「資産運用の結果の8割は資産配分で決まる」と言われている。したがって、資産運用において資産配分は極めて重要だ。言い換えると、資産運用に関する8割の時間は「資産配分が最適かどうか」の検証に割いても良いということだ。
今回も、日本を始め米国やスイスのプライベートバンクに11年間在籍し、現在は富裕層の資産形成サービスを手掛けている株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口俊介氏に話を聞いた。
世古口氏が長年の富裕層への資産運用アドバイスの経験から生み出した「金融・実物・税務の3要素から最適資産配分を導く方法」を紹介してもらう。(聞き手:菅野陽平)
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世古口俊介(せこぐち・しゅんすけ)
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券)のプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。2017年8月に内藤忍氏と共同で資産デザインソリューションズを設立し、代表に就任。500人以上の富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や日経新聞、東洋経済、ZUUなどメディアへの寄稿を通じて日本人の資産形成に貢献。
3要素を同時かつ公平に考える
まず、何をもって最適な資産配分と言えるのか。「検討するべき要素はたくさんあるが、特に大事なのが金融資産・実物資産・税務の3要素だ」と世古口氏は指摘する。どれか1つ、もしくは2つの要素が最適なだけでは足りない。3要素すべてにおいて最適な状態が「最適資産配分」だという。イメージは以下のイラストの通りだ。
3要素それぞれが交わる中心点こそ「最適資産配分」だ。ポイントは「3要素を同時かつ公平に考えること」(世古口氏)である。人間は成功体験に引っ張られ、また特定のアドバイザーの意見に耳を傾けがちだ。
そうは言っても、「同時かつ公平に考える」というのは口で言うよりもはるかに難しい。世古口氏に3要素それぞれのポイントを簡単に説明してもらった。