内山 瑛(うちやま・あきら)
公認会計士。名古屋大学法学部在学中に、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人に入所し、会計監査・コンサルティング業務を中心に研鑽を積む。2014年に同法人を退所し、独立。「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様に総合的なサービスを提供している。近年は、銀行評価を向上させる財務コンサルティングや内部統制構築支援、内部監査の導入支援にも力を入れている。
SPCという言葉を聞いたことがあるだろうか。不動産などへの投資に関心がない人にとってはなじみの少ない言葉かもしれないが、企業を経営するうえでも、その存在について、知っておいて損はない。
SPCといってもその意味するところは幅広い。そのうえ、多くのスキームがあり、それぞれにメリットやデメリットがあって理解しにくい。通常の中小企業の経営をしている者にとっては、なかなか想像しにくい世界ではあるが、どのようなものなのか、知っておくと投資の選択肢は確実に広がるだろう。
目次
SPCとは
SPCとは「Special Purpose Company」の略で、日本語では「特別目的会社」と呼ばれる。企業が不動産など特定の資産を企業内部から切り離し、その特定の資産やプロジェクトのためだけに作られる会社である。
SPCの実態
日本では1998年に成立したSPC法(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律)で、特定目的会社を設立することができるようになったことにより、普及が進んだ。会社といっても、企業本体の資産を保有する受け皿として機能するだけで、その実態はペーパーカンパニーである。
通常、資産を会社で保有していれば、その資産を運用する部門や人員がいるはずであり、資産だけの会社というものはあまり想定されない。しかし、SPCは単なる受け皿であるため、その運用などについては、ほかの法人または個人が行うことになる。
SPCが保有する資産は不動産が代表的なものであり、大規模なSPCの多くが不動産に関わるものであるが、ほかにも、売掛金・住宅ローン・太陽光発電など、多種の資産におよんでいる。