2021年7月、GPIFが2020年度の運用収益を発表した。運用収益額はプラス37兆7,986億円と過去最高となった。1年で40兆円弱を稼ぎ出したGPIFとは何者なのだろうか。また、どのような運用手法を用いているのだろうか。

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(画像=PIXTA)

GPIFとは

そもそもGPIFとは何だろうか。GPIFはGovernment Pension Investment Fundの略で、正式名称は年金積立金管理運用独立行政法人という。厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を年金特別会計に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としている。平易に言えば、国民の年金を運用している組織だ。

日本の年金制度は、高齢者の生活を現役世代が支える制度を導入している。つまり、このまま少子高齢化が進むと、将来の現役世代の負担が大きくなりすぎて、年金制度の持続可能性が危ぶまれてしまう。そこで、現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったものを運用して、将来世代の負担を少しでも減らそうとしているというわけだ。

運用総額は2020年度末時点で186兆1,624億円と巨額を誇り、世界最大級の機関投資家と言われている。前述のように2020年度の収益額はプラス37兆7,986億円、収益率にするとプラス25.15%だ。資産運用をかじった者であれば、この収益率がいかに高いかが理解できるだろう。GPIFは、一体のどのような資産運用にて、このような成績を残したのだろうか。