保有資産を数億円以上保有する富裕層であれば一度は検討する海外移住。実際にこれまで多くの富裕層が日本から海外への移住を実行している。ただ実は、海外に移住したものの数年で日本に帰ってくる富裕層も多い。
そこで今回は、日本を始め米国やスイスのプライベートバンクに11年間在籍し、現在は富裕層の資産形成サービスを手掛けている株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口俊介氏に「富裕層が海外移住を成功させる秘訣」を聞いた。(聞き手:菅野陽平)
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※本稿で紹介している経済指標、各国の税率、永住権条件などの数字データは、全て株式会社ウェルス・パートナーから提供されているものです
海外移住の優先確認事項
前編では、移住において重視すべき要素や注意点などを説明した。後編では、海外移住で確認するべき移住先の経済事情や税金、永住権について紹介する。
世古口氏によると、「海外移住にあたり、移住先について優先的に確認するべきことが3つある。1つが経済事情、2つが税金、3つが永住権だ」という。なぜ経済を確認するかというと、移住すると移住国の経済動向にある程度依存することになるからだ。移住国の物価が上昇すれば生活費が増えるし、ハイパーインフレや財政破綻が起これば生活へのダメージは避けられない。ゆえに移住先の経済規模、財政、物価などは必須確認事項となる。
国によって税制は大きく異なるので、移住先の税金も必須の確認事項だ。主に税金のメリットを得るために移住する人にとっては、もっとも重要な要素になる。特に所得税、相続税は日本と大きく異なることが多いので確認が必要だ。
永住権の取得要件も確認したほうが良い。「長期滞在ビザで移住することは可能だが、ビザは更新が必要で、居住国の情勢によっては更新できない場合もある」(世古口氏)からだ。一時的な移住であればビザでも良いかもしれないが、移住先を終の住処と考えるのであれば永住権を取得するべきだろう。国によって取得要件や難易度がかなり異なるので、国別に分析する必要がある。永住権も様々な種類が存在するが、本記事では富裕層投資家が取得することが多い投資永住権に絞って説明する。
今回は日本人の移住先として人気が高いアメリカ、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドの経済事情、税金、投資永住権について情報を整理したマトリックスを元に説明を進めていこう。