった」
ある上場企業で部長を務め、退職後、約20社の顧問を務めている男性は、顧問になったきっかけをこのように語る。現役時代、家庭さえ顧みずにひたすら仕事に打ち込んでいただけに、退職後の退屈な生活にへきえきしていた男性。そんなときに巡り会ったのが、顧問派遣会社だった。
顧問という職業にピンときていなかったというが、とにかく暇をもてあましていたこともあって、とりあえず顧問派遣会社に登録してみたという。派遣会社からは、これまでのキャリアや人脈などを事細かにヒアリングされ、複数の顧問先を紹介されたという。正直言って顧問という選択肢はなかったため、右も左もわからない。そこでとりあえず、長年在籍した企業と同じ業界の企業と契約した。
前回お伝えしたように、今や複数の企業と契約するプロフェッショナル顧問が台頭し、一つの市場を形成している。その拡大を支えているのが顧問派遣会社だ。顧問派遣も人材派遣業の一つだから、基本的な仕組みは同じ。希望者が人材派遣会社に登録後、派遣を希望する企業との面談などを交え、ニーズがマッチングしたらその企業に派遣するというもの。契約形態は「業務委託契約」が基本だ。
こうした顧問派遣サービスを展開しているのは、マイナビやパソナといった大手派遣会社。それ以外にもエスプールやサーキュレーション、レイスといった新興系もずらり。中には、サイエストのように海外進出の顧問をメインとする会社まである。こうした顧問派遣サービスに登録している顧問はざっと11万人に上り、各社140〜180%成長という盛況ぶりだ。
では、そうした派遣会社に登録した後、どのような働き方をしているのだろうか。顧問の実態を見ていこう。