金融庁は28日、「犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認に関する金融機関向けQ&A」と題した指針を発表した。

金融庁はHPで、犯罪収益移転防止法について次のように概要を説明している。

金融庁
(画像=月刊暗号資産)

「犯罪収益移転防止法は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、犯罪による収益が移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えること、及び犯罪による収益の移転がその剝奪や被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定されたものです」

主に上記のようなマネー・ローンダリング、テロ資金供与防止などの犯罪による収益の移転防止を目的とした法律として、平成20年3月に施行された。

具体的には、特定事業者(金融機関等+新規対象事業者)が、「顧客の本人確認」、「記録の作成・保存」、「取引を行う目的」を調査する他、「事業内容」 、「実質的支配者」、「資産及び収入の状況(ハイリスク取引の一部) などの確認」、「疑わしい取引などの届出(士業者を除く) 」を義務付けた内容となっている。

犯罪収益移転防止法において特定事業者とは、金融機関、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者から、税理士、司法書士、弁護士のような士業を営む者を指す。

従来から金融機関等は、金融機関等本人確認法及び組織的犯罪処罰法に基づき、本人確認や疑わしい取引の届出等の義務の対象となっていた。

しかし、時代の変化とともに、これまで事業者が窓口や郵便で行っていた本人や住所確認(KYC)が、オンラインだけでの本人確認完結方法(e-KYC)も浸透してきたことにより、1つひとつの詳細な確認に法律が追いついていない部分が生じてきた。

こうした中、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症への対応や、これを契機としたデジタライゼーション推進の観点から、金融業界全体で非対面の金融サービス普及に向けた取組みが求められるようになり、オンラインで完結可能な本人確認方法の重要性がさらに高まってきた。

金融庁はオンラインでの本人確認方法を掲載したことについて「金融業界における非対面の金融サービス普及を一層後押しするために、パブリックコメントに寄せられた質問や金融庁に寄せられた相談事例等を整理し、オンラインで完結可能な本人確認方法の導入を検討・計画する金融機関向けのQ&Aとして、別紙のとおり公表することにしました」と述べている。

金融庁が公開したQ&Aによる指針は、金融機関から問い合わせの多い、本人確認書類を用いた方法、電子証明書を用いた方法、マイナンバーカードを用いた方法など多数の本人確認の例が参考資料に詳しく説明されている。

現在、国内の暗号資産(仮想通貨)取引所で口座を開設する際も、業者との対面でなく、スマホと書類だけを使った本人確認が増加している。(提供:月刊暗号資産