SPC法と会社法の違い

会社の設立は、法律に則って行われるが、設立する会社の種類によりそのもととなる法律が異なる。主な会社に関する法律は「会社法」「SPC法」の2つだ。会社法は、基本的な会社の決まり事を規定した法律で株式会社や合同会社、合資会社や合名会社などを対象にしている。一方SPC法は、資産の流動化のための法律で社団法人や特定目的会社(TMK)が対象だ。

会社法をもとに設立される株式会社などは、資本家などが出資し、営利を目的としている会社である。それに対して、SPCは「特別目的会社」といわれ、特定の事業のために設立された会社をいう。SPCは、もともと所有している法人や個人から資産を分離することや資金調達をすることを目的としていることが多い。

そのためSPCが保有する資産は、不動産が代表的なものとなっている。それ以外の資産では、売掛金やローンなどを対象としているものもあり、営利を目的としている株式会社とは、まったく異なるものである。

SPCは資金を調達する手段

spc3
(画像=THE OWNER編集部)

不動産や太陽光発電など、高額の資産を単独で所有するには多額の資金が必要である。SPCを設立して資産を売却、本体企業から切り離すことで、広く資金調達できる。企業本体は、SPCに使用料を支払い、継続的に資産を活用することが可能になる。

事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

THE OWNERでは、経営や事業承継・M&Aの相談も承っております。まずは経営の悩み相談からでも構いません。20万部突破の書籍『鬼速PDCA』のメソッドを持つZUUのコンサルタントが事業承継・M&Aも含めて、経営戦略設計のお手伝いをいたします。
M&Aも視野に入れることで経営戦略の幅も大きく広がります。まずはお気軽にお問い合わせください。

【経営相談にTHE OWNERが選ばれる理由】
・M&A相談だけでなく、資金調達や組織改善など、広く経営の相談だけでも可能!
・年間成約実績783件のギネス記録を持つ日本M&Aセンターの厳選担当者に会える!
・『鬼速PDCA』を用いて創業5年で上場を達成した経営戦略を知れる!

✉️経営、事業承継・M&Aの無料相談はこちらから

SPCを導入する2つのメリット

SPCは、資産をもともと所有している法人や個人から分離することが目的であるため、それに関連する効果がメリットとなる。

1.資産の保持

spc4
(画像=THE OWNER編集部)

まず挙げられるのは、資産の保持である。SPCは資産を保有することが目的であるため、不動産などの資産を保持できるのがメリットとなる。SPCは原則として(その仕組み上)倒産することがないため、もし本体の会社が倒産してしまったとしても、SPCが保持する資産は守られることになる。もちろん、SPCの持分自体については、倒産した場合に、差し押さえ等の対象となる。

2.資産の切り離し

spc5
(画像=THE OWNER編集部)

2つめのメリットは、資産の切り離しである。高額の資産を単独で所持していると、その資産に見合う資金調達を継続的に行っていく必要があり、会社に投資する投資家にとって好ましい成果を出しにくくなってしまう。そこで、SPCを設立してそこへ資産を売却し、本体の会社から特定の資産を切り離すことで、自己資本比率、総資産回転率やROAなどを改善できるメリットがある。

売却した会社は、SPCに対して資産の使用料を支払うことで継続的にその資産を活用することが可能である。このような、SPCを利用した資産の切り離しは、バランスシート(貸借対照表)から資産を除外して「資産のオフバランス化」ができる。